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むかし書いた韓国コラム #115
食堂での食事はパンチャン(小皿に入ったおかず)が多いのがうれしい。ところで1人で食事をすると、このパンチャンの小皿をテーブルに移すのがめんどくさいのか、複数の小皿が載ったお盆をそのまま置いて行かれることがよくある。複数人で食事をする場合には見られない。たいていのテーブルは複数のお盆を置けないし、パンチャンはそのテーブルの共有物なのでだれかのお盆に置いておくのは具合が悪いのだ。たかだか数千ウォンの食事でサービスが悪いなどというつもりは毛頭ない。この方が片付けるのも楽だろうし、食べる側もなんら実害はない。
そんなある日、丸いお盆に並ぶごはんと鍋、パンチャンの数々を見ながら、これはインドの定食「ターリー」に似ていることに気付いた。ターリーも丸いお盆にライスとナン、複数のカレーの器が並ぶ。その様子は韓国の定食とあまり変わらない。お盆ごと置かれた食堂の定食は「韓国版ターリー」と言えそうだ。ならば食後にもらえる乳酸菌飲料はさしずめラッシーというところか。
【解説】
ソウルだとパンチャンの数も3皿ほどだが、地方に行くと5皿くらい出てくることも珍しくないので、いちいちテーブルに置くのがめんどくさいというのも理解する。だがそのお盆は長年使い込まれ、お客に出す用のものではない。どうせならもう少しきれいなお盆で出してほしいのだが。
(初出:The Daily Korea News 2014年10月22日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)