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2023年5月の聖書タイム「心のゆりかご」

by 山形優子フットマン

山形優子フットマンの執筆・翻訳 by 「いのちのことば社
新刊「季節を彩るこころの食卓 ― 英国伝統の家庭料理レシピ
翻訳本:
マイケル・チャン勝利の秘訣」マイク・ヨーキー著
コロナウィルス禍の世界で、神はどこにいるのか」ジョン・C・レノックス著
とっても うれしいイースター」T・ソーンボロー原作
おこりんぼうのヨナ」T・ソーンボロー原作

「幼児(おさなご)はたくましく育ち、知恵に満ち、神の恵に包まれていた。」
ーーー ルカによる福音書2:40

芽吹きの訪れと共に、小鳥たちの囀りが、いっそう華やぐ5月が到来。森を往けば目に映るのは若葉、まさに森林浴です。
ふと思い出すのは、江戸時代前期に活躍した俳人で松尾芭蕉と交流があった山口素堂の俳句、「目に青葉、山ほととぎす、初鰹」です。残念ながら、英国に初鰹はありませんが、野鳥の囀りをBGMとした森林浴は最高です。最近は「フォーレスト・ベージング」と言う言葉が英国でも横行し、先日BBCラジオでShinrinyokuと、そのまま日本語読みを使っていたのには驚きました。

冒頭の聖句は、小さい頃のキリストの成長ぶりを描写したものですが、5月の自然のように、背丈はグングンと伸び、枝を張っていくような姿が眩しく感じられます。青少年の生理身体的な成長期は誰もが通る道ですが、キリストがまさに「人はパンだけで生きるものではない」(マタイによる福音書4:4)と言われたように、神の恵があるからこそ、その成長ぶりは一層と輝かくのです。 




5日は日本人にとっては毎年迎える「子供の日」です。赤ちゃんが元気に逞しく育つことを親も周りも望み、祝福し、大人も「元気」をもらいます。赤ちゃんたちは乳を飲む、眠る、おしめを替えるという「子育て三拍子」だけでは、おさまらない、親たちの「愛」のオブラートに包まれて成長します。私たち大人はどうでしょうか。体の成長は、とうに止まり、ましてや下り坂の年齢になったとしても、それでも魂は成長します。

魂の成長を続けるには、おさなごに戻ることが肝心です。つまり、一人一人が「心のゆりかご」を持つことです。その、ゆりかごは疲れ、傷ついた時に戻れて、父母を間近に感じれる暖かい懐かしい安全な場所です。いくつになっても生きている限り、人は「心のゆりかご」に戻れます。旧約聖書には次のように書いてあります。



主の庭を慕って、私の魂は絶え入りそうです。命の神に向かって、わたしの身も心も叫びます。あなたの祭壇に、鳥は住みかを作り つばめは巣をかけて、雛を置いています。万軍の主、わたしの王、わたしの神よ。いかに幸いなことでしょう あなたの家に住むことができるなら まして、あなたを賛美することができるなら
ーーー詩篇84:3~5

小鳥でさえ、父なる神の祭壇に巣を作って雛を育てるぐらいですから、人なら、なおのこと父なる神の懐に、身を委ねることができます。そこで甘い乳を飲み、鳥の囀りのような美しい子守唄に慰められ、英気を取り戻すことができます。続く6節から8節には次のように書かれています。

いかに幸いなことでしょう あなたによって勇気を出し 心に広い道を見ている人は。嘆きの谷を通るときも、そこを泉とするでしょう。雨も降り、祝福で覆ってくれるでしょう。彼らはいよいよ力を増して進み ついにシオンで神にまみえるでしょう。

「心のゆりかご」というエネルギー補充の場所が確保できれば、保身と言う自縛から解放され、自分の狭い道ではなく、広々とした神の道が目前に見えるようになります。そうなれば辛くても大変でも賛美です!嘆きの谷底でさえ、生きるための命の泉に変化します。ですから、あなたの人生には無駄でマイナスなことは何一つなくなります。最後の聖句のシオンとは「神の御国」と言って良いでしょう。でも、それは死後の天国イメージとは違います。生きている今、御国を構成するのは、あなた自身。あなたの心こそ御国の領域で、あなたの言動の如何が、御国拡大の鍵を握ると言っても過言ではないのです。


この5月、森林浴に浸りながら、神様からのギフトである信仰の、さらなる成長に期待しましょう。おおらかに、伸び伸びと育って行きましょう。主は、そんなあなたを優しい微笑みで見守ってくださいます。神の家の尊い、かなめ石はキリストです。いつの日か、そのキリストと言う大黒柱が支える父の家の、小さな釘の一本にでもなれたならと、一筋に願う昨今です。


見よ、わたしは、選ばれた尊いかなめ石を、シオンに置く。これを信じる者は、決して失望することはない。」ーーペテロの手紙1、2:6