【中上級者向け】音楽ライター網田有紀子さんによる、My Chemical Romance(マイケミ)通も唸る全10曲
新型コロナにて来日キャンセル…
試練を乗り越えた我々のもとへ。待望の再来日!
パンク/エモ・シーンに絶大なる影響を残し、2013年に一度活動休止をしたものの、2019年に奇跡の復活を遂げた、アメリカ出身のロック・バンド、My Chemical Romance(マイ・ケミカル・ロマンス)。
2023年3月25日(土)&26日(日)、PUNKSPRING2023での登場は眼前です!
さて、フェスの予習/復習/そもそも初めて聴くんだけど、などのご要望におそらくなんでもカバーできるであろう<マイケミ、鉄板おススメ曲・全10選>記事を公開しましたが。
やはりこれだけでは物足りない!という方へ、マイケミといえばこの方!の音楽ライター、網田有紀子さんに
という無茶難題を押し付けて(網田さん、この度はありがとうございました…!)ご選曲頂いた当企画。これを聴けば更に深くマイケミを理解できるかも!?
それでは張り切っていきましょう!
楽曲発表(10位から1位まで!)
10位 The World Is Ugly
3作目『ザ・ブラック・パレード』と4作目『デンジャー・デイズ』の間にレコーディングされた未発表曲を集め、2012年に2曲ずつリリースされた『コンベンショナル・ウェポンズ』の第3弾『ナンバー・スリー』収録曲。
パンキッシュなロック・ソングが多数を占める同作の中で異彩を放つ美しいバラードで、「I Don’t Love You」を思わせるイントロやバースのメロディの切ない響き、「世界は醜くても、僕にとって君は美しい」としっとり歌われるサビが胸を打つ。
昨年の復活ツアーで、曲としては14年ぶり、スタジオ・バージョンがリリースされてからは初めてライブで披露されてファンを沸かせた。
9位 Sleep
名曲揃いの『ザ・ブラック・パレード』の中で埋もれてしまいがちだが、アルバムでもライブでも聴き応えのあるドラマチックな曲。
マイキーはこの曲で90年代半ばのスマッシング・パンプキンズを思わせるようなビッグなギター・ロックを作りたかったと語っている。
メンバーはレコーディング中にこのアルバムに殺されるとまで思い詰めたそうだが、そんな極限状況がそのまま音になった重厚なサウンドで、悪夢にうなされて胸をかきむしるようなギター・リフが押し寄せてくる。
絶叫の果てに光が差し込むようにして緊張が解き放たれていくラストにはカタルシスが感じられ、もともとはアルバムのラストを飾る予定だったというのも納得できる。
8位 Desolation Row
ボブ・ディランの名曲「廃墟の街」のカバー。ザック・スナイダー監督による映画『ウォッチメン』(09年)のために制作され、10分を超えるフォーク・ロックの原曲を3分強のパンク・ソングへと大胆に変身させた。
原作のアメコミは、ジェラルドが15歳の時に読んでアートに入れ込むきっかけになったという重要な作品。
原作のディストピア的な世界観と『ザ・ブラック・パレード』後に粗削りでストレートなロックへと方向転換した当時のマイケミのサウンドが見事に融合している。
日本のファンにとっては、09年に大トリを務めたサマーソニックで披露された思い出の曲でもある。
映画と同じくザック・スナイダー監督が手掛けたミュージックビデオも必見。
7位 The Kids From Yesterday
『デンジャー・デイズ』の本編ラストと言える曲で、ライブでも終盤によく演奏されている。
打ち込みのビートとシンセの音色を効かせ、ミッドテンポで「僕らは過ぎた日のキッズ」と歌うコーラスにはノスタルジックな響きがありながらも、キラキラしたメロディで現在の自分を祝福するようでもあり、未来への希望も感じさせる曲だ。
一度静かになってからビートが戻ってくるアウトロは、ライブでマイキーのベースの見せ場になっている。
ちなみに2作目『スイート・リベンジ』の「Give ‘Em Hell, Kid」ではイントロがマイキーのベースソロで始まり、この曲もライブでひときわ盛り上がる。
6位 Summertime
『デンジャー・デイズ』収録のマイケミ史上最高に爽やかなラブソング。
マイキーが作ったリフから生まれたといい、マイケミにしてはギターもボーカルもメロディもとにかく何もかもがキラキラしてまぶしくてたまらない曲だが、ジェラルドは
と語っていて、あらゆる意味でルールを無視したアルバムにふさわしいと言える。
ジェラルドが07年に結婚したLyn-Zへの思いを綴った歌詞(コーラスの「Run away with me」と「Anytime you want」は2人がライブで腕や首に書き合っていた言葉だ)も、メタファーに隠れることなくストレートな言葉が並んでいてぐっとくる。
5位 Demolition Lovers
「Summertime」と対照的に、マイケミ史上最もダークなラブソング。
1作目『アイ・ブロウト・ユー・マイ・ブリッツ、ユー・ブロウト・ミー・ユア・ラヴ』のラストを飾り、まだ作り込まれていないシンプルなサウンドだけにエモーショナルなボーカルが際立つ。駆け落ちして心中しようと車を走らせる「破滅の恋人たち」を歌った歌詞は、退廃的で暴力的なまでにロマンチックな世界を描き出し、『スイート・リベンジ』へと続く彼ら独自の美学がすでに確立されている。
泣きのギター・ソロから畳みかけるように熱い思いをぶちまけ(ベッドにバラを敷き詰めるのと同じ思いで銃に弾を込める屈折した愛!)、銃声が響く直前のようにブツリと終わるラストは鳥肌モノ。
4位 Save Yourself, I’ll Hold Them Back
シンセを効かせたパーティ・ロック・アルバムで、それまでのマイケミらしくないと評されもした『デンジャー・デイズ』だが、楽器や方法を変えただけで、バンドの本質となるメッセージはよりストレートに表現されている。
「君は自分を救え、僕が奴らを押さえておくから」というタイトルからして、自分を救えるのは自分だけだ、でも君はひとりじゃないというマイケミの救いの構図そのものだ。
少し落としたテンポがメロディの良さを引き立てる曲で、ジェラルドによると
という。
3位 I Never Told You What I Do for a Living
『スイート・リベンジ』で最も有名なのは「I’m Not Okay (I Promise)」だが、あのポップさはむしろ異質と言えるほど、あらゆるジャンルの激しさを集めたアグレッシブな曲が多数を占めるアルバムだ。
中でもこの曲はジェットコースター並みの緩急のつけ方が最高で、重厚なギターと絞り出されたボーカルが容赦なく耳と心をえぐり、畳みかける展開で聴き手の両肩をつかんで揺さぶりながら断末魔の絶叫と共に奈落の底に突き落とす。
豪速で落ちる瞬間の浮遊感を存分に味わわせたところで滑らかに着地するエンディングは、思い切り泣きはらした後のような爽快感をもたらしてくれる。
『ザ・ブラック・パレード』で完成されるロック・オペラの萌芽とも言えるかもしれない。
2位 #SingItForJapan
2011年3月11日に起きた東日本大震災を受けて、マイケミは急遽『デンジャー・デイズ』からのシングル「Sing」をリメイクした「 #SINGItForJapan 」をリリースした。
レイがアレンジとプロデュースを手掛け、
というメッセージを発表し、この曲の収益は赤十字社に寄付された。
ジェラルドがボーカルを録り直し、大勢のミュージシャンが協力したレコーディングの様子に加え、世界中のファンから送られた映像や写真やアート作品をまとめたミュージックビデオは涙なしには観られない。
1位 Skylines and Turnstiles
ファースト・アルバム『I Brought You My Bullets or Bullets』に収録されたこの曲が、マイケミの始まりだった。
2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロを受けて、当時ニューヨークで働いていたジェラルドは自身が目撃した光景と抱いた思いを曲にして、バンドを始める決意をした。
ギターとドラムとベースのシンプルなサウンド構成に真摯なボーカルと粗いスクリームが絡み合い、「もしもまだこの胸の空洞に心が残っているとしたら、こんなものを見た後でイノセンスを取り戻すことができるのか?」という問いかけは、あの日から20年以上が経った世界においてもいまだ切実な意味を持っている。
昨年の復活ツアー中、(偶然か必然か)9月11日に行われたニューヨーク公演で演奏されたことも感慨深い。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
何度も申し上げますが…念願の復活来日となるマイケミ。
どんなステージになるのでしょうか…たくさんの方の記憶に刻み込まれるような、そんな素晴らしいものになっているといいですね…
それまでに以下のプレイリストも併せてチェックしてみてくださいね♪
Apple Music - はじめてのMy Chemical Romance
Spotify - This is My Chemical Romance
マイケミ公式グッズもチェック!
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My Chemical Romance - Warner Music Japan Artist Site