女性活躍ミーティング①性別や世代を超え 生き生きと
女性活躍推進に取り組む企業・団体を応援するキャンペーン「WOMAN Next(ウーマンネクスト) 国際女性デーinぐんま2021」の一環で、協賛社社員によるミーティングを開催した。「女性活躍」「女性が働きやすい環境」といったテーマを基に、自社の取り組みなどについて率直に意見交換した。その内容を3回にわたって紹介する。
【参加者】
上田幸子さん NEXUS人事本部本部長
古川真美さん NEXUS人事部採用課課長
前原弘隆さん エムサロン社長
関ちぐささん エムサロン前橋川原店店長
田辺さおりさん アヌヘア ハワイアンセラピー・ディレクター
「柔軟な働き方」を組織がサポート
前原さん 前橋と高崎、伊勢崎で美容室を経営している。美容業界は女性の多い職場だが、結婚や出産による働き方の変化に対応していない美容室は多い。また、個人事業主が多いため、自由に休める半面、休むと収入も無くなる。
当社は社会保険に加入するなど、企業として女性従業員を応援する体制を整えている。まだ一般企業に比べたら足りないと思うが、ここ4~5年で復職する人や多様な働き方を選択する人の実績が出てきた。
田辺さん 米国最大のアロマセラピー協会の資格を取れるスクール事業を高崎でしている。生徒は全員が女性。ほとんどの人が資格を取って個人事業としてやっていきたいという意志を持っている。以前はブライダルの会社を経営していた。やはり従業員は100%女性。ライフステージに応じて働き方を変えていかなければならず、好きなことを継続する難しさを感じていた。
今の仕事をずっと続けられるか不安に感じたり、離婚したいけど経済力がないから何か仕事をしたい、という話もよく聞く。仕事は必ずしも一つだけではない。これからの時代は柔軟に、好きなことで仕事ができるといいと思う。それをサポートしたい。
女性を積極採用、職場に「声」を生かす
上田さん 運営するアミューズメント施設を女性が働きやすい環境にする目的で、2013年に社内組織「プロジェクトウーマン(PW)」を発足した。社内公募により制服のデザインを変えるなど、女性の意見を積極的に職場に生かすことから始めた。
女性のお客さまにも安心して多数ご来店いただける店舗を目指す社の方針からも、女性目線の店舗づくりを重要課題として取り組んでいる。
古川さん アミューズメント業界、特に過去のパチンコ業界は男性社会が根付いていた。店舗に女性スタッフが多いと、女性のお客さまも、より来店しやすくなると思う。
毎年新卒採用活動を強化し、現在は正社員の女性比率は20~30%。さらに女子学生を積極的に採用し、その割合を半分にしていきたい。
関さん 店長を務める店舗のスタッフの平均年齢は25歳くらい。今後、結婚や出産を経験する人が増えていくと思うが、安心して働けるところまで環境が整ってきたと思う。
制度「使う人」へのアプローチ必要
前原さん 一部の店舗では保育士資格のある人を雇い、託児スペースを設けている。東京や名古屋のサロンを参考にして始めたが、小さい子のいるお客さまに喜ばれている。美容室は女性スタッフが多い。
女性に優しい企業を推進していきたいし、社会貢献にもつながる。スタッフが育休後も復帰して、ライフステージに合わせて働けるというメッセージでもある。
上田さん 時短かフルタイムかなど、育休復帰後の働き方を選択できる制度もつくった。職場復帰後に実情に合わない場合は再選択もできる。男性社員の育休取得にも良い影響が出てきた。性別関係なく仕事と育児を両立できる環境にしていきたい。
古川さん 上司から「(育休などで)抜けても大丈夫だからね」と直接言われると安心感が全然違う。制度を用意するだけでなく、制度を使う人へのアプローチも大事だと思う。
支え合う風土で、キャリアをあきらめない
前原さん 美容師が一人抜けると確かに大変。でも、毎年新卒採用をして若い世代を育てているので、育休などで誰かが抜けたり、時短になっても会社としては揺らがないようにしている。
若いスタッフには「時短で働く人たちは将来の自分たちの姿なんだよ。だから協力してあげてね」と伝えている。仕事は頑張る時と、ちょっと抑える時があっていいと思う。互いを理解して支え合う風土を作り上げ、そうして築かれた人間関係が大事だと思う。
田辺さん 私自身、子育てでずいぶん慌ただしい時期があった。一方で、家庭より仕事を優先せざるを得ないこともあった。でも、子どもに「こういう生き方もあるよ」と見せられたのは良かったと思う。
子どもを持つ・持たないも、働く・働かないも自分の中で決めること。ただ、それをやりたいと思った時にその環境がないと選択肢を持てない。例えば会社を経営している人が少しでもステージを用意してあげるといい。そう思って事業を始めた。
上田さん キャリアアップを強く希望する人、家庭を優先に働きたい人、今の時代に働く女性の多様な価値観をしっかりとフォローできる会社でありたい。
古川さん 生活の中で性別や年齢を理由とする我慢やあきらめをなくしたい。そこをスタートにして、仕事も、結婚も、育児も、一人一人の事情を柔軟に配慮した職場環境づくりを目指すことが女性活躍につながると思う。
(2021年2月11日付上毛新聞掲載「WOMAN Next」紙面ミーティングを転載しています)