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幼稚園の発表は誰のため?

子どもが通っていた幼稚園や近所の保育園では、吹奏楽・鼓笛隊・和太鼓・竹馬・組み立て体操などをやっていました。運動会や市内のイベントで披露すると、小さいのにがんばっているなと拍手が集まります。特に、運動会は、未就園児がプレゼントをもらえるプログラムもあり、園児募集の場になっています。演奏や体操に感動した保護者は、自分の子どもを、その園に入れたいと思うのかもしれません。
涙ぐみながら、マイクで「がんばった子ども達に大きな拍手を!」という先生の声を聞いていると、こちらにも感動が伝わってきます。確かに子ども達はがんばったと思いますし、ほめてあげたいと思います。
しかし、何か疑問も感じます。組み立て体操をがんばってやりとげた子ども達は立派ですが、この時期に本当に必要なのでしょうか?運動会のために、自由に遊ぶ時間をけずって練習してきたと思います。家では甘えたり、走り回ったりしている子ども達が、幼稚園では厳しい練習をしていたのかと想像します。
運動会や行事前は、先生たちも忙しそうな感じが伝わってきます。運動会までに、きちんと演技ができるようになるため、時間的にも精神的にもいっぱいじゃないかと感じてしまいます。
以前、人間の人生を木の根・幹・葉に例えて、乳幼児期は人生の根をはる時期だと聞いたことがあります。知識や技術を大きくなってから習得する時期がくるので、人生の初期は、人間としての土台を形成する時期ということです。
今は、幼稚園ぐらいでも習いごとをやる子が増えています。何かできるようになると、安心するのかもしれません。しかし、乳幼児期は、周りの愛情を受け、自分自身が好きになり、生きるのっていいなという自己肯定感を育むことの方が、はるかに重要だと思います。
小さい頃に音楽や運動をやること自体を否定するつもりはなく、むしろいろんなことを経験するのは意義があると思います。また、本人が興味をもってやりたいと思うのなら、幼稚園・保育園の枠にとらわらず、どんどん進んで取り組ませてあげたいです。ただし、それはあくまで本人が望む場合です。幼稚園で、全員同じようにしなければならないというのは、子どもにも先生にもプレッシャーになります。本番での演技がすばらしくても、その裏で、先生がピリピリしていたり、子ども達が萎縮していたりするのを見ると、子ども達のためになっているのか疑問を感じます。運動会が楽しみになればいいですが、運動会が心配で登園をしぶってしまうようなら、そんなイベントをやらない方が良いと思います。
もし、もう1度、保育園・幼稚園を選ぶ機会があるのであれば、「○○ができるようになります」という見た目(認知能力)をアピールしているところよりも、子ども達が自分らしくのびのびしていて、先生たちも笑顔で楽しく過ごしている園が良いかと思います。

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