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春の夜の匂い

4月27日。

時が経つのは早いもので、
8年前の今日の日、
私に初めて彼氏ができた。

憧れていた先輩に、玉砕覚悟の告白をして、
いいよ、と言われたときのあの高揚感。歓び。はしゃぐ制服はブレザーとミニスカート。
「夢みたい」と何度もいいながら、
夕暮れ後、ふわふわの足元で家路についた。

窓の外、春の夜の空気を匂う。
悲しいことに、どんどん記憶は薄れていく。
頭の中で 春の夜のにおい=高校時代のあの日 とはおぼえていても、感覚が忘れていく。
他にも思い出は重なるから。

私はいつも春に恋をした。恋に落ちた、恋焦がれた。
もれなく、あのひと、このひと、そのひとに。
だからだろうか。
もう誰のにおいかわからなく、
ただ、心だけが切なくなる。

君に恋した季節だけが、春ではない。
特別みたいで 少し嬉しい。

でも今夜はすこし、
昔のこと、思い出してもいいかな。

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