【実例】絶対に応募してはいけない「地域おこし協力隊」
「地域おこし協力隊」は、いまや全国でも多くの自治体が活用する制度であり、令和5年度に全国で活動した地域おこし協力隊は、過去最高の7200人に達し、受け入れ自治体も過去最高の1164自治体になりました。
総務省は、令和8年度までに隊員数を1万人にするという目標を掲げています。
一方隊員数を増やそうという中で、自治体ごとの募集内容を見ていくと首をかしげるようなものがあることも事実です。
地域おこし協力隊の理念
総務省によると地域おこし協力隊の効果として、「行政では行えなかった柔軟な地域おこし策」「才能や能力を生かした活動」「斬新な視点」などを挙げています。
「求人」ではないはず
協力隊の募集は、一般社団法人 移住・交流推進機構(JOIN)が全国の協力隊募集情報を集約しているほか、各都道府県でまとめて紹介しているところもあります。
総務省が掲げる理念からして、これは自治体と人の「マッチング」の側面が大きく、「これをする人が何人ほしい」という「求人」ではないはずなのです。
募集する自治体向けにも「隊員を役場や関係団体の人員補填的な雇用として募集しない」と明確に書かれています。
おすすめできない募集事例
労働条件を売りにしている
「週休3日」「週30時間勤務」「月収25万円」など、労働条件を真っ先に掲げ協力隊を単なる「労働力」と見ている募集や自治体は危険です。活動内容に特筆すべきことがなくぼんやりとしたミッションを掲げ、実態は施設の店番だったりします。
あらかじめ自信をもって労働時間を示せるのは、「もし人が来たらやらせることを考える」からか、はなから独自の活動をさせる気がないことの証左です。
そもそも「民間企業勤務」
時折、自治体内にある企業で働くことを前提にしている募集があります。
企業は給与分の費用を出さずに人を採用でき、自治体も国の補助金を使って企業に協力した姿勢を見せられます。
しかし、採用される方は完全に民間の企業の社員と同じ働き方で、3年の任期付き雇用。普通に企業の採用面接を受けた方がよさそうです。
ハローワークや求人サイトに採用情報を載せている
これこそ、協力隊を単に労働力としてしか見ていない最たる例だと思います。
そもそも協力隊は「都市地域から過疎地域等の条件不利地域への移住」という大きな要件があり、都市地域の人しか応募することができません。それにもかかわらず、対象外の人の方が多く見る可能性の高い媒体へ求人を出すこと自体がピントのずれた行為だと言わざるを得ません。
「誰でもいいからこの仕事をしてくれ」という自治体のメッセージです。
大量募集
同じ立場の人が多くいるというのは、新たに採用される方としては安心感があるかもしれませんが、重要なのは当然ながら数ではなく内容です。
小さなまちであればあるほど「何のために」それだけの人を外から集めているのかという分析が必要です。
企業の採用と同じですが「何回も」「大人数」の採用募集をしているところは要注意。
再募集・随時募集
自治体関係者の話によると、JOIN等のサイトに掲載すれば、応募が「全くない」ということは稀だそうです。
募集期間を過ぎても長期間掲載されている協力隊募集は、よほど地理的条件や待遇が悪いか、自治体が応募者を選り好みしている可能性が高いです。
無理筋な規定
応募要項に書かれた「採用内示後の辞退が想定される方、概ね1年未満で退職を考えている方は、応募をご遠慮ください。辞退した場合、面接時に支給した旅費や活動経費の返還を請求する場合があります」という注意事項。
過去にトラブルがあったことをうかがわせる書き方ですが、労働基準法16条では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」としています。
これだけで遵法意識が低い自治体ととらえられてもおかしくありません。
おわりに
協力隊制度は移住希望者のためのものではなく「国と自治体のためにある」ということを念頭に見ていくと、募集要項の一文や、担当者の一言などに見過ごせない「違和感」があるはずです。
もちろん移住してきてくれるあなたと本気で向き合ってくれる自治体もあると思いますが、相手は所詮身分保障された公務員です。
よそからやってきたどこの馬の骨とも知れない協力隊など、何かトラブルがあれば真っ先に切り捨てられるでしょう。
自分の身は自分で守るという意識で、本気で向き合いたいと思うミッションや自治体を見つけることが重要です。