きょうだい-おとうと-
錦糸町のレイトショーで、200ほどある座席は数えるほどしか埋まっていない。
山田洋次監督作品とあって、観客の年齢は還暦過ぎばかりだ。
そんな中で、私はひとり、席に着く。
会社帰りに「おとうと」を観て、おそらく10年ぶりくらいに映画館で号泣してしまった。
確かにいい映画だったけど、嗚咽を堪えるほど心に効いてしまったのは、私が二人の弟をもつ姉だからだろうか。
弟という存在のことは、日常の中ではほとんど忘れてしまっている。
幼いころはよく一緒に遊んだが、今は、親を想うほども意識