「月経」の当たり前を変える。Femtech Fes! 2021最新プロダクト14選
2021年10月に開催されたFemtech Fes 2021。現地で見たプロダクトの中から、個人的に心惹かれた「月経」に関するプロダクトを厳選してご紹介します。
フェムテック / Femtech Fes!って?
「フェムテック」って何か、ご存知でしょうか?
フェムテック(Femtech)とは、Female(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語。近年はこのフェムテック領域で、生物学的女性の月経、妊娠出産、更年期といった身体と心の悩みをサポートし、女性のQOLを向上させるサービスやプロダクトが次々発表され、盛り上がりを見せています。
Femtech Fes!は、そんなフェムテック製品を日本に本格的に広めているFermataさんの主催で開催されている展示会。今年度は10月に六本木で開催されました。
女性のウェルネスの話題は未だタブー視される傾向にありますが、世界中からここに集った約150ものプロダクトはまさに「今まで言えなかったモヤモヤ」に切り込んだ最先端のものばかり。
展示の中から、今の私に身近なトピックである「月経」に関連した素敵なプロダクトをご紹介します!
こんなのあるの!?新しい「生理用品」の選択肢
「生理用品」と聞いて、何を思い浮かべますか?ナプキンやタンポンを思い浮かべる方が多いかと思います。
Femtech Fes!では、それ以外の選択肢を直接見て、実際に触れることができました。
「第三の生理用品」月経カップ
まずは体の中に入れて使う生理用品、「月経カップ」。
実は月経カップ自体は1930年代にアメリカで作られていて、意外と歴史があるんです。メーカーや商品にはよりますが、以下のようなことが言われています。
☑ 最長で12時間連続着用できる!
☑ 経血が空気に触れずニオイが大幅に軽減!
☑ 水泳や入浴でも使用可能!
☑ 繰り返し使えるので、長期的に見ればナプキンをたくさん使い続けるよりお得!
☑ 数年間使えるので環境にも優しい!
こちらは、私自身使い始めて1年半になる月経カップのメルーナです。各色あるのでカラフルでポップな感じに見えます!
人によって相性はありますが、私はもうカップなしの生活には戻れないというぐらい非常に快適に変わりました。経血によるムレや不快感、ニオイ、漏れなどの悩みを当たり前のもの、仕方ないものだと思っていたのですが、カップを使い始めてこの9割ぐらいは解消されたような気がします。私のモヤモヤは、仕方ないものではなかった。
Femtech Fesでは何種類もの月経カップが展示されていました。
これはアレルギーが起こりにくい素材で作られたThe Hello Cup。シリコンアレルギーがある方に向けて作られています。
フランスやカナダの月経カップも展示されていました。
いずれも生理の貧困、健康、環境への配慮など、複数の課題に生理用品というアプローチで解決しようとしています。
女性は一生のうちに262kgの生理用品を廃棄し、その額30万円以上になると言われています。経済面の負担や環境への影響も考えた、新しい選択肢があることは重要だと感じます。
ただ、月経カップって、サイズも形状(突起部分にバリエーションがあります)も素材も様々で、実際に試してみないと合う合わないがわからないので、その点がハードル高く見えてしまうかもしれません。大阪のMICHIKAKEや東京のNew Stand Tokyoなどに行ける方はぜひ直接触れて、不安なポイントはお店の方に相談しながら選んでみてください。
さらに快適といわれる「月経ディスク」
柔らかくて薄くて、触ってみて一番びっくりしたプロダクトです。
月経ディスクは月経カップのように身体の中に入れて使う生理用品で、カップよりも快適だとか。月経カップと同様、12時間の連続着用が可能で、装着して水泳や入浴もできますが、ディスクは性行為も行えるということで、かなり行動の自由度が広がるプロダクトです。
月経ディスクにも種類があり、使い捨てタイプのものが多いのですが、これはサステナブルにこだわって繰り返し使えるシリコン製になっています。
タンポンとライナーが一体化した「タンプライナー」
タンポンとライナーが一体型のタンプライナー、シンプルですがよく考えられていると思います。
実際の声を聞き、タンポンユーザーの多くがライナーをセットで使っているという事実を見つけるというのはまさにユーザー視点。確かに一緒に使うならセットにしちゃえばいいですよね。
生理用品を捨てる不安と、環境へのダメージを減らす生理用品ディスポーザー
生理用品そのものではないですが、使用済みのナプキンやタンポンを捨てる際の不安をなくす「ファブリトルバッグ」という商品も見かけました。
人のおうちへ行ったときや出かけた先で、生理用品を捨てるのには気が引けてしまう環境だったり、中にはそもそもゴミ箱がなかったりで嫌な思いをしたことのある人もいるのではないでしょうか。
このプロダクトは、そっと相手のゴミ箱に捨てさせてもらったり、時には持ち帰らざるを得ないときにも、少し安心させてくれるように思います。
こうしたユーザー目線に加え、この商品が作られたイギリスでは生理用品がトイレに流されて環境への負荷が高くなっていることも創業者は問題視していて、両方を解決するプロダクトとして作られています。
ただ本当は、生理用品の捨て場の話だってもっとオープンにできて、誰のお宅でも、どこのお手洗いでも「捨てたいものを、捨てられる」ことが当たり前になってほしいとも思います。「ゴミ捨ての袋」と捉えて終わらずにこうした議論を生み出していくことも解決の一歩になると感じました。
月経中もこれ一枚で過ごせちゃう、吸水ショーツ
紙ナプキンの不快感が気になる方には、経血を吸収してくれる吸水ショーツという選択肢もあります。
超吸水型サニタリーショーツBé-A(ベア)。吸水ショーツになかなか手が出ない理由として、「吸水してくれるのか不安、信用しきれない」という声をよく聞きます。多い日の平均の経血量は30~50ml。Bé-Aの吸水量は120mlなので、漏れるリスクを最小限にしてくれます。
こちらはEVEというブランドのもので、私も使っています。EVEでは月経パンツに限らず、月経カップやジェルなど様々なラインナップを取り扱っています。
こちらはオーガニックコットンを使用した吸水ショーツ。
このようにあらゆるブランド、メーカーから様々なタイプのものが出ています。私の持っているEVEはやや厚手ですが、最近はかなり薄手のものや見た目も美しい吸水ショーツが出ています。
こちらは吸水型のボクサーパンツ、OPT。
女性下着はいわゆるフェミニンなイメージのデザインが多く、「かっこいい」といえるものはわずか。生理用下着となると尚更です。
OPTは、アスリートの方が作られた、ジェンダーステレオタイプによって選択が阻まらない、必要な方なら誰でも使える吸水ボクサーパンツです。「女性らしさ」が合わないと感じる方のために、そしてスポーツ界のジェンダー問題解決のために作られている点に、強い想いを感じます。
難民女性を救う、500mlの水で生理用品を洗えるLooop Can
ネジ状の部分を取り外して重曹と洗剤を入れれば、わずか500mlの水で生理用品を洗濯できる「Looop Can」。(Looop Canは繰り返し生理用品を使えることと、螺旋状の缶をかけているのかな、明快で好きなネーミングです)
Looop Canは難民女性の生理の貧困を解決するために作られたもの。
作られた背景には水不足の地域にいる人や、経済的に生理用品を買うことができない人を救いたいという想いがあります。難民キャンプでは夜に生理用品の交換のためにトイレに行く途中で性暴力に遭うことも…。
シェルター内で生理用品の洗濯や交換ができるようになれば、その危険を避けることができます。また、付属の布ナプキンは一見生理用品とは見えにくく、生理がタブー視されている地域でも人目を気にせず干すこともできます。
これはただの「洗濯できる缶」ではなくて、解決すべき深い課題に対する救いの一手だと感じます。実際触ってみるととてもシンプルな作りで、水不足の途上国でも多くの人の手に届きそうだと感じました。
こちらのプロダクトはIdeas for Goodの記事でも詳しく取り上げられています。
薬を使わず生理痛を「スイッチオフ」できちゃうデバイス
最後に、体に付けるだけで生理痛を軽減できる夢のようなデバイス、LiviaとNohaをご紹介します。
この2つは、身に着けてスイッチを入れるだけで神経に刺激を与え、薬を使わず生理痛を軽減させられます。技術自体は昔からあったのに、今までそれが女性の身体のために使われてこなかった。その壁を一つ壊した製品です。
薬が合わない人も多い中で、新しい選択肢が生まれることで、多くの人の助けになると思います。
フェムテックは、今までタブー視され「我慢するもの」とされてきた生理を捉えなおし、技術やビジネスの力を使って、身体や心の苦痛を和らげる新しい選択肢を与えてくれます。
どの商品も、今まで表立って出てこなかった声や潜在ニーズを捉え、ユーザーである生物学的女性の立場に徹底的に立って作りこまれています。商品企画や新規事業に携わる身として、課題を抱えるユーザーを真摯に見つめ、既存の概念を壊して新しい価値を生み出す姿勢はぜひ学びたいです。
生理用品って面白いかも!とか、なんで生理がタブー視されてきて、どんな問題が生まれているんだろう?と思ったら、こちらの本もおすすめです。(Kindle Unlimited利用されている方なら無料で読めます!!)
月経や女性の身体の健康を考えることはタブーではなく当たり前のことなので、フェムテックをきっかけにもっとオープンに誰もが対話し、みんなで苦痛や我慢を取り除いていける、そんなムーブメントにまで発展させていきたいですね。
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