海外のセールステックを調べてみた_Vol.1_Highspot(セールスイネーブルメント)
こんにちは!Quicker株式会社 代表の渡邊です。
職業柄、海外のセールステックを調べたりするのがある意味で趣味になっているのですが、自分のメモで終わらせるのは勿体無いので、noteでシリーズ化して発信していこうと思います。(Vol.2は3ヶ月後とかになるかもしれないので、その点はご了承を。笑)
まず、記念すべき1発目は今年の1月に、評価額35億ドル(約3,500億円)で「2億4,800 万ドル(約248億円)の大型調達を発表したセールスイネーブルメントツール「Highspot」です。
Highspot とは?
概要
創業は2012年で、本社は米国のシアトル。ファウンダー/CEOは「Robert Wahbe」さんという方。Microsoftで重役を務めて、Colusaという会社を経営していたこともある元起業家。
G2の「Sales Enablement Software」ではパフォーマンスがとても高い模様。
競合
上記がバチバチの競合みたいです。
ファイナンス
Salesforce Venturesも出資しているのが特徴的。(競合のSeismicにもShowpadにもmindtickleにも出資していないので、SalesforceとしてはこのSales Enablement領域についてはHighspot一択に張っている印象。ちなみにmindtickleにはSoftBank Vision Fundが出資している。)
Highspotの機能
Highspotの機能は多岐に渡るのですが、
上記5つが主な機能となっているみたいですね。これだけじゃ何のこっちゃという感じなので、それぞれを見ていきましょう。(一部、省略。)
コンテンツ管理
・まずは特許を取得したAI 駆動型検索(何か凄そう)を用いて行う「コンテンツの検索機能」ですね。
確かによくありますよね。
「あー、去年の今頃に〇〇さんが△△株式会社に作った費用対効果に関する資料ってどこにあるんだろうなー。」って場面。
Googleドライブを見てもDropboxを見ても、出てこないじゃん。〇〇さんにメールやチャットで聞いても「あ、ちょっと待ってね。どこかにあるはず。」と言われて、手元にそのコンテンツが来るのが、2日後とか。
これがHighspotなら「〇〇さん △△株式会社 費用対効果」で検索すればすぐに発見できる。これはとてもわかりやすく便利な機能ですね。
当然、Salesforce等のCRMとの連携も可能で、受注した商談で使われたコンテンツが自動でレコメンドされたりするみたい。
Highspotが、商談のフェーズ、顧客のセグメント、業界毎に「ねえねえ、あなた。このコンテンツを使えば?」って提案してくれる。もう米国はそこまで進んでいるのか。とんでもないですね。
また、資料の公開・整理・管理も簡単。どの資料がどこの誰といつ共有されているかも一目瞭然。(まあ、これは一般的なファイルストレージのサービスであればできることではある。)
個人的にこのコンテンツ管理の機能において、最も優れている部分はこのコンテンツ毎の「分析機能」にあると思います。
どのコンテンツがどのぐらいの収益に寄与したか。これって一般的なクラウドストレージのサービスでは代替ができない。Highspotを含めたこの領域ならではの機能なのかと。
後は、Highspotのコンテンツ管理において他社より優れている部分は圧倒的に「見やすい」「調べやすい」「速い」UXにあるかと思います。どんなにデータや資料が多くても、「検索 → 表示」させるまでのタイムラグがほとんど無い。(実際に使った感想)
あれ?あのコンテンツってどこだっけ?と思ったら、パッと出てくる。時間が無い営業担当者から重宝されるのがよくわかります。
SalesforceライクなデザインなのもGoodポイントですね。
直感的なトレーニング
さあ、どんどんいきましょう。次にオンボーディングとトレーニングの機能。
コンテンツ管理の機能に加えて「営業担当者のオンボーディングのコンテンツ」を簡単に作り、効果測定ができるみたいです。
確かにこれって一から作成するのが大変だし、チームごとに属人化しがちでアップデートするのも大変そう。
何より作成したオンボーディングのコンテンツが「良いのか」「悪いのか」を測定するのが一苦労。そこらへんの深い課題を捕らえた機能ですね。
上記の画像に記載のある通り、オンボーディングのコンテンツを完了するだけでは不十分であり、というのはその通りだと思います。
HighspotならこれもまたSalesforce等のCRMと連携したりして、そのオンボーディングのコンテンツがどれだけ商談に寄与したかもわかるみたい。
精度はどうあれ、セールスイネーブルメントの担当からしたら、喉から手が出るほど重宝されそうな機能ですね。
そしてそのオンボーディングのコンテンツをHighspot上でサクサク簡単にドラッグ&ドロップで作成できてしまう。
そもそもこういうのって作成して運用を行い、改善までにツールが分断したりするので、一つのプラットフォームで「作成 → 編集 → 効果測定」までできるのはかなり便利そう。
顧客とのエンゲージメント
そして最後に、顧客とのエンゲージメント機能についてです。この領域は日本でも最近、割と熱い領域ですよね。
まず、バイヤー毎のパーソナライズ機能。
んー。確かに〇〇社にロングスパンで提案した時に、
上記がメールにベタ貼りで、先方に読まれたことがわからないとか、最新版がどれかわからないとか、ありそうですよね。
それをHighspot上で〇〇社にカスタマイズされたページを作成し、そこでコンテンツの共有できるのは圧倒的に便利ですよね。
そしてそのコンテンツが顧客にいつ見られたのか、いつ共有されたのか、どれだけ閲覧されたかを察知し、通知を出してくれる。その画面からワンクリックでSalesforceのコンタクト情報に飛べることができる。
コンテンツの評価・検証も一目でできるし、顧客へのアプローチのフックにもなると。
ざっくりですが、機能の紹介は以上。
国内のSales Enablement領域の主要プレイヤー
【主要なプレイヤー】
1. ナレッジワーク
2. Sales Doc
3. Handbook X
4. Enablement App
5. nocoセールス
よくよく見てみると、ナレッジワークがHighspotをベンチマークにしている印象を受けますね。老舗のSales DocとHandbookの牙城をどう崩していくかが大きなポイントになりそう。
個人的な意見にはなりますが、Highspotと国内の主要プレイヤーの機能的な差分については大きく2つ。(本当にあくまで個人的な意見)
CRM(Salesforce等)との連携
これはSales Enablementの領域に限らずですが、CRM(Salesforce等)との連携はまだまだ大きな差分がありそう。例えば、上記にも挙げたコンテンツの良し悪しをSalesforceの商談と連携して分析するとか、既存のCRMのデータとコンテンツの融合の部分はCRMの普及・浸透と共に、これから各社が取り組んでいく余地がある気がしますね。
検索エンジン・レコメンドの精度
この精度は相当Highspotも力を入れており、国内のプレイヤーと大きな差分がありそう。特にレコメンドにおいては、その人やその時の商談に合った最良のコンテンツを上位表示する機能等を実現するまでに、思い切った技術的な投資も必要。
以上、簡単ではありますが、Highspotの紹介でした!まだまだ調べたい企業が数多くあるので、定期的に更新していきたいと思います。
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