若菜

日常にころがる宝石たちを、拾い上げて、言葉にする

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日常にころがる宝石たちを、拾い上げて、言葉にする

最近の記事

がんばり屋さんのSHEメイトさんへ。日々が愛おしくなる「自分を甘やかす」のススメ

わたしたちを縛る、「こうでなくては」の呪い。本当にそうなの? ああ、今日もできなかった。 今日はSHEの受講を進めようと思っていたのに。 もっと早く課題を終わらせているはずだったのに。 「自分って、だめだな」 Twitterを開けば、「課題を◯日で仕上げた!」「コンペ提出しました!」「こんなお仕事もらえました!」というツイートが目につく。 ほかのSHEメイトのみんなは、色々なことをこなしていて、すごいな。いいな。やっぱり自分は……。 もっと、がんばらなくちゃ。 こ

    • 春漂う夜、さみしさの正体

      部屋の窓を明けて、缶ビールを飲んでいる夜。 寒さはぬぐいきれないものの、カーディガンを着ていれば充分あたたかい。 季節の移り変わりが来ているな、と感じる生暖かい空気だった。 すぅーっと大きく息を吸い、味わう。 2月の後半から、夜の空気には春の香りが混ざり、微かに漂いはじめる。 さみしい。 根拠もなく思う。 このさみしさは、ひとりでいることの寂しさや人に会えないこと、恋人がいないことによるさみしさではない。 もっと、なんだか大切なものを削ぎ落とした後の こらえるような

      • ギリギリなわたしに安心をする

        意識しなかったら、つい頑張ってしまう。 そんな性質を持つわたしが「無理のないようにできることを目標にしよう」と思って掲げた2021年の目標のひとつ。 「毎月エッセイを書く」 背景には、大切な人とのお別れと、そこから気付いた何気ない日々の豊かさ、 そして自分にとって言葉を紡ぐことが心をふくよかにしてくれることに気付いた2020年の経験がある。 (それについてはかがみよかがみに掲載頂いたエッセイに書いてます) 特集:2021私の宣言「失恋で絶望。誰かの日常を綴ったエッセイ

        • 愛しか残らん

          あれから、ほとんど1週間が経とうとしているのか。 もうひとりで眠れるようになったし、 ごはんも美味しいと思えるようになった、 音楽も、やっと聴けるようになった。 それでもまだ、自分が今、 何月を、何日を、何曜日を、生きているのかわからなくなる。身体も重い。 毎日、自分の感情がどんなふうに移り変わりゆくのかも、全くわからない。 もう、自分の力では一切立つことが出来ず、 なんとかギリギリ会社に行くことしかできなかったわたしが、 もう、死んでしまうのは迷惑だから、海の砂のよ

          "喜びを数えたら、あなたでいっぱい"

          彼と付き合う前にずっと聴いていた曲を、なんだか久しぶりに聴きたくなって、聴いている。 あぁ、やっぱり、鮮明に蘇る。音楽って。   楽器の音のひとつひとつやメロディー、歌詞の合間のためらいは、 あの時の鼓動と呼吸をそのまんま、音に乗せて思い出させる。 いや、この体に蘇らせるのだ。 今でも、ドキドキする。 一生懸命頑張った仕事の後、帰り道で聴いた。 LINEのやり取りを思い返してドキドキして、今度のデートのことを考えてウキウキして、仕事の疲れなんて吹き飛んだ。 身体は疲れて

          "喜びを数えたら、あなたでいっぱい"

          心ときめくほうへ

            失いたくないものがあると、 それを何とか守るために、心に余裕が無くなってしまう。 こうでありたいとこうなりたいと願うほど、 自分をがんじがらめにしてしまう。 心と身体が健康で、 毎日幸せに生きられたらそれで良い、でも、 出来ることならその隣にずっと君が居たら良いし、 大好きな友人達とは何も変わらぬまま 心で繋がっていたい。 でも、人生は、どんどん景色が変わってゆくものなのだ。 変えて、ゆくものだ。 変わらないことは嫌なのに、 変わって欲しくないことが ある。 臆

          心ときめくほうへ

          春の夜の匂い

          4月27日。 時が経つのは早いもので、 8年前の今日の日、 私に初めて彼氏ができた。 憧れていた先輩に、玉砕覚悟の告白をして、 いいよ、と言われたときのあの高揚感。歓び。はしゃぐ制服はブレザーとミニスカート。 「夢みたい」と何度もいいながら、 夕暮れ後、ふわふわの足元で家路についた。 窓の外、春の夜の空気を匂う。 悲しいことに、どんどん記憶は薄れていく。 頭の中で 春の夜のにおい=高校時代のあの日 とはおぼえていても、感覚が忘れていく。 他にも思い出は重なるから。 私

          春の夜の匂い

          ラブレター

          ここに、君が居たらなあ、と思う。 その続きに なにがしたい、とかは思い浮かばないのだけれども。 ここに、君が居たらなあ。 それだけで、今すぐに眠れてしまうような、安心感が、ある。 それだけで、毛布になんて包まらなくてもいいくらいの、ぬくもりが、ある。 それだけで、いい香りのスプレーなんていらないほどの、幸福感に、包まれる。 君が 居てくれたらいいのになあ。 今きっとわたしは、不思議な世界を生きている。 街ゆく人々はみなマスクをしていて、 コンビニやスーパーのレジに

          ラブレター

          京都という町、そしてカフェ、君とのこと。

          京都、出町柳。 青春時代を過ごした大学から少し歩いたその場所は、もうひとつの最寄り駅だったにも関わらず、あの頃には全く立ち寄らなかった場所。 「せっかく京都の大学に行ってたのに」 と言うのは親も、友達も、初対面で知り合った人なども。 異論はない。わたしは学生時代、この街のことをほとんどなんにも知らなかった。 おしゃれなカフェも、寺社仏閣も、歴史も、「知っていたら素敵だろうな」レベルで、結局のところ、わたしが夢中だったのは音楽と、恋だった。 だから、今でも京都を訪れてそこに横

          京都という町、そしてカフェ、君とのこと。

          手のひらの中の未来について

          将来の夢は、と訊かれて思い浮かぶ答えはない。 でも、将来どんな風になっていたい?にはたくさん答えられる。 以前の記事("未来を描くのは自由自在")でも、将来のことについて書いたけれど、今やっている仕事に対しての考えが少し変わったりしたので書いておく。 この前、わたしがかつて行きたくて仕方がなかった部署の方々と飲む機会に恵まれた。 規模のでっかい仕事。他の人に自慢げに話せそうな仕事。クリエイティブなことも出来ちゃう仕事。 その事実に変わりはないのだけれど、 不思議なことに、

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          おとなこども

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