ぶきみ
最近は状況が状況なだけに家で研究をしていることが多い。
だが家だとどうしても集中力が切れてぼーっとしてしまう時がよくある。そんな時は中学の頃のエピソードを思い出したりする。
僕は中学の頃、一時期ゲーセンに通っていた時期があった。通っていたといっても部活もやっていたため、週1回くらいだったが、なぜかそこにいた人達のことをよく覚えている。
僕の通っていたゲーセンではUFOキャッチャーやアーケードゲームのゾーンの客層は普通だったが、奥のメダルゲームのゾーンは変な人が常駐していた。今考えると社会や学校から爪弾きにされてるような人が集まっていた気がする。(僕もそこにいたので、人のことを言えるわけではないが)
特に印象に残ってるのは、一人でずっとメダル落としをやっていた20歳くらいの女の人だ。二人用の席に一人で陣取り、両手を使って左右からメダルを連射していた。片手でメダルを効率よく連射するために両手を小刻みに動かしている様から"ぶきみ"というあだ名をつけられていた。
みんなぶきみとしか呼ばないので名前も知らず、話したこともほとんどないが、友達はよく「今日もぶきみ居るじゃん」と話しかけてからかっていた。それに対し、ぶきみは俯きながら「ぶきみじゃないし」とぼそっと言い返していたのを覚えている。
高校生になってからはあまりそのゲーセンに行かなくなり、その後も地元を離れてるうちに改装でゲーセン自体かなり様変わりしてしまった。今でも実家に帰った時は時々行ってみるが、昔のような雰囲気の人々はいなくなっていた。
あの人達は今何してるんだろう。