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スタートアップ向けデットファイナンス、FLEX Capitalについて【スタートアップ向けデットのFlex Capitalを展開するFivot阿部さんと対談#03】
スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。
前回に引き続き株式会社Fivotの代表取締役である安部匠悟(あべ・しょうご)さんをゲストに迎え、同社が提供するベンチャーデット「Flex Capital(フレックスキャピタル)」についてお聞きした内容を紹介します。
以下の記事を先に読むと、今回の記事の内容を理解しやすくなります。
このnoteは若林によるPodcast「INQ若林のDebt and Alive」をテキストコンテンツとして再編集したものです。Podcastでは、起業家の方や起業準備中の方に向けて、デットファイナンスに関するTipsやノウハウを毎回5分程度にまとめてお送りしていますので、ぜひフォローしてください。
3つのサービスから構成される「Flex Capital」
若林:それでは早速、Fivot(フィボット)さんが提供しているベンチャーデットである「Flex Capital」について教えてください。
安部さん:前提としてFlex Capitalというサービスは、次の3つの金融商品から構成されています。
1. 請求書立て替え
2. レベニュー・ベースド・ファイナンス(*1)
3. (狭義の)ベンチャーデット
*1) 将来債権(売上)を売却して成長に必要な資金を確保できる仕組み、RBF
どの商品も広義にはベンチャーデットに含まれます。3つ目のみ融資の形態を取った狭義のベンチャーデットのため、「(狭義の)ベンチャーデット」として説明しますね。
1つ目の請求書立て替えは、DtoC(*2)やEC(*3)事業を行う企業向けの商品です。在庫の仕入れや広告宣伝費の請求書を弊社が立て替えて支払い、後で分割で返済いただく仕組みになっています。
*2) 仲介業者や店舗を通さずに自社のECサイトなどから直接顧客に販売するビジネスモデル、D2Cとも
*3) ネット通販、ネットショップでモノやサービスを販売すること
2つ目のレベニュー・ベースド・ファイナンス(以下、RBF)は、特にSaaS(*4)に代表される月額課金型のビジネスモデルで事業を行う企業向けの商品です。定期的に発生する売上が将来的に続くことを見込んで、将来発生する予定の売上を弊社が買い取って現金化する仕組みです。
*4) クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由してユーザーが利用できるサービス
3つ目の(狭義の)ベンチャーデットは融資の形態を取った商品で、業種を問わず利用いただけます。スタートアップの「打ち手を増やしたい」「キャッシュ不足になるまでの期間を伸ばしたい」といったニーズに応えます。
若林:ありがとうございます。では、それぞれの商品について詳しく聞かせてください。
「請求書立て替え」は成長を加速させる手助けになる
若林:請求書立て替えは、自社が発行する請求書ではなくて、自社が受け取る請求書の支払いを立て替えて払ってあげるということですよね。どのような請求書が対象になりますか。
安部さん:以下のような請求書が対象となります。
仕入先に支払う在庫の仕入れ費用
工場に支払う製造費用
代理店に支払う広告宣伝費
このような請求書を弊社に回していただければ、お客様の会社名義でそれぞれの取引先にお支払いする、というサービスになっています。返済は6カ月分割で、手数料は3%です。
若林:「売上につながる支払い」に絞っているということですね。返済が6カ月分割で手数料が3%というのはいいですね。利用するハードルが下がる気がします。「在庫を仕入れて広告を打てば売上が上がるのに、手元に資金が無い」といった状況で活用できそうです。
安部さん:まさにそういった用途で使っていただけると成長を加速させられると思います。ベンチャーデットには「売上を伸ばす」ためのものと「キャッシュ不足になるまでの期間を伸ばす」ためのもの、2種類あると考えていますが、請求書立て替えは「売上を伸ばす」ためのものに該当します。
若林:他にも「半年後にエクイティ(株式発行による資金調達)を目指しており、手元資金が枯渇しているが銀行融資は利用済み」といった状況でも、請求書立て替えを使えば、キャッシュフローが改善されてバリュエーション(*5)も上げられそうです。
*5) 将来の収益やキャッシュフロー予想を指標として評価された企業価値
「RBF」でサブスクモデルの事業を行う企業の打ち手が増える
若林:2つ目のRBFについて教えてください。
安部さん:RBFは、SaaSなどの継続的に収益が上がるビジネスモデルで事業を行う企業向けの商品です。例えばサブスクリプションモデルのサービスであれば将来債権、簡単に言えば「将来も継続的・定期的に発生する収益」が生じる可能性が高くなります。その将来債権を弊社が買い取る仕組みです。
若林:年間収益のどれくらいを買い取ってもらえるのでしょうか。
安部さん:約20〜30%くらいの債権を買取可能です。仮に年間収益が1億円だとすると、2〜3000万円の債権を買い取ることができます。手数料として、買取価格を約5%ほどディスカウントしますので、3000万円の将来債権を2850万円で買い取る、とイメージしてもらうといいと思います。
若林:SaaSを提供していて「既存顧客のおかげで収益は安定しているけど、成長のための投資ができていない」という状況の企業であれば、RBFを利用して将来の成長のために積極的な投資ができそうですね。
「ベンチャーデット」はスタートアップに経営の安定をもたらす
若林:最後、3つ目はいわゆるベンチャーデットで、融資の形態を取った商品ということでしたね。
安部さん:そうですね。広義には請求書立て替えもRBFもベンチャーデットに入りますが、これらは融資とは異なるため、区別するために「(狭義の)ベンチャーデット」と表現しました。
若林:Flex Capitalのベンチャーデットは、請求書立て替えやRBFのようにビジネスモデルは限定せず、ステージ(*6)によって利用を検討する商品と認識していますが、合っていますか。
*6) スタートアップ企業の成長段階
安部さん:はい。スタートアップもステージが進み成熟してくると、売上の伸びなどより、経営の安定性や柔軟性を求めるようになります。Flex Capitalのベンチャーデットは、そのニーズに応えるための商品です。請求書立て替えやRBFよりも金額が大きく、返済期限も長いのが特徴です。
返済までの期間が長くなるほど次のエクイティと被りますので、中長期的に分析してオーダーメイドで融資のプランを提案します。
エクイティが実現したら、それを原資に返済いただくことにはなりますが、その時点で次のベンチャーデットを利用いただければ手元資金が枯渇することもありません。
若林:いわゆる真水(*7)が減らないような使い方もできるということですね。
*7) 複数の借入先から資金調達した際の増額分
Flex Capitalの中の商品を組み合わせることもできる
若林:ここまでFlex Capitalを構成する3つの商品について詳しくお聞きしました。
請求書立て替えは、手数料も3%で使いやすい商品だと感じました。サブスクモデルのビジネスであればRBFでさらなる成長が期待できます。通常のデット(公的機関や銀行からの融資)やエクイティも使いつつ、成長段階が進んだらベンチャーデットを使う、というきれいな流れができていますね。
安部さん:ありがとうございます。
若林:資金調達、特に融資の世界は原資の大きさが収益性にも影響すると思い込んでいましたが、Flex Capitalの話を聞いて「工夫でこれだけ選択肢を増やせるのか」と感心しました。Flex Capitalには3つの選択肢がありますが、組み合わせも可能なのでしょうか。
安部さん:はい、可能です。3つ全てを利用する企業様はいらっしゃいませんが、次のような組み合わせではご利用いただいています。
✅請求書立て替え+RBF
✅RBF+ベンチャーデット
若林:請求書立て替えとRBFを使えば、支払いが減って現金が増えるので、キャッシュフローは相当改善されますね。そのタイミングで次の打ち手をいろいろ考えられそうです。
公的な融資を利用しやすいビジネスモデルだと困らないかもしれませんが、短期間での急成長を志向するスタートアップだと、ベンチャーデットは有力な資金調達方法になりますね。
安部さん:はい。さらにFlex Capitalには個人保証(*8)を付けていないので、よりチャレンジしやすくなっていると思います。
*8) 金融機関から融資を受ける際、経営者などの個人が会社の連帯保証人となること
若林:まさにチャレンジャーのためのベンチャーデットですね。
Flex Capitalを利用する際の注意点
若林:最後に、Flex Capitalを利用する際の注意点を教えてください。
安部さん:注意点は2つあります。
1つ目は、データの透明性を上げていただくことです。弊社はデータドリブンで審査を行っていますので、データの透明性が鍵になります。具体的には、クラウド会計ソフトを利用していれば、審査もスムーズです。「会計freee」とはAPI連携が可能ですし、「マネーフォワード」などからも、CSV形式でデータを取り込むことができます。
2つ目は、なるべく早めに相談していただきたい、という点です。「あと2週間でキャッシュ不足に陥るのですが、何とかなりませんか」と相談を受けることがあるのですが、このようなケースでは、倒産するリスクが固まっているように見えることがほとんどです。私たちも融資が仕事ですので、出したいところではあるのですが……。このようにキャッシュアウトまでの期間が非常に短い企業の場合は、VCに相談してエクイティでつなぐ、というケースが多いかと思います。
若林:キャッシュのあるときに相談した方がいいですよね。困ったときではなく、将来困らないために。
安部さん:そうですね。「キャッシュがあるときにコストをかけて借りるのはちょっと」という考えも分かりますが、将来困らないための保険と考えてもらってもいいかもしれません。
万が一キャッシュが無くなった場合、視野が狭くなって条件の悪いエクイティでつないでしまう、といったケースも起こっています。
弊社にも公的融資やエクイティ、保証協会付き融資、プロパー融資で資金調達した上で相談いただくお客様が1番多いので、使えるものは使い倒していただきたいですね。
Flex Capitalのお見積もり・お申込みは、こちらから受け付けています。
まとめ
今回は前回の「ベンチャーデットを使うメリット・デメリットとは?」に引き続き、株式会社Fivotの安部匠悟さんをゲストに迎え、同社が提供するベンチャーデット「Flex Capital」についてお伝えしました。以下に内容をまとめます。
Flex Capitalは次の3つの商品から構成されます。
請求書立て替え:広告費や仕入れ費用を立て替えるサービスで、返済は6カ月分割で手数料は3%
RBF:将来債権の20〜30%を5%のディスカウントで買い取るサービス
ベンチャーデット:業種を問わず利用できるスタートアップ向けの融資サービス
上記サービスは組み合わせて利用することも可能です。
利用を検討している方は、なるべく早いタイミングで相談してみてください。
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最後までお読み頂きありがとうございました。
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