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【Jリーグ】2024シーズン展望

 いよいよシーズン開幕を控える2024年のJリーグ。今年は全カテゴリーでチーム数が20チームに統一。J1とJ2の降格枠が3枠に統一され、J3でも昇格プレーオフが開催されるなど新たなリーグ展開になることも予想されるシーズン。簡単ではあるが私なりの展望や予想を綴ろうかと思います。


◆J1

 優勝争い

 まず今季の本命と言っていいのが浦和レッズだろう。結果的に天皇杯がなくなってしまい、ACLもグループリーグ敗退で日程に余裕が生まれた。課題の攻撃陣に大型補強を展開し、2チーム作れる程に強力となった。懸念点は左SBがコンバートの渡邊になりそうなことと、半年で契約が切れるソルバッケンと海外移籍を見据える伊藤の動向に伴う夏以降の戦いか。
 対抗馬は昨季のTOP3であるヴィッセル神戸横浜F・マリノスサンフレッチェ広島。いずれも秋からはアジアの戦いが控えており、横浜FMは現行のACLも戦っているが、選手層や戦い方を含めて浦和に匹敵する力はある。神戸は当然ながら対策を打たれるが、それを上書き出来るかどうか。弱点を補う岩波・井手口・宮代らの働きがカギになる。横浜FMは過密日程とブラジル人の中東引き抜き、キューウェル監督の経験値が懸念点か。新・正GKのポープがどれだけパフォーマンスを維持出来るかも重要。広島はほぼ継続路線でスキッベ監督熟成の3年目。大橋の活躍と、とにかく満田が移籍・離脱せずに大迫が早期復帰することが条件になるが、優勝を掴む力はある。
 昨季のトップ4以外では既に公式戦で連勝スタートの川崎フロンターレも、秋に再びACLが待っているがブラジル人の早期フィットとなれば可能性はある。効果的な補強を展開したFC東京セレッソ大阪はそれぞれ松木玖生と毎熊晟矢が欧州移籍せずに1年戦うことが条件になるが、今年も開幕前では可能性を感じる。東京は今年も即戦力を複数加えたが、同時に長友・森重・東の重鎮をどの立ち位置にするかも大事なシーズンに。C大阪はヴィトール・ブエノと田中駿汰の補強は本当に大きい。また勝者のメンタリティを知る登里はオフザピッチでも大きな貢献。こちらも香川や清武、キムジンヒョンら重鎮のその後を見据えることも隠れたテーマになりそうだ。

 残留争い

 今季から降格枠が自動で3枠となり、かつての浦和や広島のようなビックリ降格が発生する可能性があるのはどのチームでも留意しておかなければならない。
 まずは昨季も最終盤まで残留争いに嵌ってしまった3チーム。柏レイソルは犬飼の完全移籍加入は大きいが、細谷が今夏に海外移籍するなら得点力に不安が生まれ、井原監督得意の守備整備に綻びが出れば危険水域に陥る。湘南ベルマーレは窮地を救った大橋が移籍。基本的に放出した選手は穴埋めしたが機能しないなら厳しくなる。反面で残留に貢献したキム・ミンテと田中聡がスタートから居ることは大きい。ガンバ大阪はオフに猛攻。中谷を筆頭に実力者や監督好みの選手を加え、PSMの広島戦では期待を覗かせる勝利。ただここ数年見られる戦術的不完全性な面が出てくるなら厳しくなる。
 昇格組も当然厳しい戦いは想定される。東京ヴェルディはレンタルとJ2下位チームからを中心に補強。目玉の見木の活躍や若手の突き上げを前提にしないと厳しい編成ではある。城福監督の残留経験値に期待したい。ジュビロ磐田は補強禁止の反動で数多くの選手を加えた。これが逆に諸刃な部分であり、連携再構築の可否で大きく変わる。昨季の内容面を躍進の可能性も感じるが、他のチーム以上に前半戦の勝ち点が重要になる。J1初挑戦の町田ゼルビアは分からないとしか言えない。豊富な資金力を武器に昌子を筆頭に選手層ならJ1中位クラスはあるが、戦い方も特に真新しくはなく、特に得点面はエリキ・デュークの個に依存している部分があった。J2で有用だった個の強さもJ1では活かせるかは不明なのが現状。
 その他では田中・小柏と攻守の要を抜かれた北海道コンサドーレ札幌はミシャ監督の長期政権によるマンネリ感も気になる部分。昨季後半に苦戦したサガン鳥栖も個の部分や決め手を欠くのを改善出来なければ危険な部類になる。中原やヒアンに期待がかかる。
 最後に昨季のトップハーフで気になるのは鹿島アントラーズアビスパ福岡だろうか。鹿島はやや後手に回るオフになり、加入内定していたチャリニッチが契約見送りでCBが3名の状態。どこまで我慢する水準を決めていないとズルズル行く可能性がある。福岡は昨季の躍進を支えた井手口や山岸らが移籍。特にCFはベンカリファを緊急補強したが、鶴野や紺野が得点力を増強させないとジリ貧な展開になりかねない危機はある。目玉の1人である松岡も試合感は気になるところ。

 順位予想

◆J2

 昇格・プレーオフ争い

 まず前提としては昨季プレーオフに進出した3チームと降格組の横浜FCがオフの編成でも強さを感じる。
横浜FCは引き抜きがあったものの、監督の教え子である福森や若い大型CFの櫻川や森という補強にGKメギオラーロの加入も大きい。サイドの層だけ不安が残るがJ2超級の陣容。陣容の豪華さで言えば清水エスパルスは今年も揺るがない。守備陣に若干の変更があったものの、ドウグラス・タンキの早期フィットとなれば独走の予感すら漂う。モンテディオ山形も仙台から禁断の移籍で2名を引き抜くなど脅威の補強を展開。ウイングには熊本の躍進を支えた坂本と杉山の両取りなど、J2超級の激戦区。左SB/CBが早めに固まればJ2優勝も現実的だ。ジェフ千葉も大黒柱の見木を抜かれたがその他の慰留には成功。横山やエドゥアルドにドゥドゥがスタートから居るのも大きい。加えてGK藤田の加入で後ろからキックで展開出来るのも大きく、16年越しの悲願は射程圏。
 その後に付けるのも昨季の上位組だろう。ファジアーノ岡山は勝負をかけた大型補強を展開。藤田や柳貴博ら木山監督の教え子を含む多くの主力を加え、全ポジションでJ2屈指の陣容。スタートダッシュが決まればJ2優勝すら有り得る。V・ファーレン長崎はカリーレ前監督の契約問題に揺れたが、前大分の下平氏が正式に監督に就任。鍬先やセザールという中盤の放出は気になるが、選手層に優れるチームに氏の就任は脅威には違いない。その下平氏が昨季まで指揮を執った大分トリニータはオフの補強には出遅れる形になったが、片野坂監督が3年ぶりに復帰。放出は最小限に留めた継続連携が強みになる。鮎川やキムらFW陣の2桁ゴールが条件にはなるが、プレーオフは現実性がある。ACLからスタートしたヴァンフォーレ甲府も大分同様に厳しいオフに。それでもゴンザレスやアダイウトンの突撃は脅威になりそうだし、京都から加入した三沢も大きな力になりそう。ACLで自信を付けた戦い方を昇華出来れば、主力の穴も埋まるはず。このブロック最後はザスパ群馬。昨季の躍進から可変システムの肝だった岡本を抜かれたのは痛いが、その他の主力は軒並み慰留成功。新加入の高澤や和田が得点力を増強させれば、クラブ史上初のプレーオフ進出は十分に現実的だ。
 最後に下位グループではベガルタ仙台を取り上げたい。今季からU-17日本代表監督だった森山佳郎氏を招聘。一貫してユース年代の指導に当たっていたが初のプロカテゴリーの監督に。全く以って分からないというのが事実だが、近年のJ2は就任1年目の監督が昇格を手にする例は多く、嵌れば面白いダークホースではある。

 残留争い

 J2も今季から降格枠が3枠に増大し、厳しい戦いが予想される。まず昇格組の2チームはクラブ規模を考えると効果的な補強を展開したが、まずは残留が目標になる。愛媛FCは昨季の主力はほぼ慰留した上で、若手のレンタルにJ3で大ブレイクした窪田や実力者の浜下らを加えた。エース松田やダンカンの得点力アップが課題にはなる。鹿児島ユナイテッドも金沢不動の司令塔だった藤村や若手有望株の田中ら補強は素晴らしいと言える。大島監督を含めJ2での経験が乏しいのが懸念点か。
 降格枠が3枠に増えたことで厳しい位置に立たされるのは、ここ数年ギリギリで残留を掴み取って来た2チーム。栃木SCは田中誠氏が自身初のAチームの監督に就任してリスタート。大きく飛躍したGK藤田から丹野に変更し、宮崎で奮闘した南野をレンタルで加えた。積年の得点力不足解消の為に彼が機能しないと厳しい戦いになる。レノファ山口も同様にギリギリで生き残ってきたここ数年を懸念し、八戸・FC大阪で評価を高めた志垣監督を招聘。こちらも守備からリズムを作る監督なだけに、梅木や河野といったFW陣や新加入の加藤がゴール数を伸ばせないと厳しくなる。
 続いて気になるのはいわきFCブラウブリッツ秋田水戸ホーリーホックの3チーム。まずいわきFCは多くの主力が移籍する厳しいオフに。もちろんその手腕を買われて新たな若手が成長を志て加入したが、全員を主力に計算するのは厳しい。クラブとしても初めての経験の連続で対応力も問われる。ブラウブリッツ秋田は今季も主力を引き抜かれるオフ。チームとしての経験値やブレないスタイルから可能性は高くないと感じるが、そろそろ長期政権になってきた吉田監督のマンネリ性や目玉の小松が不発なら危険水域に陥る。水戸ホーリーホックは主力の放出という点では慣れているが、昨年の終わり方があまり良くなかった。これを引きずると3枠では事故が起こる可能性も考えられる。
 最後に上記でも触れたベガルタ仙台は全てが不確定なだけに逆の結果に振れる可能性も当然考えられる。昨季の状態を考えると後半戦がどん詰まりだった中で補強が少なかった大分トリニータも事故が起こることがゼロではないと言わざるを得ない。

 順位予想

◆J3

 昇格・プレーオフ争い

 大きなトピックとして、今季からJ3にも昇格プレーオフが導入された。今まで2枠だった昇格枠が確定で3枠になり、6位まで可能性が残るのはモチベーションの意味でも相当大きい。
 そんな中での昇格争いは本命不在と感じているが、やはり陣容的には松本山雅が豪華な陣容だ。高井が長期離脱になってしまったが、それでも浅川や馬渡などJ3超級の選手が連ねて各ポジション満遍なく補強に成功。少なくとも自動昇格争いには絡んでくるだろう。昨季惜しくも涙を飲んだカターレ富山も本職FWの得点力にやや不安があり、昨季同様に得失点勝負になった時の不安はあるが、やはり自動昇格争いには絡んでくるだろう。
 J2からの降格組でもある2チームは、思ったよりは主力が残った印象。それぞれ監督が変わったが、大宮アルディージャは杉本に注目が集まるが中野克哉の補強が大きい印象で、期待の新星である市原と浦上とのCBはJ2でも上位クラス。直向きに戦えば1年での復帰は見えてくる。ツエーゲン金沢は新スタでのPSMで富山に大敗のスタート。伊藤監督の理想と現実の駆け引きが重要になるが、戦力は確かで有力候補なのは間違いない。大山・西谷・マリソンら効果的な補強を展開しただけにやはり昇格候補には違いない。
 その後に付けるチームでは、まずはFC今治が挙げられるだろう。昨季も4位と後一歩の中で福森や加藤ら有力者を加えた。その中で新外国人のモスキオンの評判がよく、彼が無双するならJ3優勝もあるだろう。一方でこの執筆中にアンジェロッティとJFL得点王の日野の離脱が発表され、前半は我慢になるだろう。ガイナーレ鳥取はGK・CB・CFと引き抜きが多かったが、有望な大卒ルーキーを複数人加えた。編成としてはかなり博打だが、いきなり複数人がブレイクするのとスロースタートの悪態を改善出来れば11年ぶりの復帰も見えてくる。
 その他ではGKやFWなどの層の薄さが気になるが、昨季5位の奈良クラブもプレーオフ候補にはなるか。クラブ史上最高の7位を記録したヴァンラーレ八戸と悲願の初昇格を狙うAC長野パルセイロは共に監督の教え子を多く補強してダークホースと言える。
 最後に全く分からないのがFC大阪。大嶽監督を迎え、実に20名超の新戦力を補強した。特にFWは大激戦区であり、競争原理が上手く嵌まればジャンプアップは有り得る。そして昨季最下位のギラヴァンツ北九州も厳しい戦いが予想されるが、昨季の鳥取を押し上げた増本監督を招聘し、各ポジションに先生役のベテランを加えた。何より最下位からのJ3優勝・昇格の経験があるだけに大穴として有り得るのではと感じる部分はある。

 残留争い

 昨年はJFLの結果により最下位の北九州も残留で終わった。今季も同じレギュレーションのため、実際の残留はJFLの結果次第になるが、ひとまずは19位と20位という順位についてを展望したいと思う。
 今季は昨季の下位チームで補強が厳しいというチームは少ないなと感じるだけに、こちらも予想が難しいというのが素直な感想。その中で残念ながら名前を挙げさせて頂くとすればテゲバジャーロ宮崎。昨季から半数以上の選手が入れ替わり、CBは大武らの加入でアップした印象だが、得点を担っていた南野が去り厳しい予想にならざるを得ない。同じく昨季下位に沈んだチームでは福島ユナイテッドは新加入の矢島が2桁取るぐらいでないと厳しい戦いになるかもしれない。監督初挑戦の寺田監督も不確定要素。その他ではFC琉球も藤春や高木大輔ら実力者の補強に成功し、逆にプレーオフ圏もあるかもしれないが、守備整備が追い付かないと厳しくなる部分はある。上記でも触れたがギラヴァンツ北九州も昨季の最下位であり当然厳しいポジションからのスタート。とにかく苦しんだFW陣の得点、永井の不発と平山の伸び悩みが重なれば厳しい局面に立たされる。戸田監督2年目のSC相模原は有力なブラジル人らを加え、残留争いに加わるのは低い見込みだが、確実に仕事をこなしていた安藤と東の穴埋めが気がかりな部分。
 その他では川﨑が抜けたカマタマーレ讃岐は内田を呼び戻し、昨季最終盤に大きなインパクトを残した冨永がスタートから居るのも大きいが、やはりFWの得点が鈍ればまさかの結末も有り得る。個人的に心配なのはいわてグルージャ盛岡。あまり目立っていないが実はレギュラーの半数が抜けた。攻撃の核だった和田と藤村は揃って群馬へ、守備の要だった甲斐・田代・丹野も抜かれて特にCBはどうにか数は揃った状態。警戒は必要だ。
 最後に昇格争いの項目でも触れたチームから、不確定要素の多い3チーム。FC大阪ガイナーレ鳥取は新卒の選手や入れ替わりが激しく、いずれも新監督なのもあり悪い方に振れてしまうと低迷も有り得る。奈良クラブは逆に少数精鋭だが、エース酒井がシーズンの大半を棒に振る大怪我。大卒ルーキーの百田とタイから来たパトリック・グスタフソンに頼らざるを得ない状況。田村・岡田と得点力のあるウイングを加えたのが救いだが、機能不全に陥ると可能性はゼロではない。

 順位予想

総評

 今季から全カテゴリーが20チームに統一され、特にJ1とJ2の残留争いとJ3に昇格プレーオフが導入され、昇格枠が3枠固定で得られることになったことは大きく戦いを変えるだろう。降格枠が3枠に増えることで過去に起こったような、スター軍団がまさかの降格…ということも発生するし、逆にここ数年最後の最後で残留を掴み取ってきたチームが振るい落とされることも想定される。その為、試合内容は堅い試合が多くなるかもしれないが、リーグ推移は逆に面白くなりそうだ。
 逆にJ3は昇格プレーオフが導入されることによって更に激化しそうで、J2昇格経験のない9チームや富山・鳥取の10年以上ぶりのJ2復帰など様々なドラマが巻き起こりそうだ。
 また2024年は広島でエディオンピーズウイング広島、金沢で金沢ゴーゴーカレースタジアムが今月開場。10月には長崎でPEACE STADIUM connected by SoftBankが開場。1年で3会場もの新スタジアムが開場するのはW杯を控えた2001年以来のこと。是非とも現地で迫力を体感して欲しいなと思う。

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