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この人が好き(作家)

童話作家の安房直子さんが、
小学生の頃から好きだ。
安房さんの言葉で紡ぐ
不可思議な物語は、
読んでいると、
「これは秘め事ですよ」と、
どこからか囁かれている
ような錯覚をおぼえる、
そんな魔力がある。

 さて、朝の読書中に
この本を読んでいたら、
巻末のエッセーにこんな
言葉を見つけた。
安房さんが好きな色、
「青」について書かれていた。

「『青』の中には、
海や湖があり、
幻と悲しみがあり、
シャガールの絵があり、
遠いパイプオルガン
の音色があります。

けれど、そういった感覚は、
たぶん人それぞれで、
その人の体験や好みによって
少しずつちがうのでしょう。

私の「青」の中には、
なぜかひとかけらの白
があって、その白が、
私の青を、いっそう神秘的な
ものにしています。」

 読んでいるうちに、
心が澄む。青が染みてくる。

言葉は、人の経験や
思い出、思考、イメージ、
文化、美、五感を見事に
表し、人の心にすーっと届く。

 「言葉はただのツール」
だとは思わないのは、
こういう言葉に出会う
からこそだ。

英語も同じ。
英語も言葉。

 言葉を、片手で
ぞんざいに扱わないで、
両手でぎゅっと握ったり、
ふわっと受け止めたり、
遠くに近くに放ったりして、
あたたかく生きていきたい。

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