【#02】アカアシクワガタの産卵セットの組み方
どうも、WKDリーダーです。
前回の記事で我が家に居るクワガタ一覧を紹介したと思いますが、今回からそれらの飼育方法、繁殖方法、管理方法等を不定期で随時紹介していきます。
今回はアカアシクワガタの産卵セットの組み方です。
アカアシクワガタは産卵が難しい種では無いので、産卵セットの組み方は選択肢が豊富で、このクワガタに対してどれだけ情熱を注ぐかで様々な組み方があります。
今回はコストをかけずに安く組む場合としっかりコストをかけて安定して沢山産ませる場合の2パターンを紹介します。
また、産卵セット記事初回なので、材の準備の仕方なども合わせて記載します。
※アカアシクワガタはオオクワガタと同じく季節感を感じるタイプのクワガタで、飼育下であれば冬場でも越冬したり温室管理で冬場でも活動したりしますが、産卵はほぼ行わないので本種の活動時期である6月~10月までに組む事をオススメします。
各々の組み方へは目次から飛べます。
※産卵セットを組む前に
交尾を終えたか、しっかり確認しましょう。
アカアシクワガタは大人しい種なので同居産卵セットも組むことが可能ですが、爆産させたければできるだけ交尾を確認し、別居させた方が無難です。
しかし見た時に交尾中を直接確認できればいいですが、毎秒観察するわけにもいきません、そこで見てない時に交尾をしているのか否かの判断ですが、
このように交尾をしていなくてもオスがメスに寄り添っている、
(交尾器を出さずに上に乗っかっているだけ)
という状態であればこれは既に交尾を終えている合図です。
これをメイトガードと言い、交尾を終えたパートナーのメスが餌を食べ終わるまで、外敵から周囲の安全を確保する為の行動です。
これが確認できた場合か、直接交尾を確認する等できてから産卵セットの準備をしましょう。
アカアシクワガタとは?
日本に生息しているドルクス属(オオクワガタ属)のクワガタです。
高山棲で主に標高の高い山に棲息しており、平地ではあまり見られないクワガタで、名前の通り足が赤いのが特徴です。
詳しい解説に関してはこちら↓の記事のアカアシの項目を参照ください。
アカアシクワガタの産卵セット1
(手軽に安く組む場合)
こちらはその辺のホームセンターやペットショップでも買える、朽ち木として売られている産卵材を使用して組みます。
アカアシクワガタは材の表面を削って卵を埋め込むので、材とマットが必要です。また付近のマットにも産みます。
この組み方は他にもオオクワガタやコクワガタ、ノコギリクワガタ等にも流用ができる基本とも言える組み方です。
◆必要な物
・マット(クワガタマットやクヌギマットと呼ばれるもので可)
・産卵材(朽ち木と呼ばれる物)
・バケツ等の水を溜めれる容器
・霧吹き
・飼育ケース(できるだけ通気孔が小さくて少ない物)
※クリアスライダーやコバエシャッター等
・転倒防止材
・昆虫ゼリー
◆手順
1.産卵材を用意し、加水する
購入した、産卵材を用意します。クヌギ、コナラ、ブナ等が主です。
材の選び方は真ん中に色の違う円状の物(芯)がない物を選び、爪で押すとちょっと跡が付くくらいの柔らかさの物がオススメです。
アカアシは材の表面を削って卵を埋め込むので、太くて芯の少ない物を選ぶようにしましょう。
材を水に漬けます。材全体を水に漬けれる物であれば、入れ物はその辺のケースでもバケツでも何でも大丈夫です。
浮かないように抑えてしっかり全体に水を吸わせます。
漬ける前に先に皮を剥ぐ人もいますが、加水時間の調節さえすれば先に剥いでも後に剥いでもそこは個人の好みで大丈夫です。
私は漬けてから剥ぎます。
私は蓋があるケースを使用しているので蓋で抑えて浮かないようにします。
バケツの場合は重石等を使ったり、忍耐のある人は加水が終わるまで手で押さえるのも良いでしょう。
加水が終わればこのような感じになります。
大体30分くらいです、先に皮を剥ぐ場合だと10分~15分程でしょうか。
太い材であるほど漬ける時間を多少増やしてください。
2.加水した材の皮を剥ぐ
加水が終わったので皮を剥ぎます、手でも簡単に剥げますが指を切るといけないので手袋をして剥ぎましょう。
また外皮を剥いだら表面に薄皮という薄い層があるので、それも削り落とします。そうすると↑画像のようになります。これで材の準備は完了です。
(※私はここから雑虫処理の為に冷凍や、カビ防止の為の作業をしますが、それを書くとトンデモ長くなるので、またいつか別記事でやれたらやります。)
3.ケースにマットと材を詰める
いよいよ産卵セットを組んでいきます。
飼育ケースに霧吹きで加水しながらマットを入れ、しっかり押し込んで底を硬詰めしていきます。パーやグーでしっかりグリグリ硬く押し込んで大丈夫です。ここにも卵を生んだり、材から出て来た幼虫が食べたりするので、しっかり詰めます。
硬詰めしたマットの上に先ほどの材を置きます。
その上からマットを入れ、加水しながら回りをしっかり指などを使って固めて埋めて行きます。この際に材の表面にマットを塗りたくるようにすると気休め程度ですが、カビが生えづらくなります。
(カビを絶対生やしたくないなら上でも申したように別の作業が必要になります。)
周囲にマットを詰め終わったら、材の表面が少し見えるようにして、周りににフワッとマットを入れます。硬詰めではなく、上部はフワッと入れます。
上部まで硬詰めすると、メスが潜ってくれなかったり、潜るのに体力を消耗したりして産卵数が減る、なんて事もあります。
(種によっては全部フワっと入れるだけ、上から下まで硬詰め、なんてのもいます)
4.仕上げ
転倒防止にバークチップ(ウッドチップ)などを入れ、餌を入れます。
餌は高タンパクなゼリーを入れてあげましょう。
(卵は高栄養なタンパク質の塊なので、タンパク質が不足するとせっかく産んだ卵をメスが食べてしまう事もあります。)
最後にメスを入れて完成です。爆産を祈りましょう。
アカアシクワガタは大人しい種類なので、メス殺しはほとんどないので産卵セットにオスメス同居させても大丈夫です。
私はオスが卵を傷付けたり、メスの邪魔をしたらいけないので、事前にしっかり交尾を終えたのを確認してメスだけ入れます。
温度は20℃~22℃で管理しましょう、23℃以上はおススメしません。
安く手軽にすぐ買える物での産卵セットの組み方は以上になります。
次にできるだけコストをかけてでも爆産させたい場合の組み方です。
アカアシクワガタの産卵セット2
(コストをかけてでも爆産させる場合)
アカアシクワガタは地域によっては珍しい種だったり、その辺に爆量でいたりと差が激しいですが、どちらかと言うと日本の普通のクワガタの部類なので、「アカアシにわざわざ高コストなんてかけないし、かけたくない」なんて人もいると思いますが、私は大好物の種類かつメインでやっている種類の内の1つなのでコストもスペースもガッツリかけます。そのセットの組み方を紹介します。
◆必要な物
・マット(クワガタマットやクヌギマットと呼ばれるもので可)
・植菌産卵材(カワラ材) (カワラ材ブロックでも可)
・ナイフなどの木の厚皮を切れる物
・霧吹き
・飼育ケース(クリアスライダーラージ)
・転倒防止材
・昆虫ゼリー
◆手順
1.植菌材の用意と菌の膜を剥がす
こちらを植菌材と良い、クワガタが産卵する際に産卵誘発で反応しやすくする為に、産卵材に白色腐朽菌を埋め込んだ物です。この材はカワラタケ菌糸が植え込んである植菌カワラ材です。他にも菌の種類によってニクウスバ材(ニクウスバタケ)やレイシ材(マンネンタケ)など菌によって様々な植菌材があります。アカアシはカワラ材によく反応するので、カワラ材を使用します。2本1セットで1500円程度とそこそこします。
取り出すとこんな感じで全体が菌の膜で覆われています。
今回は1本だけ使用するので、これを2つに分けまます。
使用しない方はすぐ元の袋に入れて封をしてください。
外気に長く触れるとカビの要因になります。
ナイフ等を使って菌の膜を削ぎ落としていきます。
結構硬かったり厚かったりするので、それなりに切れ味のあるナイフをオススメします。
膜全て剥いだら次は薄皮を削るように削ぎ落とします。
力を入れ過ぎて材を削らないように軽く削りましょう。
側面の膜も剥がします。ここは手でペリッと剥ける事が多いですが、硬い場合はナイフで削り落としましょう。
真ん中に芯がありますね…
植菌材は剥がしてみないと材の具合が把握しづらいのが難しい所。
しかし太い材で全体的に肉厚なのでこのくらいの芯は問題ありません。
全て削ぎ終えるとこんな感じになります。
見た目は組み方1で紹介した材と変わらないように見えますが、柔らかさが段違いです。
ではこれをケースに埋め込んでいきます。
2.ケースにマットと膜を剥いだ植菌材を詰めて行く
1の組み方と同じように底に加水しながらマットを硬く詰めていきます。
マットの上に植菌材を置きます。今回は1本使用するので横置きですが、
2本入れる場合はクリアスライダーラージ等のサイズのケースであれば、
縦に2本入ります。
1の組み方と同じように材の周りにマットを硬く詰めて行きます。
この際加水はマットを別の容器で先に加水を行うなど、植菌材に直接霧吹きがかからないようにしてください。カビの原因になります。
1の組み方と同じように表面が少し出るようにして、周りにマットをフワッと入れていきます。
3.仕上げ
転倒防止にバークチップ(ウッドチップ)などを置き、高タンパクの昆虫ゼリーを入れます。このセットは大量に卵を産ませる前提なので、アカアシは小型種と言えど私は餌は大きめ多めに入れます。爆産には相当な体力を使うので餌も高栄養高タンパクの良質な物を入れます。
最後にメスを入れて完成です。超爆産を祈りましょう。
何度も言いますが、アカアシは同居セット可能ですが、爆産させたいので、私はこのセットであれば特に絶対別居させます。
こちらも温度は20℃~22℃で管理しましょう。
以上でアカアシの産卵セットの組み方は終わりです。
そしてアカアシだけではなく、どの種もセットを組んだら
・セットを組んだ日付
・累代
・種名
・産地
・累親のサイズや特徴
などを忘れずに必ずメモしてラベル管理しておきましょう。
さいごに+α
こんな感じでアカアシクワガタの産卵セットの解説は終わりですが、
もう1つセットを組まずにとある方法で産卵させる方法があります。
それはカワラ菌糸の菌糸ビンボトルに直接メスを入れる方法です。
メスが穿孔して菌糸の中に潜って産卵します。
菌糸に産むので幼虫もそれなりの大きさまで勝手に育ちますし、割り出しはボトルをひっくり返すだけでいいのでかなり楽ですが、カワラ菌糸は劣化が早いので、メスを投入して早々に産む気になってくれず、ちょっと期間を置いてからようやく産みだした等の場合、幼虫が孵化する頃には菌糸の劣化が進んでトビムシが尋常じゃない数湧いたり、キノコが生えてきたりとデメリットもあります。それに複数組むなら、植菌材よりコストがかかります。私は何度かやった事があるのですが、割り出す頃に毎回周囲に爆量のトビムシが湧くのでこの方法はやめました。
※諸事情で今年はこの方法に変更して爆産しました※
とまあこんな感じでセットしたら毎度必ず産んでくれるというより、本当に容易な部類なので、産ませる事だけはほぼ失敗する事は無いと思います。
唯一気を付ける点は涼しい場所を好むので、23℃以上の所はできるだけ避けて20℃~22℃で管理してあげる事です。
数産ませようとしなければコストもそこまでかかりませんし、小型種なのでスペースや容器も小さめで済みますので、興味がある方は是非チャレンジしてみてください。
まぁ地域によっては成体が手に入りにくいかもしれませんが……
それとここまでカワラ材やカワラボトルを産卵に使用すると言っていますが、幼虫が大きく成長するのはヒラタケやオオヒラタケです。
カワラで回収してカワラで育つではなく、カワラで回収してヒラタケで育つというちょっと変わった所もありますのでご注意を。
(よくわからなければマットが無難です)
では、今回はここまで
あばよ!
◆ここで紹介している飼育方法等はあくまで私が成功した例等を紹介しています。人の数だけ飼育方法、考え方がありますので、あくまで参考程度に留めておくようお願い致します。
◆当記事で掲載している画像は全て無断転載を禁じます。
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