Unityのみでの非対応衣装の着せ方備忘録
概要
どんな記事なの?
本記事は、筆者がVRChatの衣装改変にて、Unityのみで、アバターに非対応の衣装を着せる際、そのやり方や意識している点を書き記している記事です。
使用ツール
本記事では、以下のツールを使用しています。
Unity2022(2022.3.6f1)
Modular Avatar(以降MA)
Gesture Manager
VRC/3Dアバター向け簡単着せ替えツール「キセテネ」
アバターと衣装。それらの導入に必要なシェーダー(lilToon等)
作業の都合上、アバターにはブレンドシェイプが付いている前提で解説します。
また、本記事で使用したアバターと衣装は以下の通りです。
使用アバター:オリジナル3Dモデル「マヌカ」ver1.02
使用衣装:【MameFriends/Nemesis】Sweet Gyaru School Look
(キプフェル対応の衣装を使用)
衣装の着せ替え
1.アバター、衣装の導入
まずは、アバターと着せ替える衣装をUnityにインポートし、Hierarchie(ヒエラルキー)に置きます。
この時、アバターのデフォルトの衣装が付いている場合、衣装側のInspector(インスペクター)上部のチェックボックスを外し、非表示にします。
必ずアバターと衣装の位置は、原点、Position(ポジション)のX, Y, Zが全て0にしてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1737166204-Pz1H3LlxTs79vkcVfORKCXoQ.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1737168376-c0qT9RQISkjsZn5wfJCGOVA7.png)
2.大まかなスケールを合わせる
次に、衣装のスケールを調整します。
スケールの調整に限らず、衣装の調整は、全て衣装のArnature(アーマチュア)より中の部分で調整します。
![](https://assets.st-note.com/img/1737168604-reL1R0wA5pcoHYkK276QngbZ.png)
まずは、アーマチュア中のHipsを選択します。その後、Hipsのインスペクターの中のscale(スケール)をいじり、大まかな服の大きさを決定します。その後、ポジションのy軸を調整し、服で体を覆います。
この時のスケールは、大体胴回りが同じくらい(胴が覆いかぶさるように)になるようにします。
![](https://assets.st-note.com/img/1737168997-U3LRmWq8xkHXzvaV5AbKCn24.png)
これで、大まかな調整は完了です。
この状態で細かい調整に入ります。筆者は、胴回り→肩や腕→腰→靴→アクセサリーの順で調整しますので、その順で解説します。
3.首回りの調整
まずは、首回りの調整に入ります。
襟や胸元を基準に、Spine(上半身)のスケールとポジションのy軸を調整します。(下画像〇部分)
この時、首元以外の身体が貫通することがありますが、元々、肌が露出する場所でない限り、気にせず調整してください。
服に胸のシェイプキーがある場合、この時に調整してください。
もし、Spineの調整のみで、腰回りのメッシュが間延びした感じになるような場合、Spineの中のChest(胴)やHipsでも同様にスケールとポジションの調整やを行ってください。
腰と上半身との間延びを、お腹と胸元の間延びで中和できるため、違和感を軽減できます。
![](https://assets.st-note.com/img/1737181770-RXA74Etjs2GlVoSZi950D3YW.png?width=1200)
4.腕の調整
次に、肩回り、腕の部分の調整を行います。
肩回りの調整は、Spineの中にあるShoulder.LとShoulder.Rのポジションを調整します。
ポジションに関しては、片方のy軸を調整し、その後、もう片方の肩へy軸のポジションをコピペすれば、左右のズレが生じなくなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1737182146-ZFvynRWAfsd1CLrU8ujbtEMB.png?width=1200)
腕の調整は、キセテネの併用で行います。
キセテネで服を選択した後、上半身部分の袖を伸ばしたり、太さを調整することで、左右の袖が一緒に調整できます。
※この時、キセテネで着せ替えは行わないでください。
失敗した場合でも、一度キセテネのウィンドウを消し、同様の操作を行うと、再度挑戦可能です。
その後、袖に違和感がある場合、Shoulder.の中にあるUpperArm.(二の腕)やLowerArm.(肘より先の部分)のスケールを調整してください。
この腕の調整は、カメラを腕の中に突っ込んで、袖の中に腕が中心くらいになるように調整しください。
![](https://assets.st-note.com/img/1737182459-xwIacJ2ePSDtLhG730UgNBdb.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1737186656-gYrJ7NdSatUqjWecumTlyiDZ.png?width=1200)
5.スカートの調整
次に、スカートの調整を行います。
スカートは、衣装にもよりますが、UpperLeg.LとUpperLeg.R。もしくは、Skirt Rootといった名前でHipsのに中にあります。
今回の衣装は、UpperLeg.LとUpperLeg.Rで管理されているため、それらのスケールとポジションを調整します。
お尻や太ももが貫通しないように気をつけて調整します。
![](https://assets.st-note.com/img/1737184529-fRGJ7LeOKiFC19XMoY0ptkIb.png)
6.足元の調整
次に、足元の調整を行います。
靴や靴下など、ヒザより下にあるものは、UpperLeg.の中にあるLowerLeg.で調整します。
また、靴はその下のfoot.やToe.でも調整する必要があるため、LowerLeg.で靴下の調整をした後、foot.とToe.で靴の最終調整を行います。
靴下の場合、しっかり足の中心で履けているか。靴の場合、足にフィットしているかを確認しながら着けてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1737185989-esA6FT2HJORwZbUuQyaKDkWx.png)
ただし、ストッキングを含む靴下や、靴の類は、非対応で着せるのが非常に難しいため、根気強く調整するか、妥協するか、靴と靴下を消して、アバター対応の物と付け替えてください。
7.アクセサリーの調整
次に、アクセサリーの調整を行います。
アクセサリーはブレスレットだったらLowerArm.かその中のHand.に。ヘアアクセサリーなら、Chestの中のNeckの中のHeadに独自の項目、もしくは直付けされています。
今回の衣装は、ヘアアクセサリーがあるため、Headで調整します。
バックは、Shoulder.Lの中に追加項目があり、そちらで調整可能ですが、現在のバランスが良いため、未調整です。
![](https://assets.st-note.com/img/1737188110-oLYTClQkruSs5D2KhAinx7pj.png?width=1200)
8.アバター側の調整
次に、アバターのブレンドシェイプ機能を使って、最終調整を行います。
一部のアバターのBody部分には、Blendshapes機能があり、身体の一部分を絞ることができます。
今回はその機能を使って、貫通してしまった胸の部分(下画像□部分)を絞ります。
![](https://assets.st-note.com/img/1737188507-reBuY20tofqIcDng1QORhPdX.png?width=1200)
9.着せ替えと最終調整
最後に、MAでSetup Outfitを行い、アバターに衣装を着せ、Gesture Managerでテストを行います。
![](https://assets.st-note.com/img/1737188995-P3YRV6TidMGm7phnjkEL21bB.png)
テストしてみると、破綻部分(上画像〇部分)が発見できましたので、不具合を潰していきます。今回の場合、脇の貫通はブレンドシェイプでShoulderとUpperArmを絞り、足の貫通は、6.足元の調整を再度行いました。
そして、何回か調整とテストを繰り返します。
![](https://assets.st-note.com/img/1737190033-k64g0MiBETPnrHzDYmV9caQX.png)
Gesture Managerで上手く動いてくれたら、VRChat上にアップロードし、上手く動いてくれたら完了です。
また、この段階で、非表示にしていたアバターの衣装のメッシュなどを削除してください。
お疲れ様でした。
余談
何で胸元から調整したの?
アバターのアーマチュアは腰を中心に手足、頭へ分かれます。例えば、右手までのルートは、
Hips(腰)→Spine(上半身)→Chest(胸元)→Shoulder.R(右肩)→UpperArm.R(二の腕)→LowerArm.R(肘より先)→Head.R(手)
です。
Head.Rは、より上にあるUpperArm.RやChestの影響を受けます。つまり、先により上にあるSpineの調整を終わらせないと完全な調整が完了できません。
また、上半身は調整時に間延びした印象をかき消すため、Hipsの位置を調整し直す必要があり、スカートの最終調整のためにも、筆者は先に胸元から調整しています。