ベンチャーデットって何?【スタートアップ向けデットのFlex Capitalを展開するFivot安部さんと対談#01】
スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。
今回のnoteでは株式会社Fivotの代表取締役である安部匠悟(あべ・しょうご)さんをゲストに迎え、ベンチャーデットについてお話しした内容をお届けします。
そもそもベンチャーデットって何?
若林:「ベンチャーデットとは何なのか」を解説いただく前に、企業の資金調達方法についておさらいしておきます。会社が資金を調達する方法は主に次の2つです。
ベンチャーデットはデットファイナンスの中でも、スタートアップ向けに設計された融資ということですよね。ちなみにここでのスタートアップの定義は「エクイティを活用し新規市場を開拓、短期間で急成長を志向する事業体」とします。
安部さん:はい。既存の銀行等によるデットファイナンスは既存のビジネスモデルで事業を行う企業向けに設計されています。そのため、新規市場の開拓を目指すスタートアップ企業では利用できないケースもありました。そこで、スタートアップでも使えるデットとして登場したのがベンチャーデットです。
ベンチャーデットに明確な定義はなく、新株予約権(*)などのワラント(権利)と引き換えに融資をするスタイルもあれば、ワラントを全く取らないスタイルのものもあります。
RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス / Revenue-Based Financing)という将来債権を流動化する(将来発生する売上の一部を今すぐ現金化する)手法もあります。
*) 発行した株式会社に対する権利行使により、その株式会社の株式交付を受けられる権利。一定の行使価格を払い込み新株を発行させたり、会社が保有する株式を取得したりできる。
若林:エクイティでもない、既存のデットとは違う、スタートアップが使える資金調達方法の第三の選択肢として登場したのがベンチャーデットということですね。
ちなみに融資する側の主なメリットは2点。新株予約権などを取ることでアップサイドリスク(利益が発生する可能性)を確保できることと、デットよりも高金利で貸せるという点です。
ベンチャーデットを利用する側のメリットとデメリットについては、次回のnoteで詳しく聞いていきます。
ベンチャーデットは欧米を中心に活発化
若林:ベンチャーデットは日本ではまだ馴染みが薄いイメージですが、欧米では結構盛り上がっているみたいですね。
安部さん:エクイティによる資金調達額の10〜20%くらいの規模まで成長しているようです。特にアメリカではもともとエクイティの金額が大きいので、それに伴いベンチャーデットの金額も大きくなっているようです。
若林:アメリカのベンチャーデット市場は2018年に1.8兆円(日本円換算)でしたが、2021年には3兆円まで伸びているということです。今後ますます注目される分野になりそうですが、日本ではどのような状況なのでしょうか。
安部さん:日本のベンチャーデット市場はまだまだ黎明期で、各社試行錯誤している段階ではありますが、いろいろなスタイルの商品が出てきているという状況です。
私たちとしても競合が増えるのはいいことだと考えていて、デットファイナンスの世界でたくさんの銀行が1社を支えているように、複数の金融機関や企業がベンチャーデットで1社を支えられるようになればいいなと思っています。
1社で100%支えるより何社かで支えた方が、融資先の企業価値が下がった場合のリスクが軽減されるので、融資しやすいと判断する出し手も増えることでしょう。
若林:複数の金融機関が協力して融資を行う「協調融資制度」のようなものが、ベンチャーデットの世界でもできるようになるといいですね。
国内の主なベンチャーデット
ここでは、国内の主なベンチャーデットを紹介します(五十音順)。
まとめ
今回は株式会社Fivotの安部匠悟さんをゲストに迎え、ベンチャーデットについてお伝えしました。以下に内容をまとめます。
次回のnoteでは、ベンチャーデットを利用するメリットとデメリットについて、引き続き安部さんをゲストに迎えてお話ししていきたいと思います。
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