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回転のススメ

 一般的にはAOCを落しても、大抵の場合、ラベル変更でことは足りるのだが、ただ例えばアルザスはちと事情が異なる。ドメンヌ ビネールを訪問した時だ。クリスチャンが、
「アルザスのボトルを知ってるだろう。あの細長い特徴あるボトルは、アルザスAOC用のボトルなんだ。だからAOCを落とすと、面倒なんだよな。あのボトルをVdFに使えないので、折角ボトル詰めしてあるワインを別のボトルに詰め直さなければならなくなる。そうなったら、本当にヒェェー、だ。」
と、言っていた。そして、未だラベルの無しのゲヴェルツトゥラミネールのボトルを手に、
「これもまだなんだよなぁ(AOCを通っていない)。まぁ、何時ものことだけどさ。」
 本当にご苦労様です。
 さて近年、ワインの造り手の間で、ネゴシアン(ワイン商)の立ち上げが流行っている。理由は、冷害や雹害などでの収穫減による損失危機管理管理のためだと言う。まぁ、分からないでもないが、買い葡萄では、小規模生産者の醍醐味が薄れて、好きではない。その点、クリスチャンが最近若い造り手たちと始めた取り組みは、ちょっと趣を異にする。
 彼らの取り組み、Les Vins Pirouettes (レ ヴァン ピルエットゥ)は、小規模生産者の弱体化につながる従来のネゴシアンと違い、多数の造り手で一つの販売戦略を共有することで、販売網の拡大を図ろうとする。その最大の利点は、情報を共有し技術的に向上しつつも、各々の個性を保ちながら生産でき、多彩なワインを展開できる点だ。現在のメンバーは、Stéphane Bannwarth、Julien Albertus、Hubert & Christian Engel、Olivier Carl、Claude Straub、Eric Kamm、Raphaël, Catherine & Daniel (Domaine de l'Envol、Jean-Luc & Michèle Shaeringer (Wymann)、Jean-Marc Dreyerの9名で、Christian Binnerが指揮をとる。

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