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第57回作業療法士国家試験・第57回理学療法士国家試験の解説

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第57回作業療法士国家試験
第57回理学療法士国家試験
解説してみた。

問題51
関節円板を有する関節はどれか。2つ選べ。
1.遠位橈尺関節
2.肩関節
3.胸鎖関節
4.橈骨手根関節
5.腕尺関節

模範解答: 1と3と4
【解説】
関節円板をもつのは、顎関節、胸鎖関節、肩鎖関節、下橈尺関節(橈骨手根関節)である。

問題52
膝関節半月板について正しいのはどれか。
1.内縁は外縁より厚い。
2.外縁は外側側副靱帯に付着する。
3.外縁は血行により栄養されている。
4.内側半月板の形状はO字状である。
5.プロテオグリカン量は関節軟骨より多い。

模範解答: 3
【解説】
半月への栄養供給は外縁1/3は血管(主に膝窩動脈の枝)で、内縁1/3は滑液により栄養される。膝関節半月板の内縁(中心部)は外縁より薄い。膝関節半月板が側副靭帯に付くのは内側半月で、その外縁が内側側副靭帯に付く。内側半月はC字型、外側半月はO型をしている。半月板にもプロテオグリカンは存在するが関節軟骨ほどの量でないことが一般的。

問題53
深部反射と反射中枢の組合せで誤っているのはどれか。
1.上腕二頭筋反射――C5・6
2.上腕三頭筋反射――C7・8
3.腕橈骨筋反射――C8・Th1
4.膝蓋腱反射――L2〜4
5.アキレス腱反射――S1・2

模範解答: 3
【解説】
腕橈骨筋は橈骨神経(C5・6)によって支配される。上腕二頭筋は筋皮神経(C5・6)、上腕三頭筋は橈骨神経(C7・8)、膝蓋腱に移行する大腿四頭筋は大腿神経(L2〜4)、アキレス腱に移行する腓腹筋・ヒラメ筋・足底筋は脛骨神経(S1・2)に支配される。

問題54
自律神経作用と支配する節前ニューロンの起始レベルとの組合せで正しいのはどれか。
1.細気管支の収縮――頸髄
2.顔面の汗腺の発汗――延髄
3.消化管蠕動の亢進――腰髄
4.瞳孔散大筋の収縮――胸髄
5.内尿道括約筋の収縮――仙髄

模範解答: 4
【解説】
まず、自律神経の起始は交感神経が胸髄と上位腰髄の側角で、副交感神経はⅢ動眼神経、Ⅶ顔面神経、Ⅸ舌咽神経、Ⅹ迷走神経および仙髄側角(S2-4)である。瞳孔散大筋の収縮は交感神経作用であるため胸髄が関係している。一方、細気管支の収縮は副交感神経作用であるが、そもそも頸髄は関係ない。顔面の汗腺の発汗は交感神経作用であるため延髄は関係ない。消化管蠕動の亢進は副交感神経作用で腰髄は関係ない。内尿道括約筋の収縮は交感神経作用であるため仙髄は関係ない。

問題55
反回神経支配でないのはどれか。
1.横披裂筋
2.甲状披裂筋
3.輪状甲状筋
4.後輪状披裂筋
5.披裂喉頭蓋筋

模範解答: 3
【解説】
反回神経(運動・知覚)は迷走神経の枝で、心臓神経叢、頸部気管の平滑筋、食道・咽頭壁、輪状甲状筋以外の喉頭筋を支配する。反回神経の喉頭筋支配の詳細は、反回神経が喉頭で前後に分かれ、前枝は甲状披裂筋、外側輪状披裂筋を、後枝は後輪状披裂筋、横披裂筋、斜披裂筋を支配する。

問題56
心臓について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.右房室弁は三尖弁である。
2.冠静脈洞は左心房に開口する。
3.大動脈弁には腱索が付着する。
4.Valsalva洞は肺動脈の起始部に位置する。
5.左冠動脈は心室中隔前方2/3に血液を送る。

模範解答: 1と5
【解説】
右房室弁は三尖弁、左房室弁(僧帽弁)は二尖弁である。左冠動脈は回旋枝と前室間枝に分かれ心室中隔前方を栄養する。冠静脈洞は右心房の後面にあり下大静脈開口付近に開口する。大動脈弁や肺動脈弁は半月弁3枚からなる。腱索が付着するのは房室弁で心室内の付着部が乳頭筋である。Valsalva洞(大動脈洞)は大動脈起始部にあり、ここから冠状動脈が起始する。

問題57
胃の解剖について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.胃体部に胃底腺がある。
2.食道と胃の境に噴門が位置する。
3.角切痕から近位部が幽門前庭である。
4.胃酸を分泌する腺は胃底部に多くみられる。
5.大弯は肝胃間膜によって肝臓と結合している。

模範解答: 1と2
【解説】
胃腺を固有胃腺あるいは胃底線とも呼び胃体および胃底に分布する。胃腺は主に消化に関わり、粘液線(噴門腺や幽門腺)と区別する。食道と胃の境を噴門と呼ぶ。幽門前庭は角切痕(胃体と幽門部の結合する小弯側)の遠位部にある。胃酸を分泌する腺は胃腺で胃底部と胃体部に分布する(設問「胃体部に胃底腺がある」と関連している)。大弯は胃体の左側の弯曲で大網をここから大腸の横行結腸へと出す。肝胃間膜は小網の一部(他に肝十二指腸間膜がある)で胃の小弯と肝門部をつなぐ。

問題58
副腎髄質から分泌されるホルモンはどれか。
1.レニン
2.アンドロゲン
3.コルチゾール
4.アルドステロン
5.ノルアドレナリン

模範解答: 5
【解説】
副腎髄質からアドレナリン(A細胞)、ノルアドレナリン(NA細胞)が分泌される。レニンは腎臓の輸入細動脈付近にある傍糸球体細胞から、アンドロゲンは副腎皮質網状帯や精巣の間細胞(ライディッヒ細胞)、コルチゾールは副腎皮質束状帯、アルドステロンは副腎皮質球状帯から分泌される。

問題59
光が角膜から網膜に達する経路で正しいのはどれか。
1.硝子体――前眼房――瞳孔――水晶体
2.水晶体――瞳孔――前眼房――硝子体
3.前眼房――瞳孔――硝子体――水晶体
4.前眼房――瞳孔――水晶体――硝子体
5.瞳孔――前眼房――水晶体――硝子体

模範解答: 4
【解説】

問題60
第1中手骨底の背面に浮き上がる示指側の腱はどれか。【図の問題を言葉で表現しました】
1.短母指伸筋腱
2.長母指伸筋腱
3.母指内転筋腱
4.短母指外転筋腱
5.長母指外転筋腱

模範解答: 2
【解説】
長母指伸筋腱は尺骨後面、前腕骨間膜から起始して第3トンネル通って第1指末節骨底に停止する。途中、長母指伸筋腱(示指側)は短母指伸筋腱(母指側)とともに第1中手骨底の背面に嗅ぎタバコ入れ(snuff box/タバチュール/橈骨小窩)を構成する。

問題51
運動軸が2つの関節はどれか。
1.環軸関節
2.距関節
3.肩鎖関節
4.橈骨手根関節
5.腕尺関節

模範解答: 4
【解説】
2軸関節には、楕円関節(環椎後頭関節、橈骨手根関節)、顆状関節(中手指節関節、顎関節、[膝関節])、鞍関節(第一[母指]手根中手関節、胸鎖関節)がある。環軸関節は正中環軸関節なら車軸関節(1軸)で外側環軸関節なら平面関節(無軸)、距[腿]関節はラセン関節(1軸)、肩鎖関節は半関節(無軸)、腕尺関節は蝶番関節(1軸)である。

問題52
筋滑車がみられる筋はどれか。2つ選べ。
1.烏口腕筋
2.顎二腹筋
3.示指伸筋
4.小胸筋
5.上斜筋

模範解答: 2と5
【解説】
滑車は靱帯の環または骨の隆起でできている。顎二腹筋の起始は、前腹(下顎神経支配)の下顎骨二腹筋窩と後腹(顔面神経支配)の側頭骨乳様切痕で、中間腱が滑車により舌骨体に固定される。上斜筋(滑車神経支配)は眼窩内上方にあり、総腱輪から起始して滑車を通って眼球強膜上面の赤道後部につく。眼球を下外方に向ける。

問題53
神経核が橋に位置するのはどれか。
1.副神経
2.滑車神経
3.顔面神経
4.舌咽神経
5.舌下神経

模範解答: 3
【解説】
橋にある主な神経核は、【運動核】Ⅴ 三叉神経運動核、Ⅵ 外転神経核、Ⅶ 顔面神経核、Ⅶ 上唾液核、【感覚性核】Ⅴ 三叉神経主知覚核、Ⅷ 蝸牛神経核(内耳神経核)である。滑車神経は中脳、舌咽神経、副神経、舌下神経は延髄にある。

問題54
運動神経線維のみの脳神経はどれか。2つ選べ。
1.滑車神経
2.三叉神経
3.顔面神経
4.舌咽神経
5.舌下神経

模範解答: 1と5
【解説】
"脳神経、Ⅰ嗅神経、Ⅱ視神経、Ⅲ動眼神経、Ⅳ滑車神経、Ⅴ三叉神経、Ⅵ外転神経、Ⅶ顔面神経、Ⅷ内耳神経、Ⅸ舌咽神経、Ⅹ迷走神経、ⅩⅠ副神経、ⅩⅡ舌下神経の12対に含まれる神経の種類は、5=運動神経、3=知覚神経、2=副交感神経として、337585103101055(さーさーなごやのごとうさんとうとうゴーゴー)と覚える。

問題55
脊髄について正しいのはどれか。
1.体性感覚神経の一次ニューロンの細胞体は後根神経節に存在する。
2.白質はその大部分を神経細胞の細胞体が占める。
3.運動神経細胞は後角にある。
4.深部感覚は前索を上行する。
5.温痛覚は後索を上行する。

模範解答: 1
【解説】
白質の大部分は神経細胞の軸索である。運動神経細胞は前角にある。深部感覚は後索、温痛覚は側索(外側脊髄視床路)、粗大触覚は前索(前側脊髄視床路)を上行する。

問題56
一側のみにある動脈はどれか。
1.腋窩動脈
2.鎖骨下動脈
3.総頸動脈
4.内頸動脈
5.腕頭動脈

模範解答: 5
【解説】
腕頭動脈は右側しかない。大動脈弓から出る枝は3枝で腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈で、腕頭動脈から右総頸動脈と右鎖骨下動脈が出る。

問題57
腎臓について正しいのはどれか。
1.腎錐体は皮質にある。
2.一側の重さは約300gである。
3.エリスロポエチンを分泌する。
4.左腎は右腎より約1.5cm下位にある。
5.安静時の腎血流は心臓から拍出される血液の約5%である。

模範解答: 3
【解説】
エリスロポエチンの多くは腎臓の尿細管周囲から分泌されるホルモンである。腎錐体は髄質にある。腎臓ひとつの重さは約110gである。右腎は左腎より下位にある。左右合わせた腎血流は心臓から拍出される血液の約20%である。

問題58
胸部の解剖について正しいのはどれか。
1.縦隔後面は心臓である。
2.肺栄養血管は肺動脈である。
3.区域気管支は左右5本ずつある。
4.胸骨柄と第3肋骨は関節を形成する。
5.臓側胸膜と壁側胸膜は連続している。

模範解答: 5
【解説】
臓側胸膜と壁側胸膜は縦隔面にある肺門で折り返して連続している。心臓は縦隔中部にある。肺の栄養血管は気管支動脈で、肺動脈は機能血管である。区域気管支は左9本、右10本ある。 胸骨柄は鎖骨、第1肋骨、第2肋骨の一部と関節する。

問題59
舟状骨に付着する筋はどれか。【図の問題を言葉で表現しました】
1.後脛骨筋
2.第三腓骨筋
3.短腓骨筋
4.短母指伸筋
5.虫様筋

模範解答: 1
【解説】
後脛骨筋は脛骨後面、腓骨内側面、下腿骨間膜後面から起始し、舟状骨粗面、内側・中間・外側楔状骨、2-4中足骨底、(立方骨)に停止する。第三腓骨筋は第5中足骨底(背面)、短腓骨筋は第5中足骨粗面、短母指伸筋は母趾基節骨底、虫様筋は第2-5趾の趾背腱膜と基節骨内側に停止する。

問題60
細胞小器官のうちATPを合成するのはどれか。
1.小胞体
2.中心小体
3.ゴルジ装置
4.リソゾーム
5.ミトコンドリア

模範解答: 5
【解説】
細胞小器官でATPを合成するのは、ミトコンドリアである。小胞体は粗面小胞体(蛋白質合成)と滑面小胞体(脂質成分の合成・貯蔵)、中心小体は細胞分裂に関与、ゴルジ装置は蛋白質の濃縮・加工・輸送と分泌顆粒・ライソゾームの形成、リソゾームは加水分解酵素を含み異物貪食消化に関与する。

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