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「打たせて取る」戦法の防御率【ドリームオーダー】

本noteを開いていただきましてありがとうございます。
今回はダイスマイナス効果を利用した「打たせて取る」戦法について考えてみます。


はじめに: 「打たせて取る」とは?

野球では、打者が打ちたくなるけどいい当たりにはなりにくいゾーンに投球し、わざと打たせて凡打を重ねさせることで相手を抑える戦法があります。
これが「打たせて取る」というものです。
精密なコントロールと多彩な変化球に優れる「軟投派」の投手が得意としており、ハマると少ない球数でスコアボードに0を並べる一方、相手打線に狙い球を対処されると打ち込まれやすい…という性質があります。

めざせマダックス

では、ドリオで「打たせて取る」戦法をやったら、つまりDPで抑えにいかず打撃判定によるアウトのみを狙うとしたら、いったいどうなるでしょうか?
特に、打撃判定によるアウトが狙いやすい「ダイスマイナス」効果を持つ投手による「打たせて取る」戦法はどの程度有効なのでしょうか?

このnoteでは、「打たせて取る」戦法を取った場合の防御率(1試合あたりの見込み失点数)を算出してみようと思います。

完全に全て打たせた場合

まずはモデルケースとして、DPで勝つことが一切なく、全ての打者に打撃判定をされた場合の失点(得点)期待値を計算してみます。
なお、ここではダイス補正を含む一切の効果はない(全員バニラ)ものとします。諸々の条件はベースにあとからの付け加え。

ダイス補正なしで打撃判定に入った場合の打撃成績と確率はこちら。

ダイス補正なしの時の判定確率表(弊noteより)

そして、失点期待値の計算にあたっては次のサイトを参考にいたしました。

セイバーメトリクスを総合的に紹介しているサイトであり、その中に出塁率と得点の相関関係を示した箇所がありました。抜粋は以下の通り。

1イニングに見込まれる得点数(R/I)は「1打席に見込まれる得点数(R/PA)」と「1イニングに見込まれる打席数(PA/I)」の掛け算に分解できます。
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R/I = R/PA * PA/I
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このうちR/PAは打者が出塁する確率(OBP)と生還する確率(SCORE%)の掛け算となります。
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ここで、Tom Tangoによれば生還率は「とてもざっくり」言うと出塁率に等しくなります。
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他方、イニングに見込まれる打席数(PA/I)も出塁率の関数となります。
PA/I = 3 * ( OBP / ( 1 - OBP ) ) + 3
打席の結果は出塁かアウトかいずれかです。イニングにつきアウトは3つまでですからアウトの打席は3で固定、出塁する打席の数はアウトに対する出塁の比率で計算できます。

「得点の構造と出塁率」より

……いきなりおべんきょうの風合いが強くなってしまいましたが、要約すると「出塁率(OBP)が分かれば、1イニングあたりの失点期待値が算出できる」ということになります。
では、これに基づき以下の通り計算していきましょう。

①ミート・強振を合わせた場合の出塁率を出す
まず、攻撃側がミートと強振をランダムに選ぶと仮定して、ミート時・強振時を合わせた出塁率(以下、総合出塁率)を出すため、上の確率表で出されている出塁率を足して2で割ります。
総合出塁率:(0.833+0.583)/2=0.708
※参考
長打率:1.042
OPS :1.750

②R/PAを出す
1打席あたりの得点期待値(R/PA)は出塁率と生還率の掛け算であり、生還率は出塁率とほぼ同じであるため、R/PAは総合出塁率の二乗となります。
R/PA:0.708^2=0.501

③PA/Iを出す
①で算出した総合出塁率を、式に代入します。
・PA/I:
3×(0.708/(1-0.708))+3 =10.27
1イニングあたり10.27打席が回る
、ということになりました。
すでに大炎上の予感です。

④R/Iを出す

構成要素が揃ったので掛け算でR/Iを出します。
・R/I:0.501×10.27=5.15
1イニングあたり5.15失点
です。
2打席で1点取られる見込みで10人に回るのですから、そうなりますね。

⑤1試合あたりの失点数を出す
ドリオの1試合は3回制なので、④で出した失点数×3すると1試合当たりの失点数見込み=防御率となります。
・防御率:5.15×3=15.45

つまり、ダイス補正なしで相手に全部打たせた場合、1試合平均で約15失点するということになりました。
野手登板?

ダイス-1補正の場合

では、同じように全て打たせたとして、「相手が打撃判定を行うなら、🎲-1する」効果が常に発動している場合にはどうなるでしょうか。
ダイスマイナス戦法の有効性が見えてくるかもしれません。

では、さっきと同じ計算を今後は次の確率表に基づいて行っていきます。

ダイス-1の判定確率表(これも弊noteより)

①総合出塁率
・(0.722+0.417)/2=0.570

②③R/PAとPA/I
・R/PA:0.570^2=0.325
・PA/I:3×(0.570/(1-0.570))+3=6.98

④⑤R/Iと防御率
・R/I:0.325×6.98=2.27
防御率:2.27×3=6.81

ダイス-1を掛けると1試合平均で7失点弱。なんと平時の半分以下です。
思った以上の改善率な気がしますね?

(不意の)DP勝ちを考慮した場合

ここまでは完全に打ってもらう前提で考えてきましたが、実際の勝負ではお互いにサポートを1枚は出しあったうえ、打撃側がミート/強振を宣言して勝負することになります。
そのため、守備側が適当にサポートを出したとしても、たまたま相手とかみ合ってDP勝ちする可能性が一応はあります。
待ってない変化球にタイミングが合わず三振する感じでしょうか。

ではこの「偶然だぞ」が起こる確率ですが…さしあたり10%と仮定させてください。
守備側がランダムに出したサポートと攻撃側のミート/強振が一致する確率は50%。そのうえで2枚置きもしてきうる攻撃側を止められる可能性まで考えると、10%がいいとこでしょう。
(もちろん、ある程度守る気でサポを置けば確率は上げられます。)

そうなると、1打席のうち10%の確率で打撃判定に入らずアウトになるので、1イニングにおける打席数見込みも10%下がる、と言えます。
1イニングにおける打席数見込みとはPA/Iのことですので、さっきの式に当てはめるだけです。

ダイス補正なし
・R/I:0.501×(10.27×0.9)=4.63
・防御率:4.63×3=13.89

ダイス-1
・R/I:0.325×(6.98×0.9)=2.04
防御率:2.04×3=6.12

やはり、あてずっぽうだとあまり下がりませんね…
とはいえ、きちんと守るつもりでサポートを置けばもっと防御率は良くなりますからこれ以上に取られることはあまりないでしょう。
ダイスマイナスしているのに3点以上取られてしまった場合は、相手にダイスプラスが多くてメタられてしまったか、サポートが弱すぎたか、あるいは運が悪かったということにしましょう。

無失点で抑えようとするなら?

前項ではテキトーにサポートを置いた場合の防御率変化を示しましたが、では逆にイニングを無失点で抑えようとするなら、どれくらいの確率でDP勝ちできるようにしなければならないのでしょうか?
イニング無失点とはR/Iが1を切るということだとして、R/I=0.90になるときのDP勝率(1-X)を逆算してみましょう。

ダイス補正なし
R/I:0.501×(10.27×X)=0.9
X=0.9/(0.501×10.27)=0.17
・DP勝率:
1-0.17=83%

ダイス-1
R/I:0.325×(6.98×X)=0.9
X=0.9/(0.325×6.98)=0.40
・DP勝率:1-0.4=60%

ダイス補正なしだと8割がた勝てる手を出さねばなりませんが、ダイス-1だと6割勝てればいい手札で済む(手札負担を減らす)と言えるでしょうか?
この確率変化をどう評価するかは各監督に委ねたいですが、投手選びやサポートの置き方の参考になれば幸いです。

まとめ

・ダイス-1投手は通常の投手に比べ、防御率を半減させる。
・DPで抑えなくてはいけない展開も2割ほど減らせる。
・とはいえ、好き勝手打たせると1イニングに2点は取られる。

マイナスをぶっこわせ!(やめてほしい)

ダイスマイナスによる「打たせて取る」戦法、まだ使ったことのない方も一度検討してみてはいかがでしょうか?

※計算誤りなどあればご指摘ください…

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