【手取り15万】地域おこし協力隊の給与明細
地方ではもはや普通の「手取り15万」
Xで突如トレンドに上がった「手取り15万」。私もそうだ。
私は国の地方創生のための制度「地域おこし協力隊」として小さな自治体で働いている。
国から自治体へ渡される報酬費は1人最大320万円。最終的に働く隊員に渡される報酬額がそれより高い自治体もあれば、低いところもある。
320万円を単純に12で割ると、26万6千円あまり。賞与分もあるのでもちろんそれには届かないが、私の昨年の年収は300万円を大きく下回っている。
それは、土地の給与水準に準じるからだ。
実際の給与明細
地域おこし協力隊は1年単位の「会計年度任用職員」という、いわゆる非正規公務員として役場に雇用されている。
自治体によっては隊員を個人事業主として、業務委託の形をとっているところもあるが、その場合は報酬と活動費は満額支給されるケースが多い。
もちろんその場合は社会保険料を自分で納める必要があり、確定申告が必要などのデメリットもある。
手取り14万5千円
隊員の任期中は自治体の用意したアパートの部屋に住むことができるため、現在はなんとか暮らしている。
「地方は生活費が安いから」とよく言われるが、協力隊を募集するような地方では車が必要不可欠で、車検や急な故障で5万10万と出ていくとやはり厳しいし、会社員時代の貯金を使いながらでないと暮らしは成立しない。
都市部から地方へと移り住む協力隊は、3年の任期中に地域での仕事を見つけ、そこに根付くことを期待される。
中には起業でビジネスチャンスをつかむ人もいるし、技術を買われ地元企業にスカウトされる人もいる。
しかし、都会との差を目の当たりにして去っていく人がいるのもまた事実。
仮に協力隊退任後も同じ給与水準で働くとなると、ここからさらに家賃も払うことになり、途端に生活は破綻するだろう。
公務員の給与は民間の給与と乖離しないようにできているが、地方ではそもそも実家暮らしや共働きによる早期の結婚などを前提に、低賃金でも「暮らせてしまう」現状があるように思う。
「移住婚で60万円」という政策案も取り下げで話題になったが、地方から人が出ていく構図そのものに向き合わず、わずかなお金をぶら下げて都市から人を持って行っても焼け石に水で、同じことの繰り返しだ。
真面目に働いている人の給与が上がり、手取りが増えるような政策をとらなければ、地方の沈没は日本全体に及んでいくに違いない。