生き残されし彼女たちの顛末 第5部 あとがきと第6部予告
第5部をお読みいただき、ありがとうございました。
失敗した反乱の試みと、失われた生命。ショックと傷心から立ち上がる過程で生まれた二つの愛。結ばれた者と結ばれるであろう者。万全の状態で進むかに見えて避難計画も、数々の想定外の事態を迎え、それでも何とかぎりぎりに間に合うように見えましたが…。
第6部は、インパクトに備えて選抜され火星へ向かった少年と少女の物語です。第5部までの主要な登場人物たちのその後も紹介されますので、引き続きぜひ、お読みください。
※第83章に登場した曲です。
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星座の先のエピローグ ~生き残されし彼女たちの顛末 第6部~ あらすじ
2287年7月、8歳のボクは、選抜された5%の移住者の一員として、火星へ向かうべく地球を旅立とうとしていた。中継地の月へ向かうスペースプレインで席が隣り合わせになった彼女。1歳年下の彼女の不安を鎮めようと彼女の手を握ったボク。彼女はボクの手をずっと離そうとしなかった。火星行きのプレインが出航して、船内のピアノで一曲演奏するまで。
彼女は天才ピアニスト。プレインの船内に備え付けのピアノで練習に励んだ。ボクたちの両親は、いずれも恒星間天体マオのインパクトの1年前までに、「ターミナル・ケア」と呼ばれる安楽死処置を施されることになっていた。そして両親がケアされる前に、彼女の演奏するピアノ曲のビデオを送ることにした。
火星に着き、ボクたちの新たな生活が始まる。彼女は自分の個室にグランドピアノを設置してもらい、アカデミーのピアノ教師の指導を受け、めきめきと上達した。ボクは、いつか調査ミッションのメンバーとして地球に行くことを目標に、勉強とトレーニングに励んだ。
思春期の間、ボクたちは恋愛経験を重ねたが、お互いが恋愛対象になることはなかった。「恋人」ではなく、単なる「幼馴染」とも違う。血がつながっているわけでもないのに、二人の関係性は「兄と妹」という言葉でしか説明できなかった。
そして、ボクたちは、再び旅立つ…