明日の種をまく 026_20230929
ルールから外れた生き方
私は小学校、中学校時代、どちらかという皆の模範的な生徒であった。
学級委員、生徒会活動、先生からも頼りにされ、大人ぶったいわゆる優等生。
高校に入ったとたん、私はみんなの枠から外れた生徒になった。
どうしてそうなったのか自分でも分からない。
でも生きづらくなくなった。
ビクビクしなくなった。
周囲の反応をあまり気にしなくなった。
むしろやっと自由になれたと喜んだ。
中学時代にあこがれていたような人たちの仲間入りを果たしたとさえ思った。
先生たちは私のことを「異端児」と呼び、取り扱いを難にした。
家族は変わりゆく私を気にしながら、それでもこの子はいい子のはずだと過度に期待した。
きっかけは高校1年の時の担任(数学担当)。
マイワールド全開の人で、生徒よりも自分が好きなんだなと瞬時に悟った。
中学までの指導者とは明らかに違う。そりゃそうだ、義務教育でなかった。
学問を教える方に注力していたが、中学から上がったばかりの私にはそれが理解できていなかった。
そして、祖母の病気。くも膜下出血で入院してからは祖父がそちらに付きっ切りになり、それまで子ども中心だった家族が崩壊した。当時両親は40歳前後。親自身が迷っている年代だった。
いきなり世の中に一人放り出された気分になった私は、自由を得て開放的になった。
その途端、親の敷いたレールから外れ、学校のルールも無視し、ラビリンスへと迷いこんだ。
思春期はとうに過ぎていたと思っていたが、今思えば、あれが私の思春期だったのだろう。
そこからは、私は我が道を進むこととなり、周囲の人に合わせることができなくなってしまった。
大人になった当初(1990年代後半)はみんなと一緒がいいと言われた時代だったから、浮いていて、上の人からは目の敵にされた。でも特徴のある私の存在を肯定してくれる人もいて、そういう人たちのために一生懸命頑張ろうと思った。
少しずつこの特徴が評価されるような時代がやってきた。目の敵にされた相手がちょっとずつ歩みよってくるのがわかった。でも私は妙にその人たちを毛嫌いした。いまさら!
変に利用されるのも嫌だった。魂胆みえみえです、と思った。
男女共同参画の「女性初〇〇」にやたら抜擢された。女性で選ばれるのが嫌だった。でも都合のいい時だけこっちも利用してやった。やりたいことができたのは嬉しかった。
一昨年会社を辞めると言い出した時も、バカにする上司がいた。
私の人事の決定権をもつ、相談すべき相手がこの上司しかいなかったのが不運であった。
「お前はバカだな。お前の考えを理解し、応援するだんなも両親もバカだな」
悔しかった。腹わたが煮えくり返った。
私を認めない、お前がバカだ。
私だけでなく、夫や両親までバカにしたお前は、とんでもない酷いヤツだ。
この時代において自分が正義だと思い込んでるお前はもはやこの時代には必要ない。
お前の会社人生なんだったんだろうな。時代についていけない、負け犬よ。さらばだ。
定年退職、最後の日。
私はヤツの顔をみながら、心で唾と砂をかけてやった。
自分でなく、夫と両親を赤の他人にバカにされたのがどうしても許せなかった。
私はたまに人の言葉に傷つき、コンチキショーと思って、頑張ってきた。
自分で目標をたて、元気に明るく、淡々と努力している自分も本当ではあるが、それだけではない。
相手を恨み、蔑み、怒りの気持ちでふんばってきたのも事実である。
そんな暴言を部下にあびせるパワハラ上司とろくに出勤もしないでなぜか会社をクビにされず管理職という席にとどまり、得た給料でベンツを買うような給料泥棒上司2人に「仕事を辞めます」と夢を語らざるをえなかった不遇な環境はもう2年も前のこと。
彼らはその時代に合った生き方をしたんだと思う。じゃないと部長や課長にまで上りつめなかったかもしれないよな。私は同じ時代を生きていないだけだ。もう水に流そう。
私の人生、それでもたくさんいい人に恵まれ、いい環境で生きてきたと思う。たくさんの人に感謝している。私に怒りの感情で頑張らせてくれた人にも結局は感謝である。いろんな人がいるからな。それはそれでよい。
今に見てろよ。
うぉんのすけさんは仕事を辞めて新しいことを始めて、とっても幸せに元気にやっているようですよ、と風の便りに乗せて、もう二度と会うこともなかろうあの上司の元にも私の近況を知らせたい。
こんなちっぽけで馬鹿馬鹿しい見栄のために、今を生きたくないが、小さな一人の小さな人生なんて、まっそんなもんじゃないかな。
発達障害の生徒を毎日支援する中で「生きづらい」という場面に遭遇し、なんだか昔の自分を振り返りたくなった今日のうぉんのすけでした。
今日もおまけの短歌
月見れば 落ち着く心 わかるのに 多忙理由に 夜が過ぎゆく
今日は中秋の名月、今日こそは満月見るぞと心構える
月は毎日出ているのに、なぜか空を見上げる習慣なし
顔を上にあげるだけで絶対元気が出るのになぁ~
あーもったいない天空の星、月
毎日、ただただ夜が過ぎていく
タイトル画像は、仲良くさせていただいているnoterさん温水温(ぬくみず ゆたか)さんの作品です。