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自社の人事、経理、法務、コーポレート機能をAI化!〜生成AI活用の最前線〜


少人数企業ならではの課題とAI導入の必要性

私たちの会社は、代表をはじめ、全員が事業を推進するエンジニア&コンサルタント集団です。
そのため、バックオフィス業務については、代表はもちろん、社員全員で実施しなければならず、事業に注力するためには、バックオフィス業務を徹底的に効率化する必要がありました。
ERP出身の社員が多いため、業務プロセスはシンプルに設計していましたが、年間発生頻度の低い業務は、マニュアルを残しているものの、処理内容を忘れてしまうため、社員が自ら調べたり、人事や経理など代表が兼任している業務は、直接代表に質問したりする必要がありました。
この状況は、双方にとって時間と労力をムダに使うため、事業と並行しての業務の蓄積は、ボディーブローのように効いてきます。

生成AI「Dify」による人事、経理、法務のAI化

私たちの課題は、「Dify」の登場により早期に解決できることを確信しました。
「Dify」は、ChatGPT、Gemini、Claudeなどの生成AIと組合せができ、プロンプトを書くだけで、 RAGを使用したエージェント形式のチャットボットから複雑なAIワークフローなどをノーコードで 瞬時に作成できる高度アプリケーションプラットフォームです。
そして、私たちは、この「Dify」のエージェント機能を活用し、コーポレート機能の知識を全てAI化することに踏み切りました。

実施方法は、社内規程やマニュアルなどをはじめとしたドキュメントをDifyのナレッジに読み込ませ、RAG環境を構築し、人事、経理、法務のそれぞれの人格と前提条件をプロンプトで与えたチャットボットアプリを生成しました。

人事であれば、ナレッジへ就業規則、企業型拠出年金制度、福利厚生制度などで作成しているドキュメントを全て取り込みます。
プロンプトへ、人格(自社の人事部長であることや人事労務の専門家であることなど)を定義し、また、前提条件として、取込みしたナレッジを必ず参照することや、会社の設立日、従業員数、決算時期、売上高などの会社情報、利用している人事労務管理システムの情報(サービス名と契約プラン)を記載します。
freee人事労務など、インターネット上に操作マニュアルやナレッジなどが多く存在するサービスは、契約プランの情報を記載することで、操作などはインターネット上にある情報から抽出して答えてくれるので便利です。
自社特有のカスタマイズやあまり情報がないシステムを利用している場合は、マニュアルなどをナレッジに取込みます。

これにより、社内の規程や制度などのルールを優先情報として扱い、生成AIならではの一般的な情報も拾えるため、社員は疑問点が生じた際に、チャット形式で気軽に質問し、スピーディーに情報を得られるようになりました。

Difyで構築したコーポレート機能

ちなみにDifyで構築したこれら全てのチャットアプリは、わずか30分ほどで作成しました。
だいたいの内訳は以下です。

  1. ドキュメントの収集:10分

  2. ナレッジへのアップロード:5分

  3. プロンプト作成:5分

  4. テストと調整:10分

出張手当に関する質問

Dify導入による効果と気づき

Difyを活用することで、想像以上に簡単に、そして、圧倒的な低コストで、業務効率化、情報共有の円滑化を図ることができたのはもちろん、
何よりも今回のコーポレート機能のAI化を進める中で、気づけたことは、AI化においては、規程などのルールがシンプルなものであればあるほど的確な回答を得ることができることです。
分岐や条件が多いものは、Difyのカスタマイズ機能で、言葉の振り分けや情報の抽出をより細かく設定することも可能ですが、
基本的には、生成AIが解釈する言葉(一般的な言葉の意味や解釈に基づいて)に従い、カテゴリを振り分けていくことで、より精度の高い回答を得られる印象です。
シンプルなルールつくりは、会社内のルールの透明性や公平性にもつながります。
これまで長い年数、つぎはぎで作られてきた多くのルールや制度を、このAI化のタイミングで改めて見直すきっかけにするのも良いかもしれません。


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