企業が炎上する理由?!「広報」と「宣伝」がごっちゃまぜ!?
「広報」と「宣伝」がごっちゃに!?コピーライターが生んだ日本独自のPR文化
PRとは、本来「Public Relations」の略です。
日本語では「広報活動」を指します。
企業や団体が社会との良好な関係を築くための
重要かつ繊細な仕事です。
ところが日本ではこのPRが「広報=宣伝」という独自の解釈をされるようになりました。
今でもの境界線が曖昧な企業※が散見されます。
なぜこんな勘違いが生まれたのでしょうか?
その理由は企業の中にあったんです。
広報と宣伝の「ひとつ屋根の下」
昔の大手企業では、「広報部」と「宣伝部」が
ひとつの部署で一緒に仕事をしていることが
珍しくありませんでした。
広報担当者がプレスリリースを作成して
「この製品の社会的意義をアピールしよう」
と考える横で宣伝担当者が
「じゃあその内容をバンバン広告にして売り込もう!」
とアイデアを出す。
広報は宣伝戦略の手段だったのです。
宣伝部署は
「自分の会社や製品をたくさん売り出して利益をだそうとする」
それが使命です。
しかし・・・製品に問題が発生し謝罪する場面で
「宣伝部長が広報室の担当役員だったら・・・・」
炎上する理由がなんとなくわかります。
「チームワーク」は大事ですが
宣伝と広報は
「両者の仕事の性質がまったく違う」
そこがポイントです。
広報とは消費者と信頼を構築する部署
宣伝は商品やサービスを目立たせることが目的
同じ部署で活動していると
「広報も宣伝も似たようなものじゃない?」
という空気が生まれます。
たしかに広めることは同じです。
でもいったん炎上すると・・・
ほむらを収められず・・・拡散する危険があります。
つい最近まで日本の企業では広報と広告の分離が不明確でした。
コピーライターが企業でデビューするのは広報担当が多い。
この混同がさらに進んだ背景には
コピーライターが最初に広報から仕事を
スタートする会社が多かった背景があります。
広告宣伝はモノを売る企業では
「最前線部隊」です。
大手であれば優秀な宣伝マンやマーケターをたくさん抱えています。
新人が配属され実務や文章能力を研鑽する部署として
「広報はうってつけ」です。
コピーライターは「人を惹きつける言葉のプロ」
商品の魅力を一瞬で伝えるキャッチフレーズを作るのが仕事ですが
その才能は広報でも十分すぎるくらい必要です。
そんなコピーライターが「広報で業績を上げる」
当然ながら「広報も・・・うまい言葉で伝えて目立たせる仕事」
と考えがちになります。
結果として広報活動もどこか「広告的」になり
宣伝との違いが曖昧になってしまったのでしょう。
PRイベントの「日本流」
その流れで生まれ・・・
いまでも命脈を保っているのが
日本風の「PRイベント」というスタイルです。
ラジオ番組では帯ごと買い取ったり
番組自体がPRと宣伝がごっちゃになっている・・・
みなさんも「あ!」
と思い浮かぶあれです。
自社の製品を宣伝しているのか?
自社の取り組みを世間に広めたいのか?
おそらく両方まとめてハウマッチ!
海外・・・特にヨーロッパではPRイベントといえば
ジャーナリストを招いて新しい取り組みを発表したり
社会問題について議論を深めたりと
「関係性づくり」に重きを置いたものが主流です。
ベンツのPR番組は・・・日本では十分すぎるほど商売ぽいですが・・・
ドイツ本国では日本のようなPR番組をベンツは作っていません
「あくまでも環境先進を訴え企業理念を語る」
それに終始しています。
日本ではPRイベントと言いながら
「商品のプロモーションショー」だったり
「派手な広告活動」に近いものが多いのが現実です。
これも広報と宣伝の混同が生んだ日本独自の文化と言えるでしょう。
本来東京モビリティーショーは製品宣伝の場所ではないのですが
「発売間近の量産車」を積極的にPRしている・・・
その時点でPRという意味を間違っているのです。
本来のPRとは?
本来のPRは企業や団体が社会や顧客と信頼を築くための
「コミュニケーションの技術」です。
派手な広告ではなく
誠実な情報発信や相互理解を目指すのがその役割です。
もしもPRが「宣伝」だと思われると
「また企業の売り込み!」と受け取られ
信頼をどころか逆効果になります。
「とある銀行の貸金庫問題」
も広報が主導して・・・・
そうなっていないから不信感が広がる。
広報担当の役員が社長の次かその次くらいの
「偉い人」なら・・・
「不祥事を積極的に広報して謝る」
その素地が金融機関の信頼につながる・・・そう思いますが
現状は真反対です。
まとめ:広報の可能性
混同の原因はコピーライターではなく
企業上層部が「広報の重要性」を自覚していないからです。
IRの重要性が叫ばれる昨今
「伝える力」は広報にとって大きな武器にもなります。
言葉のプロである広報マンが
広報の本質である「信頼づくり」を意識すれば
もっと効果的なPRができるかもしれません。
これからは
「自社に不利な情報は積極的に開示しない」
それを続けるのは・・・いままで当然という企業が存在しましたが
「自社の製品のマイナス面やウイークポイントを
積極的に知らせるスーパーが躍進するのが
「情報の世紀・・・21世紀の企業でしょうか」
しかしその情報の世紀はすでに4分の1終わっています。
残り75年は
広報と宣伝の違いをしっかり理解したいと思います
日本独自のPR文化はより良い方向へ進化させることが求められます。
「広報=「Public Relations」の訳語」
その視点を忘れないことが肝心です!