夢の観光鉄道 尾瀬観光線 序二段
日本国内には観光鉄道は存在しない。
過去には十和田観光電鉄が路線を維持していたが・・・
2012年に廃線となった
観光と社名に謳う鉄道会社は無くなった。※
営業形態が観光事業主体という鉄道会社は
全国各地に存在する。
代表的な鉄道会社は…
銚子電鉄
いすみ鉄道
三陸鉄道など…
鉄道ファンの浄財で路線が維持されている会社は
現実には存在する。
もちろん利用者は地元の住人が主体である
鉄路を維持する手段として
観光客へ鉄道を開放している状態だろうか?
しかしそのたとえは違和感を生ずる。
「鉄道ファンは迷惑な存在」
その風潮は昔からある。
実需主体の移動手段だから
「公共交通機関」である
「観光を目的に設立された鉄道」
は建前では存在しない。
観光利用も想定しているが・・・
設立趣旨はあくまでも
「地元住民のため」
それが公共交通機関だ。
そして
「ほとんどローカル鉄道会社は自治体の支援」
を受け営業費用を捻出している。
「観光客のための鉄道」を
路線維持の第一義にかかげる会社はほとんどない。
強いて言えば浦安の
ディズニーリゾートラインは
観光利用が大半だ。
この路線にも通勤客は存在する。
しかし
一般人どころか・・・
関係者でも
ディズニーリゾートラインの通学定期券
の存在を知らない。
「観光学部や専門学校の学生が実習で
頻繁に利用するため定期券を購入する」そうだ。
地元住民が負担することを前提とする地方税
「観光客のために住民負担の原資を
支出するのは目的外使用にあたる」
と・・・
ケチをつけるマスコミは皆無だ。
政府や自治体の行政になんでもケチをつけだがる
新聞様も
なぜか・・・
この目的外使用にはアンタッチャブルだ。
「観光客のための鉄道なら・・・税金を投入するな!!」
そんな主張を社説で堂々と掲げる新聞は当然ない。
おそらくそんな論説を展開すれば
「鉄道ファンからの袋叩き必至!」
だろう。
「どうにかしてローカル線を維持したい」
という地元民の感情に寄り添っている鉄道ファンも少数派だが・・・
そこは暗黙の了解が成立している・・・
「迷惑の度合いが行き過ぎなければ。」
「ローカル線不要論」
その論調を掲げる新聞があれば…
「社会全体から袋叩き」にあう
ほぼ100%の確率で。
国民感情を知らぬ村八分新聞として廃刊は必然的だ。
普段は財務省の代理人的な論調ばかりで
「財政は赤字を垂れ流してはならぬ」
という新聞様も・・・
鉄道路線の存続については
庶民の顔色を覗って「財務省の代弁は致しかねる」
そういうことだろう。
「無駄な路線はどんどん廃線」
そんな発言をすれば猛獣財務省であっても
イチコロである。
助け船はすべて難破船になる。
財務省がいくら
「財政均衡」を強弁しても
国民感情は納得しがたいのが
「赤字ローカル線問題」だ!!
観光振興とは
日本に残された数少ない金城湯地だ。
中国にも韓国にも真似できない・・・
テクノロジーと双璧をなす
「おもてなし」に・・・
四季の彩と絶景が助太刀して
他国が簡単には攻め落とせない鉄壁の城が聳えている。
そのお城の価値をつい最近まで気が付いていなかったのは
「ほかならぬ日本人」だ。
外国となんでも比べたがる
「西洋かぶれ」にはなりたくないが・・・
たまに海外へ赴任して・・・
帰国するたびに
「日本のような便利で安全・安価な国はなかなか存在しない」
ことを実感する。
初めて海外赴任した30年以上前・・・
アメリカ大陸は
「憧れの場所」であった。
当時は
「日本より安い物価が魅力のひとつ」
であったアメリカ・・・も
現在は立場が逆転した。
米本土では100円程度で飲めたバドワイザーが
今では日本の倍近い価格で販売されている。
海外からのインバウンドが激増するのも
頷けるほどの価格差が現実に存在する。
そして「鉄壁の城」の価値を・・・
ネット社会が喧伝してしまった!
これでは「旅行先としての日本」に
注目するなといっても無理な相談だ。
元来のホスピタリティーに加え・・・
「日本人が苦手だと思っている英語」は
日本では案外通じる言語である。
地名票などの道路標識には
英語も当然のように書き加えられている・・・
そして・・
今起こっている最新のムーブメントは
「外人旅行客が割安な鉄道を利用して国内移動をはじめた」
ことだ。
この半年ほど・・・
取材と観光を兼ねて尾瀬をはじめ・・・
北関東各地や信州・甲州・越州・三河・駿河など
各地を放浪している。
あちこちの街角で見かける
「外人さん」は
すっかり風景に溶け込んで・・・
「よそ者の雰囲気」を醸し出していない。
長野県のローカル線で・・・
「高校生とお婆さんが座る同じボックス席」
にドイツ人※カップルが座っていても
全く違和感がない。
もしかしたら・・・
ローカル線の振興は
「外人観光客も取り込んだ観光振興」
へ大化けするのではないか?
松本郊外の温泉地で旅館目指して坂道を上る
短パン半そでの白人集団・・・・
タクシーではない・・・
徒歩で・・・
「長期滞在が前提」の彼等彼女等は
安価な移動手段を必須としている。
そして彼等が求めているのは
「よそいきではない普段着の日本」
その光景に出会える場所こそ
「ローカル線」にほかならない。
尾瀬がはるか・・・なのは
東京からの距離との対比である。
ニューヨークやロンドン・パリからは
東京でも・・・
尾瀬であっても・・・
さほど所要時間は変わらぬ。
だからこそ・・・
複雑な乗り換えや
不明確な移動手段より
「ワンパスのDMV」
に勝算が生ずる。
英語で「OZE」と検索してみると良い。
驚くほど多くの国から・・・
「はるかな尾瀬」を目指すひとびとの
足跡が垣間見える。
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