【歴史的傑作から学ぶ】7つのデータ・ビジュアライゼーション作成のヒント
情報過多の昨今、データ・ビジュアライゼーション(データの可視化)の有効性が広く知られ、注目を集めています。
この用途は、ビジネスダッシュボードから、大衆文化の傾向の内訳まで多岐にわたっています。
見た目に美しく優れたデータ・ビジュアライゼーションには、高い分析スキルに加えて、グラフィックデザインとストーリーテリングのスキルが必要不可欠です。
このデータ・ビジュアライゼーション、実は数世紀の歴史があることをご存じでしょうか。
本コラムでは、歴史的な優れた事例をご紹介し、制作活動に活かせる7つのヒントをご紹介します。
ビジュアルの力を生かして数字に命を吹き込み、伝えたい情報をよりよく理解できるよう工夫してきた、制作者の息吹を少しでも感じていただければ幸いです。
1) データに焦点を合わせる
シャルル・ミナールが1858年に発表した「地球上の移民たち」の地図は、移民情報(どこからどこへ・規模感)をシンプルに描かれています。
移民ルートから目をそらさせないよう、余計なラベリングもなく(大陸名だけ)、シンプルに色づけされています。
すべてが簡単に把握でき、識別しやすい。
最高の模範となるシンプルさです。
2) ラベリング
シャルル・ミナールが1865年に作成したこの表は1850年から1864年までのイギリスの石炭生産を描いています。
多くのことが起こっているように見えますが、ラベリングによって、データをより分かりやすく表すことに成功しました。
グラフ内のX軸とY軸は推移を経て刻々と変化し、グリッド線とラベル付けされた部分は区別できるように色分けされているのがわかります。
このようにラベル付けされた表は、理解をより深く、
かかる時間をより短くしてくれます。
3) 最も効果的な可視化を選ぶ
データの表示方法はたくさんありますが、目標は常に最も強いストーリーを伝えることです。
フローレンス・ナイチンゲールは、ウィリアム・ファーとともにクリミア戦争中の兵士の死亡率を分析しました。
結果、ほとんどの兵士が戦闘で死亡したのではなく、実際には「予防可能な病気」によって最も多くの命を奪っていることに気づきました。
ヴィクトリア女王と議会に衛生環境の改善に投資するよう説得するために、彼女はデータを最も効果的な方法で提示する必要がありました。
「言葉巧みにしても人々の耳を通して伝えられなかったことを、目を通して伝え、影響を与えるため」だと彼女は言っています。
1858年、「軍隊における死亡原因図」にて、円グラフの変形である全く新しい図を採用しました。
月別の死亡状況を死因別に色分けして可視化したものです。
この図はインパクトのあるストーリーを示し、彼女は衛生状態の改善を訴えることに成功したのです。
4) まとまったストーリーを伝える
データ・ビジュアライゼーションの優れた点は、テキストだけの情報よりもはるかに多くの情報を、消化不良を起こさず、理解しやすいパッケージで伝えることができる点です。
だからといって、すべてのデータを何でもかんでも適用する必要はありませんが1つのビジュアライゼーションで豊かなストーリーを伝えることができます。
シャルル・ミナールの1869年のナポレオンのロシア遠征の地図は、これをよく表しています。
データ可視化の専門家であるエドワード・タフトは、「ミナールのグラフィックは、多変量データを一貫したストーリーを伝えており、時間とともに変化する単一の数値情報よりも、はるかに啓発的である」と述べています。
この図では6つの変数がプロットされており、軍の規模感、2次元表面上の位置、軍の進行方向、モスクワからの撤退中のさまざまな日付の気温情報が分かります。
5) 順序付け
真のデータ・ビジュアライゼーションとは、データを表示するだけでなく、読者がその情報をすばやく完全に理解できるようにデータを表示することであることを、作成者は知っています。
データ・ビジュアライゼーションで順序付けのような単純なディテールが、閲覧体験を向上させるために大いに役立ちます。
これは、1786年に出版されたウィリアム・プレイフェアの「The Commercial and Political Atlas」で実証されており、1年を通してのスコットランドの輸出入が描かれています。
こちらではデータを昇順で描き、最も活発な地域をすばやく特定できるように工夫されています。
効果的な順序付けを行うには、データを数値順、アルファベット(あいうえお)順、または連続的に並べることです。
6) 比較
データ・ビジュアライゼーションの最大のメリットは、データポイントを「見る」だけでなく「比較する」ことができることです。
1805年に発表されたウィリアム・プレイフェアの「Chart of Universal Commercial History」は、歴史を通して地域の浮沈をプロットし、個々のストーリーを大きなビューと比較して見ることができます。
このようなミクロ的、マクロ的な視点は、データストーリーに文脈と脚色を与えるのに役立ちます。
7) 区分
ジョゼフ・プリーストリーが作成したこの革新的なビジュアライゼーションで、人類文明の興隆と複雑な時間の流れを把握でき、歴史上の主な帝国や文化の存在とその影響力がわかるようになっています。
プリーストリー 氏は、色やサイズだけでなく、場所を示す創造的な Y 軸を導入することにより、歴史に関する大量の情報を提供できる、素晴らしいビジュアルストーリーを作成したのです。
データ・ビジュアライゼーションは、このように歴史から多くのことを学ぶことができます。
また、本日紹介したいずれの事例も美しくと感じていただけたのではないでしょうか。
今後も進化し続けても、人を感性で惹きつける芸術性は変わらないことを期待します。
お困りでしたら、メタコラムにご相談ください。