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学級編成資料が流出しましたが、学級編成のしくみは?

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こんなニュースを見つけて、確かに学級編成についてブラックボックスになっている状態でこの学級編成資料が出てくると、驚くのも仕方がないと思う。そんなブラックボックスを暴いていこうというのが、この記事の目的である。

学級編成の流れ①――学級編成カードをつくる

まず、学級編成を行う上で作成されるのが、「学級編成カード」と呼ばれる生徒1人1人の情報が載ったカードである。見出し画像にもあるのがそれだ。ただこのカードは学校や学年ごとにオリジナルのものが使われていることが多いため、あくまで一例を示す。また今回載せているのも、このnoteを書く上で作ったオリジナルである。

学級編成カードには次の事項が記載されていることが多い。

  • 氏名

  • 性別

  • 旧クラス/出身校

  • 成績(定期テストの平均点など)

  • 生徒の素質(リーダー/不登校など)

  • 家庭の状況(PTAへの協力/集金状況)

  • 兄弟

  • 健康状態(持病/アレルギーなど)

  • 付ける生徒/離す生徒

  • 生活の記録(生徒指導の記録など良い面と悪い面)

あくまで一例である。そしてこの生徒の素質というのが

  • リーダー ◎(にじゅうまる):学級委員長などクラスや委員会などのリーダーを務めることができる

  • 準リーダー ○(ひとえまる):学級委員長の補佐や小グループのリーダー、周りへの気遣いなど、リーダーまではいかないが生活面で活躍の見込める生徒

  • 反社会 ×(あかばつ):生徒指導面で問題のある生徒。粗暴、いじめ、友人トラブル、授業妨害等を起こしたまたは起こす可能性のある生徒

  • 非社会 ×(あおばつ):特別支援的な観点や、教育相談面で問題のある生徒。寝坊、忘れ物、無気力、だらしがない、被害者意識が強いなど。
    ※あかばつあおばつは、その度合いによって×の数が増え、2ばつ3ばつなどとも呼ぶ。

  • 被害 △(さんかく):性格的に立場の強い生徒から被害を受けそうまたは受けたことのある生徒。

  • 不登校 ▲(さんかく):不登校の生徒。または不登校になりそうな生徒。

  • ピアノ P(ぴー):ピアノの弾ける生徒

  • PTA :保護者がPTA活動に協力的かどうか

  • 集金 :学校集金等に遅滞がないかどうか

という塩梅である。反社会がどうしても「反社会的勢力」のイメージがあるが、そもそも反社会の本来の意味はデジタル大辞林によれば「社会の秩序や道徳から著しく逸脱しているさま。」であり、いわゆる問題児のうち、アッパー系の生徒に対してつくマークである。(対して非社会はダウナー系
これを各担任が作成し、印刷をしてカードにしていくのである。

なお、下の画像は私が直感で大雑把に作ったドラえもんの世界の学級編成カードである。これでイメージをつけてもらえればと思う。

学級編成の流れ②――学級編成カードを並べる

こうしてできた学級編成カードは、原則「性別で分けて」から「学力順」にばらけるようにクラス数に分けていく。どういうことかというと、例えば3クラスであれば、Aクラスに1位、Bクラスに2位、Cクラスに3位、Cクラスに4位、Bクラスに5位、Aクラスに6位……となるように最後まで並べる。つまり、学級編成の大本となる組み合わせは「学力」である。

学級編成の流れ③――調整をする

当然、学力で並べただけで完成とはならない。まず大前提として考慮すべきなのが、双子や親戚がいる場合は、クラス数に余裕があれば一緒にしない。さらに同姓同名についてもクラスを分ける。この際には学力の近い人と並べ替えるわけだが、基本的にクラスごと学力順に1列ずつに並べて考えるため、隣が必ず学力が近い状態になっている。

次に考えるのは「付ける生徒/離す生徒」である。
付ける生徒とは、のび太は一人だと頼りないが、それを支えてくれる静香ちゃんがいると学校生活がうまくいくと考える。こんな生徒たちを付けていく。ただし、逆にあまりにも依存的であった場合などはあえて「離す」を選択することもある。
離す生徒とは、のび太とジャイアンという被害者加害者の関係にある生徒や、ジャイアンとスネ夫という一緒にいると相乗効果で悪さを働く生徒などを離していく。
そしてこの付ける生徒/離す生徒には、教育相談や三者懇談などで聞き取った本人の意向や保護者の意向が考慮される。あくまで考慮されるだけであって、必ず分けることは保障されない。

そして次に考えるのはバランスである。

  • リーダー・準リーダーが各クラスに1人以上はいて、ばらけているかどうか

  • 反社会・非社会に該当する生徒がばらけているかどうか

  • 合唱コンクール等を行う学校の場合はピアノが弾ける生徒が各クラスに1人以上いるかどうか

  • 最近は少なくなってきたが、PTAの活動に協力的な人が各クラスに1人以上いるかどうか。非協力的な人が偏っていないかどうか。

  • 集金遅滞の人が偏っていないかどうか。

などを考えて、生徒の入れ替えを行っていく。このときにさっきの付ける生徒/離す生徒のことも考慮に入れ、さらに学力についても考慮に入れながら入れ替えを行っていく。
そしてこの入れ替えの際に、リーダーや準リーダー、反社会や非社会に該当する生徒などは動かす際にバランスを崩すことになる。つまり、無印であるほうがバランスをとる際に動かしやすいのだ。だからこそ流出させてしまった学校では「無印良品」と言っていたのだろう。

学級編成④――男女を合体させる

そうやって男女別で分けてバランスをとったクラスを、今度はまたバランスを見ながら男女を合体させて仮クラスを作る。そしてまたその中でバランスをとっていく。そうしてほぼ学級編成が完成するのである。これが年度内に行う学級編成である。

学級編成⑤――担任を決める

新年度を迎え、担任の所属がわかると、また学級編成カードを並べて、最後の調整が行われる。どのクラスを誰が担任になるのか。ここで考えられるのがまず「各クラスの重さ」で、バランスを取ったとしても、リーダーが少なかったり、反社会・非社会に該当する生徒が多い、不登校が多いなどで重さが変わる。そういう重さからベテランの先生が重いところをみたり、逆に新任の先生や異動してきたばかりの先生には軽いところを持ってもらったりする。他にもそれぞれ先生の得意・不得意があり、たとえば反社会に該当する生徒が得意な生徒指導系の先生もいれば、非社会が得意な教育相談系の先生もいる。不登校対応に慣れている先生もいれば、保護者とのやり取りが上手い先生もいる。そういった様々な観点から担当クラスを決め、最終調整を行い、学級編成が本当の意味で完成し、新しいクラスが始動するのである。

まとめ

今回の事の発端は、学級編成資料という個人情報だらけで絶対に関係者以外には漏らしてはいけないようなものを放置し、生徒の目に触れたというのが大問題だったわけです。その上、通例使われている「反社会」「非社会」という言葉がより「反社会的勢力=暴力団」ということもあり、ショッキングの度合いが大きくて話題になってはいるが、これらは生徒をランク付けしてどうこうするものではなく、1年間の学校生活を生徒がよりよい環境で過ごすために行うためのバランスをとるパラメータの1つ1つなだけであって、どの学校でも同様なことが行われていることであることを知ってほしい。

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