元オタクが語る『武則天-The Empress-』2014
作品情報
出演:
范冰冰(ファン・ビンビン)
張豊毅(チャン・フォンイー)
李治廷(アーリフ・リー)
張鈞甯(チャン・チュンニン) 他
原題:『武媚娘伝奇』/中国古装ドラマ(全82集)
配信メディア:Amazon prime+U-NEXT
キーワード:女帝+時代劇+美女ばかり
中国古装ドラマの名作・大作といえばと問うて必ず名前が挙がる作品はいくつかあるが、本作は間違いなくそのうちの1つに数えられよう。
中国史上で唯一皇帝として君臨した女性の波乱に満ちた人生を、三億元という大金を投じて描いた物語だ。
主役の武則天を演じる范冰冰(ファン・ビンビン)は、いっとき脱税問題を取り沙汰されたが、今も変わらず大陸を代表する美しい大女優だ。
武則天の親友でありライバルである徐慧を演じた張鈞甯(チャン・チュンニン)は台湾出身だが、これまたとてつもなく美しい実力派女優である。
一方、武則天がひたむきな愛を捧げ続ける李世民を演じるのは大陸の大御所俳優張豊毅(チャン・フォンイー)、『さらば、わが愛/覇王別姫 』1993や『始皇帝暗殺 』1998など、代表作を挙げればきりがない。
李世民に代わって後半の武則天が仕える李治を演じる香港の李治廷(アーリフ・リー)、当初は歌手として返還後にデビューした人だが、今は俳優としても精力的に活動している人だ。
一流演者たちの演技力や見目の美しさは言うまでもなく、衣装やアクセサリーから調度品に至るまで贅を尽くした、本当に美しい作品だと思う。
あらすじ
息子の謀反を封じた最晩年の則天武后(演:范冰冰/ファン・ビンビン)が、息子への譲位を説かれ若かりし日を回想し始めるという形で、第1話が始まる。
そして第2話から、入宮したての頃の彼女の物語が始まるのだが。
個人的には、息もつかせぬ展開にハラハラして矢継ぎ早に観たのは、李世民(演: 張豊毅/チャン・フォンイー)の存命中まで。
武則天を史実よりキレイに描きすぎだろうとはずっと思っていたが、フィクションとして見るならそれでも非常に面白かった。
聡明過ぎたがゆえに、そして負けん気が強過ぎたがゆえに、人に妬まれもし李世民にも愛されもした彼女が、まさにその聡明さやしぶとさで登りつめていくのが爽快。
時に独りよがりな正義感にイラッとしつつも、彼女の言動の根底にはいつも李世民への純粋な思慕があるというのがまた、いい。
幼馴染との間のほのかな恋心、親友の裏切り、女同士の謀略の応酬など、ドロドロハラハラ好きにはたまらない展開だ。
ところが一転、話が進んで李治(演: 李治廷/アーリフ・リー)が即位したあたりから、物語がなんとなくつまらなくなっていく。
則天武后がより残酷に権力を求めるようになっていった姿を描きたいのかもしれないが、彼女が堅苦しくなっていくだけに見えて、何のために何を守ろうとしているのかが説得力を持って見せられていない。
それなら、最後までフィクションの生き生きとした〝范冰冰的武則天〟を貫いて欲しかった。
振り返ってみるに
このドラマの1番の見どころは、何かにつけて豪華絢爛、ということだろう。
前述の通り、とにかく女優陣が美しい。
10年前の作品なのにメイクは今風で垢抜けているし、髪型も装飾品も毎回意匠を凝らしている。
息を呑むほど美しい人が、やらしくない程度にセクシーな衣装でシミひとつない豊かな胸元を見せつけつつ、憂いの目で秘めた想いを語る。
同性から見てもキュウウウンって、ウットリですよ。
規制の多い中国では、放送開始からしばらくして一度放送休止なり、編集指示の憂き目にあったとか。
あれは決してエロではない、あれこそ美ですよ芸術ですよ、もったいないわ〜
しかし、まぁ登場人物が多い。
そしてやたら話が長かった。
これで撮影期間は半年というから驚く。