見出し画像

誰のために「書く」か。

コピーライティングは「誰かのため」だ。
自分キャッチコピー書き込み式ブックは「自分のため」に書くもの。
でもそうなんだろうか? という話


書く、ということについて

書くことは面白いコトだ。ということを、かなり大多数のひとが「そう思ってない」ということはとても興味深いと思う。なんなら、コンプレックスにさえ感じている。なぜと聞くと、書けない、と言う。義務教育のおかげで書けない(読めない)ひとはほとんどいないというのに、どうして書けないと思うのか?と聞くと、自分の思いは「これっぽっちも言語化できていないと思うから」と返ってくる。

この「言語化できていない問題」というのは、とても「よくある」話だと思うけれど、じつは最初にそう告白してきたひとに対し、私は結構おどろいた。

言語化できていない問題について

ことばにできない、言い得ていないと思うのは、そのひとの「思い」だろう。それをしっかり言葉化できなかったとしても、ひとはそれをないがしろにしがちだ、ということなのだろう。

コピーライティングは言葉化したい対象も目的も明確だ。売るため、または、好きになってもらうため。どっちかしかないといってもいい。

だけど、他者それ以前に「じぶんの気持ちを言葉化できてない」ということについて、実は私はあまり共感ができない。それができてないのに「他者のために(コピーを書く)」なんてもっと無理、と思うのが普通だろう。
なのでたぶん職業としてコピーライターを選んでいない、ということだと思う。

けれど書くことを生業にしていなくても、自分の気持ちを言語化したい、と多くのひとが思っている。

なんとか伝えたい、それがひと

娘を二人育てていて、彼女たちがまだ3-4才の頃。ある日、姉妹げんかがはじまった。そのとき、3さいほどの妹が姉に怒り心頭し言い放った言葉を私はたぶん生涯忘れることはないだろう。まだ語彙も少ない、それこそディスるワードさえ、ほとんどもたない3才児が心底腹を立てて、しばし考え抜いて言い放ったひとこと、それは「〇〇ちゃんの、ごみーーー!!!」だった。

思わず笑ってしまったけれど、「ごみ」という比喩表現には、ものすごい「含み」がある。ゴミと言っても千差万別。それこそ保育園で具合の悪い子がしでかしてしまう吐瀉物だってゴミなわけで、はっきりいって、それを聞いた私はすごいびっくりした。怒り心頭したどり着いた、その比喩表現に。そのあと、さらに私がびっくりしたのは妹がとても満足そうだったこと。

伝わった!!! それで十分。それが言葉そものの仕事でありそれ以上でも以下でもない、という話を私は身をもって知った。

伝えてあげよう、まずは他の誰でもない「自分」を

自分キャッチコピーは、自分を伝えるということだ。自分が相手に伝えたいように、だ。結局恥ずかしいだの、一人じゃできないだの、いろんな理由をつけて「ひとはそんなことはやりたくない」のだと思う。めちゃくちゃわかる。

だけど、そこを乗り越えて自分と向き合ってみると、いろんなプラスの効果がある。

①できないことがワカル、他者と脳みそがつながってないことを理解する
②どれを「よし」とするか、そのジャッジを自分がもっているので案外気楽である
③ひとつ適当にやってみると案外それなりものができる
④思ったように「伝わった、伝わらない」自分の視点の思い込みに気づく
⑤書く=読み手の存在を意識するので、しぜんと他者を思いやることになる
⑥修正してもいい増やしてもいい、そこがいい

やってみると、むずかしい。そして楽しい

取り組んでみると、悩みつつもすいすいと書いてしまうひとと、書いても書いても気に食わないというひとに分かれる。これはとても興味深い。

書いたものにマルをするのも、これで終わりとするのも自分なのに。

想いを言葉にせず、ないがしろにしてきたひとかもしれない。自分の「よし」とするところが高みにありすぎるひとかもしれない。でも、こちら側としてはそんなのどうだっていい。知るよしもない。

誰かに伝えるためのキャッチコピー、なのに自分と対峙しはじめる

やっと本題にもどれそう。笑

そう。最初は「他者に自分を伝えるため」の言葉を考え出したはず。なのに、自分をきちんと伝える、しかも満足のいく伝え方で、となるとちょっと(いやかなり)話が違ってくる。それがとっても面白い。

どう伝えるか、目の前の言葉に夢中になる、これは「コピーライティング体験」にかなり近いものがあると私は思う。はっきりいって、これは訓練でしかない。思いの丈をスカッとするまで言葉化する訓練だ。

これをつづければ思い描いたことを、通りに伝える能力があがる、ことなので、コピーライティングの能力どころか、もっと長い小説なんかも書けるようになるだろうと思う。(そこに至るまでは周りがそれを評価するか、という別軸が生まれるけど)

自分キャッチコピー書き込み式ブックは、やってるうちに自然とコピーまで書けるようになってしまう。そういうテキストなのです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?