むかし書いた韓国コラム #902
新幹線「のぞみ」に使われた300系電車が3月16日に営業運転を終了した。生まれた時にすでに「ひかり」が走っていた筆者の世代にとって300系こそが「夢の超特急」であり、あこがれの電車だった。乗る機会がほとんどないままお別れとなったのは寂しい限りだ。
一方、韓国でも一時は国を代表する花形列車だった「セマウル号」の退役が迫っているという。花形の座はKTXに譲ったものの、高級列車としての風格はセマウル号の方が上だ。ソウル~釜山間を最速4時間10分で結んだセマウル号は、普通席でもゆったりしたシートだが、グリーン車に相当する特室は飛行機のビジネスクラス並のシートで優雅だった。KTXは移動速度こそ速いものの、シートは狭く、特室でもセマウル号の普通席に劣る。
セマウル号は現在も京釜間を走っている。所要時間はKTXの2倍となる5時間。釜山に行く機会があれば特室を奮発し乗り納めをしておくのも悪くない。
【解説】
花形列車だったディーゼル機関車牽引のセマウル号の車両は2013年に運行を終了した。2014年には後継となる電車タイプのITXセマウルが運行を開始したが、特室はなく、ゆったりとしたシートもなくなりかつてのセマウル号のような風格はなくなってしまった。現在の花形のKTXも風格の面ではいまいちで、往時のセマウル号がいまも懐かしい。
(初出:The Daily Korea News 2012年3月21日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)