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むかし書いた韓国コラム #229

 とある焼き肉屋で隣のテーブルに座った日本人と韓国人。注文を終えた韓国人が「ここは生の肉なんです」と語る。日本人は「ユッケみたいなものですか」と質問。「いえ焼き肉ですよ」「だって生なんでしょ?」――なにやらちぐはぐな会話が交わされている。

 最近は少なくなったが、以前は冷凍のサムギョプサルを出す店も多く、冷凍肉でない店は「生サムギョプサル」という名前で売っていた。あるいは味付けをしていないカルビを「生カルビ」というケースもある。いずれにせよ、日本人を連れてきた韓国人はおいしい方の肉を頼んだと言いたかったのだろう。

 そもそも日本人は焼き肉屋で冷凍肉が出るとは考えない。「生」と言われればユッケやレバ刺しを思い浮かべるだろう。凍っていない肉という意味では「生」でも間違いではないが、焼き肉屋で日本人に説明するには微妙に違う。外国語の難しさはこんなところにもあるようだ。

【解説】
 冷凍サムギョプサルもチープな感じで好きだったが、いつのころからかワインに漬け込んだり、熟成させたりとサムギョプサルも高級化が進んでしまい、いまとなっては冷凍サムギョプサルは絶滅危惧種かもしれない。

(初出:The Daily Korea News 2010年5月18日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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