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水切りの科学

子どもの頃、川に石を投げて、何回飛び跳ねるか競って遊んだという方は多いと思います。その遊びを何と呼んでいたかは、よく覚えていませんが、Wikipediaによると、「水切り」や「石切り」と呼ばれるそうです。

英語では、"stone-skipping”というようで、これが1番しっくりくる気もします。

子どもとキャンプに行った時など、5回ぐらい跳ねさせてみると、ちょっとお父さんの株が上がります。

「どうしたら多く跳ねさせられるか」を物理学で明解に説明できるとかっこいいと思い、少し考えました。

経験的には、

  • 薄くて平べったい小さめの石を選ぶ

  • 石の面と水面は平行に近く

  • 石は水面すれすれに投げ込む

  • 速く投げる

といったところがコツですね。

重力よりも水から受ける抵抗が大きくなった時に跳ねると考えると、定性的には説明できそうです。面で水に衝突すれば、どかさなければならない水の量が増え、抵抗は大きくなります。光の全反射(※)のアナロジーで説明できないかとも思いました。

しかし、数式で表現しようとすると、意外と難しいので、ネット検索してみました。意外なことに、水切りの研究は、21世紀になっても続けられています。例えば、2004年に、雑誌「ネイチャー」に論文が掲載されています。

大まかには経験と一致しますが、跳ねやすくするには、石の面と水面の角度は20°が良いそうです。(論文の主旨ではありませんが、古代ギリシャ時代からルールが変わらない何千年も続くゲームという記述があり、少し驚きました。)

その後の論文や記事を見ると、回数を増やすには10°という説もあります。また、石を回転させることも重要なようです。

素粒子や宇宙という日常生活から想像できない分野の研究が進んでいる中で、身近な子どもの遊びが解明できていないというのは驚きです。

子どもに明解に説明できなくても、世の中にはまだまだ分かっていないことがあるんだということもロマンをかき立てるのではないでしょうか。どうしたら説明できるかを考えることや、試行錯誤で実験をしてみると面白そうです。科学の知識を教えるのではなく、科学する心を育てるのに、いい題材になりそうです。

※全反射: 屈折率が大きい媒質から小さい媒質に光が入射する時、媒質の界面に平行に近い角度で光が入ると屈折は起きず、すべての光が反射すること。

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