静かな時を過ごす。志賀直哉「城の崎にて」
静けさが心を安らかにしてくれる。この作品を読んでいるとそう感じる。今まで賑やかな方が絶対楽しいと思ってきたけど、(それはそれでそうなんだけど)
「一人きりで誰も話し相手はない。読むか書くか、ぼんやりと部屋の前の椅子に腰かけて山だの往来だのを見ているか、それでなければ散歩で暮らしていた」(「城の崎にて」から抜粋)
こんな風に静養するのもいいなと思った。何かと忙しない毎日だからこそ、静けさが心に沁み入ります。
「城の崎にて」は、確か高校の教科書で読んだ(読まされた?)経験がある。
その時は、蜂が死んで、鼠が死んで、イモリが死んで、それが何?程度にしか分からなかった。
要するに、全く理解できなかった。
四十過ぎた今、読み直してみると、生と死について余すことなく書かれてある、素晴らしい作品、これはもう哲学だよ!とさえ思う。