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むかし書いた韓国コラム #875

 中学生のころに雑誌で「駒形どぜう」を知り、親にせがんで連れて行ってもらったことがある。丸のままのどじょうが鍋で煮えているのはおいしそうだったが、残念ながら子どもの舌ではおいしいとは思えず、その後どじょうを食べる機会はないまま20年以上過ぎてしまった。

 韓国でどじょうと言えば「チュオタン」だ。しかしどじょうはすりつぶされた状態で鍋に入れるのが主流で、どじょうの姿を見ることはない。せっかくのチュオタンだが、「どじょうを食べた」という気にはならない。どじょうの天ぷらを頼むと丸のままのどじょうが出てきて、これは酒のつまみとしてもなかなか悪くなかった。

 あぁそうか、酒を飲めない子どものころだったから味がわからなかったのか。勝手にどじょうを過小評価していた。酒の味を覚えたいまならきっとおいしく食べられるだろう。日本に帰国したら食べたいものがまたひとつ増えた。

【解説】
 チュオタンもすりつぶさずまるごと入れるものもあり、こちらの方が個人的には好みだった。どじょうの食べ方としては日本よりは韓国の方が好きだが、それもチュオタンではなく天ぷらの方だ。どじょうは日本では食べられる店が多くないが、韓国ではチュオタンの店はそれほど珍しい存在ではない。

(初出:The Daily Korea News 2010年4月26日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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