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3年間のトレーニング~超級の育成について

 こちら前回の記事ですが、超級のことについて触れてましたね。
 超級の話をする前に現状の育成に関しての話からしていきましょう。

3年で結果を残す難しさ

 ウエイトリフティングを始める年代の多くは高校生だと思います。昔よりかは割合的に少なくなっていると思いますが、大半の選手が高校から競技を始めていると思います。
 高校から始めた選手がその後、(趣味や健康などのために続ける人以外で)大学や企業で競技を続けていくには高校の時点である程度の「結果」が求められます。問題は初めてウエイトリフティングをする人が、3年という期間で成果を残さなければならないという点です。
 「問題」という言葉を使いましたが、問題というのは体への負担という意味で使わせていただきました。高校1年生の体は個人差はあっても、まだ高重量を持てるような体の構造には至っていないと考えられます。少し極端な話ですが、指導者の多くは強くなるためには高重量×高回数といった、高負荷の練習をすればするほど選手は強くなるというのは理解しています。それが一番シンプルなので。将来の展望がある選手はその練習に耐えようとします。その結果どういったことが起こるでしょう。
 まず一番悲惨な例は練習に体が耐えられず、怪我をして競技を引退します。または練習に集中できなくなったり、休みがちになったり、退部したりするかもしれません。
 成功例としては体が耐えられないことを早い段階で理解し、適切な重量でテクニック方面を伸ばし、徐々に筋力も増えて最終的に耐えられるパターン。もうひとつは「フィジカルモンスター」のパターン。フィジカルモンスターとはスポーツによって様々な使われ方をしますが、ウエリフだと最初から高負荷の練習に耐えられる、怪我をしてもある程度なら耐えて動かせる、自己治癒力が高いなどですかね。
 ここで出したのは極端な例です。最初に強靭なフィジカルを作りをする指導者もいれば、テクニックを重視する指導者もいます。選手によって指導を変えることももちろんあります。しかし3年という期間は意外と少なく、どこかで無理をしなければならないというのが私の考えです。
 腕力が強いというのはウエイトリフティングにおいて、アドバンテージのひとつと思われがちですが、最初期の段階では腕力は弱い方がいいのです。腕力だけで挙げられる重量はたかが知れています。腕力のある人はどうしても腕力に頼ってしまいがちで、フォームを形成、理解する妨げになります。一方、腕力のない人は力に頼らず、使える筋肉を総動員して体全体で挙げるフォームになります。
 それを踏まえて超級の話に移ります。

超級の育成

 体重だけで決めていいことではないですが、体重が重いほど力は強いと思われます。とくに積極的にトレーニングをしていない、高校1年生の時点では明確だと思います。先ほど述べたとおり腕力が強いほど、最初は力に頼ったフォームになりがちです。それが超級では顕著に現れると予想します。
 それに加え崩れたフォームをし続けて、怪我をしやすいのは体重の重い超級です。ただでさえ重い体重のうえ崩れたフォームでは、膝や肘などの関節に相当な負担をかけることになります。腕力の強い初心者の超級選手が下手に高重量に挑戦すれば、体のほうが耐えられないでしょう。しかしその高重量を力で強引にできてしまうのが、ある意味で超級の怖さですね。
 超級以外でも重量級や中量級でも同じことが言えると思います。私もずっと重量級でプレーしていたので体感的によくわかります。しかしもっとも深刻なのは、とくに体重の重い超級でしょう。
 では最初は軽い重量でフォームを意識させる練習を中心にすればいいという簡単な話にはならないと思います。先ほど述べたように高校生は3年間で結果を出さなければなりません。最初から軽い重量だけではなくスクワットなどの補強種目で、筋力アップも並行して行わなければなりません。
 「それが当たり前」と簡単に決めつけてもいいのですが、どうしてもその根底には「フィジカルモンスター」的な考えが根付いているように感じます。「できるのが当たり前」「俺はやった」「できないやつは落ちていく」「それがこの世界の常識」。本当にそれしか方法がないのでしょうか。私自身も高校時代に手術を経験してなお、最後には全国大会上位の成績を出した「フィジカルモンスター」だとは思います(上には上がいましたが)。どうすればいいか私ではまだ答えは出ませんが、それが少しでも解消できるのが早期の競技開始だと思います。

 小中学生からウエリフを始めれば、体重が重い子もまだ腕力はそれほどないので自然なフォームが身につきやすいと考えます。それになんといっても時間があるという点です。時間をかけて高重量に耐えられる体を作れるというのが大きいですね。
 まだまだ万人が知っているレベルの知名度の競技ではないですが、小中学生のうちから始めるのが健全なスポーツだと思うので、少しでも広めていきたいですね。
 別に高校から始めるのが不健全という意味じゃないよ。小中学生から始めたほうが、育成の可能性が広がって余裕が出るくらいの意味だよ。

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