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【ニューアストリアにて】
小原晩さんのエッセイ『これが生活なのかしらん』に「やる気がなくなったときに千里中央のニューアストリアに行って万博公園で太陽の塔をいろんな角度から見つめる。それが自分の"生きたくなるセット"」のような記述があり、行ってみたい、と思った。
ということを人に話すと、「あそこのカツサンドはほんまにおいしい」と誰もが言うので、「行ってみたい」は「行くっきゃない」になった。
行列を覚悟していたのだけど、あっさりと通されて、たぶんこの店でいちばん落ちつくと思われるに座る。スタッフは全員おっちゃん。ホール担当のおっちゃんにカツサンドA玉ねぎ抜きとミックスジュースをオーダーしてしばし待つ。
ここのカツサンドは一口大にカットされているので片手でぱくりと食べられてしまう。(あとで気づいたけど、爪楊枝でピックするのが通の食べ方っぽい)
トーストされたパンには分厚いカツと野菜がサンドされていて(まずカツ揚げてサンドするだけでも手間もおいしさも満点なのにそれをさらにトーストしようって誰が考えてくれたんですか)添えられたパセリも見た目の華やかさだけでなく、味のアクセントにもなっている。王道のミックスジュースとの相性もバッチリ。
この席からキッチンは見えないけれど、カツがしゅわしゅわ揚げられている音がずっと聞こえてきて、カツサンドのオーダーが多いんだなーみんなこの幸せを味わってるんだなーと嬉しくなる。ゆっくり本の続きを読もうと思っていたけれど、こぢんまりしたお店なのでさっと食べてさっとお会計をした。
「お会計1000円です」にびっくり。安すぎんか。
ニューアステリアに行ったのは他人のサードプレイスを覗いてみたくなったからだけど、そこにはサードプレイスどころか日常の延長、いや日常がぽんっとあった感じ。元気を取り戻すというか、自分を取り戻す感覚になるのかもしれない。いや、そんな大袈裟なことではなく。うまく言えないけど、日常はどこまでも日常で、店を出て見える、思ったより近い改札とかのんびりした阪急百貨店を見て、ちょっと回復する気持ちはわかる。すごく。
叶うなら二週間に一回くらい、元気がなくなる前に充電するようにカツサンドを頬張りたいなと思った。行って良かった。
わたしの「生きたくなるセット」はなんだったっけな。