2m×15mの極楽地獄

梅雨明けが近づいてきた今日この頃、毎日乗る電車は、色んな臭いと湿気とみんなの体温で、居心地の悪いサウナのような状況です。

電車に乗るようになって不思議に思ったのは、開閉扉付近の2メートル四方ほどには人がぎゅうぎゅう詰めに乗っているのに、そのすぐ横の座席前のスペースは空間がありあまっていることでした。
すでに混んでいる電車に後から乗車することが多いので、私はそのぎゅうぎゅう詰め空間の民になりがちです。

そこにいる時は、すぐ横の足を伸ばしたところに浅瀬があるのに、それに気づかず、ずっと溺れてじたばたしてるような感じ。
浅瀬に気付いても、私と浅瀬の間には、同じように溺れてる人がいて、彼らが壁になって、浅瀬に移れない。
そんなもどかしさを感じてます。
私はそのぎゅうぎゅう空間を地獄、座席前の空間を極楽に見立てています。

極楽地獄といえば、こんな話を思い出します。
大きな丸テーブルを囲んで人が座っていて、テーブルの上にはご馳走があり、長い箸が用意されています。
地獄ではその長い箸ではご馳走が食べられないと、みんなイライラしています。しかし極楽では同じ状況が与えられているのにみんな幸せそうです。それは、丸テーブルを挟んだ向かい同士で、お互いの口にごはんを運んでいるからでした。

極楽で、箸が長いならお互い食べさせあったらいいと気付いたのは誰でしょう。1人が考えても賛同する人がいなければ始まりません。では、どうやってそれを伝え、実現したのでしょう。
地獄にいる1人にその方法を教えてあげたら、彼からみんなにそのアイデアは伝わるでしょうか。

そんなことを考えながら、押し潰されながら電車に揺られてます。



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