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【真・女神転生V Vengeance】

2024年7月プレイ開始
総プレイ時間:約80時間

【ストーリー】

★★★☆☆ 3

本作は2021年に発売された「無印版」に、新たな追加要素を足した完全版である。
その商品の売り方にはゲーム業界が俄かに騒然とし、『女神転生』ファンからも賛否両論の意見が続出した、ある意味問題作でもある。

本作の舞台は現代の東京。
そしてこれまでのシリーズの伝統を守るかの如く、当然のように崩壊を迎える。
悪魔が跋扈する魔界「ダアト」に成り果てた東京で、主人公は謎の男「アオガミ」に助けられ、禁忌の存在「ナホビノ」となる。
悪魔に対抗する力を得た主人公は、崩壊を迎える世界で、悪魔・天使・神話の神々といった存在、そして人間と共に戦いながら、やがてひとつの選択へと導かれていく。
物語の結末は自らの取った行動によって変化し、選択肢次第で様々なエンディングを迎えることになるのが、本作の特徴のひとつだ。

しかし、世界観・人物への描写は全体的に乏しく、プレイヤーは終始置いてきぼりになる感じが否めない。
『ペルソナ』シリーズのような作風を期待すると肩透かしを食らうだろう。

【ゲームシステム】

★★★★★ 5++

ストーリー面ではあまり好意的な評価をしなかったが、本作の神髄は「バトル」と「仲魔の育成」にあると僕は思っている。

バトルは今や『ペルソナ』などでお馴染みのプレスターンバトルを採用している。
これは、弱点を突いたり、クリティカルの発生、補助技の使用などによってこちらの行動回数を増やして戦いを優位に進められる、非常に戦術性の高いシステムである。
自らの知識がそのまま武器となり、自分の思い通りに戦略を思い描くことが可能なバトルシステムは慣れこそ必要だが、高い爽快感・満足感をもたらしてくれる。

そして、『女神転生』シリーズといえば、玄人向けの高難易度なイメージを持っている人も多いのではないだろうか。
本作もその例に漏れず、全体的に難易度は非常に高めになっている。
上述したバトルシステムは敵側にも当然適用されるため、例え雑魚戦であっても油断をしようものなら全滅は免れられない。
昨今のRPGで10回以上もゲームオーバーになることなど考えられるだろうか。(難易度:ノーマル)
時には理不尽で、常に高い緊張感が纏わりつく戦闘は人を選ぶが、手強いRPGを探しているプレイヤーにとってこれほどの逸材は無いはずだ。

また、本作にはオートセーブ機能が搭載されていない。
これは開発の技術力の問題ではないことは、同社の近年発売された作品をプレイした人間ならわかるだろう。
まぁ、つまり、そういうことである。
この辺りに開発チームの性格の悪さが滲み出ている。(褒め言葉)
しかし、大きな戦闘の前にはメッセージが挿入されるといった配慮がされている側面もあり、時折見せてくる優しさが妙に沁みるのである。

本作のもうひとつの醍醐味である育成要素も非常に奥深いものになっている。
悪魔同士を配合して新たな悪魔を生み出す「悪魔合体」や、スキルの変更・追加ができる「写し身合体」が本作には存在し、プレイヤーが注力するのは概ねこの二点になる。

「悪魔合体」は仲魔となった悪魔同士を配合し新たな悪魔を生み出す仕組みであり、これが戦略の幅を広げるのに一役買っている。
配合先の悪魔にはスキルの継承が可能で、組み合わせの自由度は非常に高く、自分のパーティに合わせてスキルの構成を考える時間が非常に楽しく、そして面白いものになっている。

「写し身合体」は、一言で言い表すなら『ポケモン』でいう「わざマシン」といったところか。
これにより、本来は覚えないスキルの組み込みや、弱点であるはずの属性への耐性付与といったことが可能であり、より強力な悪魔を誕生させられる。
当然ながら使用できる回数には限りがあり、手に入れられる手段も限られているため、どのタイミングで使うかは完全にプレイヤー次第だ。
この「写し身合体」により、”見た目は好みだが使用感がイマイチ”といったジレンマを解消することができ、自分にとってお気に入りの一体を生み出すことが可能だ。

また、ストーリーを進めていく毎に、主人公にも様々なの特殊能力を付与することが出来るようになる。
能力の解禁にはある程度の探索が必要になるのがネックだが、マップの解放や豊富なサブクエストの達成といった、本編とは違う楽しみ方も味わえるため、僕自身あまり苦にはならなかった。

しかし、広大なマップの作り込みはやや粗削りであり、見辛い上に必要性を感じない入り組み方をしているフィールドが多く、この問題点を無視することは難しい。

それでも、戦闘と育成の奥深さはそういったマイナス要素を上書きするほどのめり込めるものだったことは間違いなく、この二点がハマッたプレイヤーの多くは僕と同様の感想を抱くのではないだろうか。

【キャラクター】

★★★★☆ 4

本作には主人公を含む人間たちが登場するが、いずれも人物・心理描写が薄いのは上述した通りだ。
特に主人公のクラスメートたちについては関係性が曖昧で、結局最後の最後まで一体どういう人物なのかが朧げなままであった。

対して、天使や悪魔といった人外のキャラクターたちはいずれも曲者揃いで、彼ら(彼女ら)の言動がプレイヤーを物語に引き込むのに一役買っている。
神話や聖書といった元ネタを知っていると、より会話の内容を楽しめるだろう。

【音楽】

★★★★★ 5

音楽面も『ペルソナ』と打って変わり、全体的にダークな雰囲気で重低音を活かした楽曲が多い。
また、名のある神々と対峙した際の、神話をイメージした宗教音楽のようなBGMも数曲登場するのだが、この楽曲たちの存在感は非常に大きく、耳から離れないものが多い。

通常戦闘曲のバリュエーションも豊富で、いずれも疾走感のあるハードなロック・メタル調の楽曲が戦闘の緊張感を否が応でも高めてくれる。

そして、本作の戦闘BGMはやや特殊であり、戦闘に突入した段階では無音を維持したままなのだが、プレイヤーが何かしら行動をすると音楽が再生されるという仕組みになっている。
これがまるで戦いのゴングのように感じられ、高い難易度も相まって気が一気に引き締まる。

全体を通じて神秘・邪悪といった本作のイメージを崩さない楽曲たちは、流石のアトラスサウンドといったところだ。

【総評】

96点

僕は少年時代に一度だけ『真・女神転生Ⅲ』をプレイしたことがあるのだが、余りの難易度の高さからプレイを断念している。
時が経ち、数々の「死にゲー」を打ち破ってきた今ならクリアできるのでは? と思ったのが本作を手に取ったきっかけである。
その目論見は見事的中し、何度も理不尽な死や、洗礼を受けながらも、二周プレイするほどにやり込むことが出来た。

本作は絶対に他人にオススメする作品ではないが、歯応えを求める人であれば、ぜひ手に取って欲しいゲームだと僕は思う。
また、ある人が『メガテン』シリーズを”ダークなポケモン”と例えていたのだが、これは言い得て妙だなと痛感しているところだ。

最後に、僕が本編中に使役していた「仲魔」たちをいくつか紹介してみたいと思う。
※ストーリーの根幹に関わってくるキャラクターについては割愛する。


【アリス】

『ペルソナ』シリーズでは毎度お世話になっている彼女だが、本作にも専用技・「死んでくれる?」は健在である。
流石に『ペルソナ』シリーズのようなぶっ壊れ性能ではなくなっているが、呪殺属性のエキスパートとして活躍してくれた。

【ヨシツネ】

彼の世話になった『ペルソナ』ファンは多いのではないだろうか。
本作でも専用技・「八艘飛び(はっそうとび)」をメイン火力に据えた物理特化の仲魔であり、「チャージ」からの「八艘飛び」という黄金コンボも再現可能である。

【ナホビホ】

……おい待て、なんだこの可愛い生物は。
ジャックフロストは部屋にぬいぐるみを飾っているほど好きなキャラクターなのだが、まさか主人公のコスプレをして登場してくるとは……!!
これは育てるしかない!! と思っていたら、実は氷結属性では最強格の仲魔だった。
ギャグ技にしか思えない「こーじんらせんざん」という専用技の演出と破壊力は、ぜひその目で確かめてみて欲しい。
しかし可愛いな。

【デメテル】

全知全能の神・ゼウスの姉である彼女は、本作における最強格のサポーターの一人らしい。(攻略サイト調べ)
確かに、高難易度の戦闘を彼女無しでクリア出来る気は全くしなかった。
加入後からはずっと、バフ・デバフ・ヒールと女神を散々こき使ってきた、罰当たりな僕である。
あと、攻撃を受ける度に笑ってしまうので、普通に食らってください。

【イズン】

北欧神話より、『黄金のリンゴ』の管理をしている女神である。
専用技・「黄金のリンゴ」はチートスキルである。
彼女は上述したデメテルが加入するまで、ずっとパーティーメンバーに「黄金のリンゴ」を配りまくっていたのだが、役割が被るため、あえなく脱落してしまった。
しかし、彼女は決して弱い訳ではなく、普通に使い続けるプレイヤーも多いようだ。

【コノハナサクヤ】

DLCを購入した場合のみ加入できる、隠しキャラクターのような存在の彼女。
何故か我が陣営に火炎属性を扱える悪魔がおらず、急遽加入してもらった。
専用技・「木花之栄」は超強力な回復スキルであり、火炎属性が必要な時だけ呼びつける都合の良い女だった。

ってか思い返してみたらヒーラー多すぎだろ!

~終わり~

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