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むかし書いた韓国コラム #592

 韓国では鉄道趣味はあまり一般的ではないが、すそ野は近年になり広がっている。海雲台に近い釜山市機張郡に鉄道をテーマにしたレストランが今年3月にオープンした。店名は「キシャジオラマレストラン」。「キシャ」は日本語の「汽車」だ。店内には鉄道模型のジオラマが広がり、壁には行き先表示板や鉄道写真などがずらりと並ぶ。店内のモニターには鉄道映像が流れる。

 メニューはカレーがメインで、辛さは甘い順に「統一号」「ムグンファ号」「セマウル号」「KTX」「HEMU」の5種類で、これは列車のスピードにちなんだもの。注文した料理は大型の鉄道模型に乗って運ばれてくる。会計を済ませると次回来店時に使えるドリンク無料クーポンをもらえるがこれも当然切符を模している。コンセプトが徹底しており、鉄道好きでなくても楽しめるお店だ。同様のコンセプトのお店は日本にはいくつかあるが、韓国ではおそらく初めての試みだろう。ソウルにもぜひ進出してほしいところだ。

【解説】
 店頭には「銀河鉄道999」の車掌さんの人形が立ち、お子様ランチは日本でおなじみの新幹線型の器で供されるなど韓国の鉄オタにとっては聖地とも呼ばれたりもした。店内を走り回る鉄道模型は日本型のものがメインなので日本の同好の士にも楽しめただろう。機張郡という場所が悪かったのか2019年頃に釜山市内の海雲台に移転したようだが、2021年初めまではその存在が確認できたが現在は閉店しているかもしれない。写真はいまも残る同店公式サイトより拝借。

(初出:The Daily Korea News 2013年12月5日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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