好奇心を満たす。
11月初旬の、山道を少し歩けば気持ちよく汗ばむほどの、青く晴れた空が気持ちいい土曜日、仲の良い友人たち8人で、弓削牧場に行った。
メンバーにこちらの牧場の方々と親しくされている方がいて、「SDGsの観点からもとても先進的な取り組みをされている」とのお話で、「興味のある人が集まれば、牧場内を案内してくれるツアーがある」、さらに「めちゃんこ美味しいチーズや料理が食べられるレストランが併設」とのこと。それは是非行かねば!と集まった、まさに大人の社会見学となったのだ。
搾乳Anytime you like
酪農牧場なので、乳牛が飼育され、搾乳が行われている。その施設と機械を、牧場長のレクチャーとともに見せてもらった。
搾乳は、牛の好きな時間に行われる。搾乳機のある柵の中に牛自ら、柵を通ってやってきて、機械が個体番号を読み取り、前回の搾乳時間と量から、「まだ早い」となれば、そのまま柵の外に(やさしく)追いやられる。そろそろだね、となれば、自動的に乳房部分をきれいにする機械により洗浄され、搾乳機が装着され、搾乳が始まる。
秒あたりの搾乳量が落ちてくると、もう出ないね、となり機械は止まり、牛は柵の外に(やさしく)追いやられる。後ろには次の牛が待機している。
え?え?え?
牛が自分から、そろそろ搾ってほしいなぁと、ここにやってくるんですか?
という我々の質問に、
そうですよ。
母乳でお子さん育てた方なら、お乳張ってしんどい思いせれませんでした? 出しちゃったらスッキリするでしょう、牛もあれと同じですよ、搾って欲しかったら、ここにくるんです。
と、お母さん。
なるほど。確かに。
ってことは、来たい時に来てお乳を出してるってことすか。
そうですよ。
ノンストレスじゃないですか。
そうですよ。
だから牛乳もチーズも美味しいんですよ。
もちろん最初は人手不足の解消という目的も大きくあったろうと思う。牛さんたちの好きな時に搾乳しようと思えば人間が24時間張り付かねばならない。人間のシフトに合わせるとなると、出社してくるまで張ったお乳の痛みを我慢してもらわねばならない。この二つを解消するための搾乳機。遠くヨーロッパから輸入されたその機械のお値段は、びっくりするほどの金額だったけれども、そこに金かけないでどうするのだ、という時代になったのだ、現代は(金の節約や、売値と原価の差で利鞘を稼ぐために、他の生物の命を削るのはやめよう!と)。
そして併設のレストランでいただあた、ミルクもチーズもパンも、ピザも、シチューも、すべて、本当に美味しくて、ありがたくありがたく、平らげさせてもらった。
他にも、牛さんたちのフンなどの廃棄物を、下水に流せるレベルにまで酵素分解する施設を自前で作ったり、その過程でできる発酵液体を分解する機械を作ったり、発生するガスを牧場内の施設を稼働させるエネルギー源にしたり、そんな、この牧場内でクルクルクルクルと回している循環の仕組みも見せてもらった。
うわー、これほんまもんのSDGsやん、サスティナブルやん、と驚きの声が上がっていた。
しかも!
こう言うたらアレですけども、施設も一部の機械も本当に手作り感満載で(搾乳機は目を見張るほどのお値段の輸入ものだけど)、え、コレで、コレを成立させちゃってるの?という意外性にもびっくり。
大きな資本を入れて大規模な施設で完璧にやろうとするから失敗できない=つまり、成功のための試行錯誤もできないわけで、ひょっとしたらできるかも?と、思いついたらやってみずにはおられないという好奇心の延長で、無駄遣い覚悟で始めちゃうから、失敗例もしっかり溜まり、成功させるヒントも見えてくるということだ。
私の自慢の、好奇心の強い仲間たち
牧場も、牧場長も、そこで行われてるチャレンジも、とても楽しい1日だったけど、それと同じぐらい、一つひとつのお話や、施設や、機械や、牛さんたちや、堆肥の色やにおいや、植物の育ちや、その他目にする様々な、全てのことがらに、好奇心いっぱいに、みずみずしい感性で耳を傾け感心の声を上げる友人たちを、大好きだと思った休日だった。
また、おもしろいもん、見に行こうね!