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ことばをテーマに①

幼少の頃のこと。

3~4歳になっても
言葉がほとんど出てこない
ことを心配した両親は、
幼稚園入園前に私を
とある場所に通わせていた。

今でいうところの発達支援教室
みたいなものだろう。

普通の一軒家に、毎日10人
前後の子どもたちが通っていた。
そこは、「何をして過ごしてもいい」
という場所だった。

電車のオモチャで遊ぶ子。
絵本を読んでいる子。
寝転がっている子。
みんな見事にバラバラ。

私はひたすらパズルを
作っていたのをうっすらと
憶えている。

その場所で、他のお友だちと
遊ぶこともなかったし、
先生(らしき人)ともあまり
話さなかった。
でも、そこに行くのは
さほどいやじゃなかった。

やがて卒業し、そのあと
幼稚園(2年保育)に入った。

友達ができて、まわりの人と
おしゃべりもするようになった。
歌も歌った。劇にも出た。
園内で走り回って大怪我をし、
おでこを3針縫ったりもした。

大人になった今は、
どちらかというと「話を聞く」
のが好きだけれど、仕事柄
月曜から金曜まで、100人近くの
人と英語と日本語で話をしている。

どうして話し始めが遅かったのか?
どのタイミングで話すようになったのか?
正直、自分でもわからない。

ただ、何事もその人の「時」が
あることを、過去の自分から教わった。

「時」を待つことで、
不必要な負の感情を持たなくて
済むということも。

本来、急かされるのが苦手だし、
急かすのも好きじゃない。

それでも、
自分が明らかに焦っている、
あるいは何かに追われていると
感じるときは、永遠とパズルを
作っていた小さな自分を
思い出すようにしている。


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