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Aleph ZeroのzkOSについて


画像引用元:https://alephzero.org/blog/zk-privacy-evm-l2-zkos/

1:zkOSとは?

・まず最初にzkOSとは【Zero-Knowledge Operating System】の略
・Aleph Zeroのプライバシー保護機能を実現するために開発されたプラットフォームで、ゼロ知識証明技術を利用して、ブロックチェーン上でデータやトランザクションのプライバシーとセキュリティを強化するための重要な技術
・プライバシー機能を実現するためのエンジンとして機能

結果

・ブロックチェーン上での取引やデータを他のユーザーから隠すことができ、完全なプライバシーを保ちながら取引を行うことが可能

2:なぜzkOSが必要なのか?

ブロックチェーンの利点

最初にプライバシーの重要性を語る前にブロックチェーンの利点からお話しします。
ブロックチェーン/Web3 は 中央集権型の金融/Web2 に比べて、透明性、仲介コストの削減、ハッキングに対するセキュリティの強化など、多くの利点がある。

『しかしこの利点である透明性こそが、Web3へ参入する障壁になっている』

一般的なブロックチェーンは、銀行経由で送金するよりもプライバシーが劣ります。これは、その設計の中心にコンセンサス プロトコルがあるためです。
つまり、自分のwalletからいくら送金されたか着金したかを誰もが確認することができます。取引履歴や残高は全て公になってます。
これがブロックチェーンの透明性であり、Web2に慣れ親しんだ方にとって抵抗感を与える問題でありWeb3の人口を増やす障壁になります。

課題


今日のWeb2において、プライバシーの必要性とその採用は非常に明白です。例えば、Appleなどの大手テクノロジー企業は、プライバシーを独自の強みとして、パスキー、アプリのトラッキング透明化システム、メールのプライバシー保護などを開発しています。
WhatsAppは、チャットを開くとすぐに通信が暗号化されていることを強調し、SignalやThreemaはさらに高度なプライバシー保護を提供しています。
金融のプライバシーも同様に重要です。
暗号通貨が登場してから10年以上経ちますが、ウォレットの取引履歴を公開せずに暗号通貨を非カストディアルな形で他人に簡単に送ることはまだ困難です。
さらに、MEVなどによる取引の効率低下や、透明性がかえって悪用されるといった問題もあります。


簡単な話、あなたは投資の取引履歴や銀行口座の預金残高そして振込先の情報をみんなに知られたいですか?答えはノーが大半でしょう。
Web3の発展を期待するのであれば、プライバシー技術は必要不可欠です。
昨今、SNSの流行やネットの進化の過程でよく話題に出るのがプライバシーに関してです。
では、その技術がほとんどない世界に誰が飛び込んでくるでしょう?

【上記の課題を解決してくれるのが、zkOSです】

それでは、その中身を少し覗いていきましょう!

3:zkOSの特徴

  1. オンチェーンプライバシー: zkOSは、取引内容やトークンの移動に関する情報をプライベートに保つことができ、第三者が取引を追跡するのを防ぎます。

  2. クライアントサイドZK証明: ユーザーは自分のデバイス上でゼロ知識証明を生成し、プライバシーを損なうことなく迅速に取引を行えます。

  3. シールドプール: ユーザーはトークンをシールドプールに入れて隠し、完全なオンチェーンプライバシーを実現できます。これにより、トランザクションや資産保有情報が保護されます。

zkOSの具体的な機能

1. シールド機能(Shielding Demo)

「シールドデモ」は、zkOSの最も基本的なプライバシー機能であり、トークンを「隠す」ことができます。ユーザーは、Aleph Zero EVMテストネット上で自分のトークンをシールドし、取引やトークン所有に関する情報を他のユーザーから隠すことができます。シールド操作は、Webアプリを通じて行い、秘密のパスワードを設定してトークンをシールドプールに送ることで、完全なプライバシーを実現します。

2. プライベート送金機能

シールドされたトークンを使って、他のアカウントに匿名で送金することが可能です。外部からはどのアカウントが送金を行ったか追跡できず、トランザクションは完全にプライベートなままです。

3. リレイヤーによるガス代のカバー

匿名取引をさらに強化するために、リレイヤーという仕組みが導入されています。リレイヤーはユーザーに代わって取引を実行し、ガス代をカバーします。これにより、匿名性を損なうことなく新しいアカウントで取引ができ、プライバシーが保たれます。

⚠︎zkOSは現在も開発段階であり、メインネットローンチしておりません

4:zkOSの未来

zkOSが本格的に始動した場合、どのような影響をもたらすでしょうか?
zkOSがWeb3空間をどのように強化できるかについて、10個の現実的なアイデアをシェアします。


1. 分散型金融 (DeFi) におけるプライバシーの強化

DeFiプラットフォームでの取引や資産管理においてプライバシーを保護するために使用されます。ユーザーは自身の取引内容や保有資産の詳細を公開せずに、DeFiのプロトコルで安心して活動可能に。
これにより、DeFiに参加する新規ユーザーが増え、エコシステムの信頼性が向上します。


2. ID認証システムの進化

zkOSを活用して、個人のプライバシーを保護しながらデジタルIDを管理・認証することが可能です。Web3環境におけるデジタルIDシステムでは、ユーザーは自身の個人情報を公開することなく、信頼性のあるゼロ知識証明を通じてアクセス権限を取得したり、認証されたりします。
これにより、個人データの盗難や不正アクセスを防ぐことができます。


3. NFT取引の匿名化

通常、NFT(非代替性トークン)の取引履歴や所有者は公に公開されていますが、zkOSを使用することで、このデータを非公開にすることが可能です。アートやコレクタブル市場で、所有者がプライバシーを保ちながらNFTを購入・取引できる仕組みを提供します。
これにより、より多くのユーザーが安心してNFT市場に参入できます。


4. 分散型SNSでのプライバシー保護

Web3上の分散型ソーシャルメディアプラットフォームにおいて、ユーザーの投稿内容やアクティビティの追跡を防ぐためにzkOSを導入できます。
これにより、ユーザーは自分のアクティビティを他者に見せずに、自由にコミュニケーションを取ることが可能になります。SNSでの検閲やプライバシー侵害を防ぐ新たな形のソーシャルメディア体験が実現できます。


5. サプライチェーンの透明性とプライバシー

zkOSは、サプライチェーン管理における製品追跡や情報のやり取りの際に、必要な透明性を確保しつつ、ビジネス機密や特定のデータのプライバシーを保護することができます。製品の出荷元や価格情報などを隠しながら、消費者に対しては必要な信頼性を提供することができ、企業間でのデータ共有も安全に行うことが可能になります。


6. DAO(分散型自律組織)でのプライバシー重視の意思決定

DAO内での投票やガバナンスにzkOSを適用することで、ユーザーが匿名で投票に参加し、自身の意見を表明できるようになります。
これにより、参加者がより自由に意見を出せる環境が整い、DAO全体の透明性とプライバシーが両立される新たな意思決定プロセスを実現できます。


7. 金融機関向けのコンプライアンスとプライバシーの両立

zkOSは、金融機関においてプライバシー保護を維持しながら、規制の要件に応じた取引データの提供が可能です。具体的には、規制当局に対してゼロ知識証明を用いて必要最低限の情報のみを共有し、顧客の機密情報を公開することなくコンプライアンスを達成します。
これにより、規制の遵守と顧客のプライバシー保護が両立されます。


8. ゲーミングとメタバースでのプライバシー強化

zkOSを使用して、メタバースやゲーム内でのアクティビティや資産管理を完全にプライベートに保つことができます。例えば、ユーザーがゲーム内で獲得したトークンやアイテムを秘密裏に管理したり、ゲーム内での取引を他のプレイヤーから隠したりすることが可能です。メタバースやゲームでの新たなプライバシーの基準を打ち立てます。


9. デジタルアートの著作権保護

zkOSを利用して、デジタルアート作品の所有者や取引履歴を隠すことで、アーティストが自分の作品を安全に販売し、第三者による不正な複製や著作権侵害を防ぐことができます。デジタルアート市場でのプライバシー保護と安全性が向上します。


10. 分散型取引所(DEX)でのプライベートなトレード

zkOSにより、分散型取引所(DEX)でのトレードを完全に匿名化できます。トレード履歴やオーダー情報が公開することなく、安全に資産を売買できる環境が提供され、ユーザーが自分の取引内容を第三者から隠しながらDEXを利用することが可能になります。


【これだけの未来ある技術の実現に向けて動いているAleph Zero
期待せずにはいられないというのが、私が投資している理由です。】

その中でも最近テストネットで実装された「Shielding demo」
こちらを詳しく解説していこうと思います。

画像引用元:https://alephzero.org/blog/introducing-shielding-demo-zkos-testnet/ 

5:Shielding Demoとは?

(zkOSの具体的な機能の1で触れていますが、画像を交えて解説します。)


・zkOS によって可能になった最も基本的なプライバシー機能であり、トークンを「隠す」またはシールドします。
・これは、TZERO (EVM テストネット上の AZERO) を非公開にするために使用できるシンプルな Web アプリです。


アクセスすると上記の画面になり、右上の「How it works」を押すとチュートリアルに進むかどうか選択可能です。
使い方を、スクリーンショットを交えてお伝えします。

チュートリアルは上の「Start the step by step guide」を選択
1: 資産をシールドする
この操作では、あなたの資産をシールドプールに移動します。その中で行われたすべての操作はプライベートです。これがあなたのプライベートな空間です。
2: プライベートに送信
シールドプールからパブリックアドレス(自分のアドレス、友人のアドレス、または他の誰かのアドレス)に資産を送信します。
あなたのアカウントとプール内の資産は引き続き非公開のままです。
3: パブリックに送信
これはAleph Zero EVMでの標準的な送金です。
完了までの時間はプライベート送信とほぼ同じです。
4: 結果を確認
シールド、パブリック送信、プライベート送信のコストを比較し、あなたのデバイスでのZK証明生成の速さを確認してください。
私がMacbook pro M3でテストした結果は上記です。
0.28秒でzk証明生成完了。

私は最速で0.28秒という速さが出ました。
みなさんも、1秒未満で生成されるAleph ZeroのzkOSの速さを是非体感してみてください。

では、もう少しShielding Demoについて掘り下げていこうと思います。
しかしながら、このシールド機能は Aleph Zero EVM テストネット上の通常のスマート コントラクトですが、その機能は非常に特殊です。
実際、数学用語を使わずに説明するのは非常に難しいので
Shielding Demoをイメージする最も良い方法は、ブロックチェーン上の”魔法の金庫”と考えることです。(英語では、"magic vault"と説明してます。)
これは、Web アプリで「Shield」操作と呼ばれます。(画像の1にあるShield操作です。)


6:Shielding Demo 仕組み

ユーザーが10 AZEROを「魔法の金庫」に送金する際に、秘密のパスワードが添付されこのパスワードによって、後でそのトークンを取り戻すことが可能になります。このパスワードや預け入れた金額は魔法の金庫内に安全に保管され、他の人には一切見られません。このため、ユーザーは公開チェーン上に秘密データを注入できるわけです。

この"魔法の金庫"では、正しいパスワードを入力することで、預けられている10 AZEROを引き出すことができますが、外部の誰にも預け入れの日時やトランザクションの詳細が見えない仕組みです。

簡単な例を挙げると、太郎さんがこの"魔法の金庫"にAZEROを預ける場合、パスワードを設定しておくと、後から任意の新しいブロックチェーンアカウントへ引き出しができるようになります。この時、預け入れと引き出しを別のアカウントで行うため、外部の観察者からは、預け入れた人と引き出した人が同一人物であるとは分かりません。これはzk-SNARKの暗号技術のおかげで、パスワードが秘密のまま保たれるためです。

Shielding Demoでは、この操作が「プライベート送信(Private Send)」と呼ばれています。(画像2のプライベートに送信の操作です。)
具体的には、太郎が"魔法の金庫"から新しい(または別の)アカウントにトークンを送信することです。この操作により、完全なオンチェーンプライバシーが実現します。


7:リレイヤー

(zkOSの具体的な機能の3で触れてますが、詳しく解説します。)

上記の仕組みには微妙な問題があることに気づくかもしれません。太郎が新しいアカウントにAZEROを引き出すには、ガストークンでそのアカウントに資金を追加する必要があります(空のアカウントからはトランザクションを送信できません)。しかし、このために太郎が自分のAZEROを新しいアカウントに送信すると、そのアカウントが前のアカウントとリンクされてしまいます。これでは、元のアカウントが追跡されるという問題が解決されません。

この問題は「Relayers(リレイヤー)」を使うことで解決できます。リレイヤーは、ユーザーが"魔法の金庫"からの引き出し実行を委託できる特別な第三者です(Shielding Demoの中でもリレイヤーが登場します)。リレイヤーの役割は完全に信頼に依存しないもので、ユーザーはリレイヤーを使うことでセキュリティやプライバシーが損なわれることはありません。アカウント抽象化の概念に詳しい方には、この機能がERC-4337に似ていると感じるかもしれませんが、その通りです。この仕組みにより、シールドされた(匿名化された)トランザクションを匿名で実行できます。また、リレイヤーを完全に使わない選択も可能です。

最後に、Shielding Demoで使われる「魔法の金庫」の比喩は、この機能の直感的な説明を提供するためのもので、完全な説明ではないことを付け加えておきます。特に、資金を引き出す際、ユーザーはパスワードをそのまま「入力」するわけではありません。パスワードを入力すると、公開されてしまい、資金をフロントランニングによって盗まれる可能性があるからです。実際には、ユーザーはパスワードの知識を証明するだけであり、秘密のトラップドア(隠し鍵)を知っていることをゼロ知識証明で証明し、適切なトランザクションを実行します。


『今すぐ Shielding デモをお試しください。』

Aleph Zeroは、様々なブラウザやオペレーティング システム (モバイル デバイスを含む) での検証時間に関して、できるだけ多くのフィードバックを集めようとしています。
読者のみなさんも是非チームに協力してください!

8:まとめ

・Shielding Demoは、今後のCommon(Aleph Zero初のDEX)walletに統合されます。そして、2025年の第2四半期にCommon Mobile App ローンチを予定してます。
・Aleph ZeroはCommon Mobile Appの構築において、シールド プールを介してプライバシーをネイティブにサポートする前例のないソリューションの提供に懸命に取り組んでいます。また、すべての主要な EVM ネットワークに渡るチェーン間機能を確保し、ユーザーがサポートされているすべてのチェーンでトークンを非公開にできるようにします。

後書き

最後は難しい解説になってしまいましたが、これでも簡単に説明しているほど難しい技術をAleph Zero は創造しています。読者のみなさんには、少しでもプラスになれば嬉しいです。最後まで目を通して頂きありがとうございます。

参照ブログ

"How we have optimized ZK operations to under one second"
https://alephzero.org/blog/zk-operations-optimized-to-under-one-second/

"Aleph Zero EVM and zkOS: building Privacy-as-a-Service for web3"
https://alephzero.org/blog/zk-privacy-evm-l2-zkos/

"Aleph Zero: Contributors’ Update for September 2024"
https://alephzero.org/blog/contributors-update-september-2024/

"Introducing the Shielding Demo and zkOS on Testnet!"
https://alephzero.org/blog/introducing-shielding-demo-zkos-testnet/

参考動画

"Common's Shielding Demo is live on Testnet"
https://www.youtube.com/watch?v=eD6TZUmgX3w

参考DEX

Common (The Private DeFi Suite)
https://common.fi/


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