今週の一首⑧~毎日お題より~
こんにちは。だいぶ遅れて今週の一首を書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします。なんでこんなに遅くなったかって?いやぁ、これが話すとだいぶ長くなるんですが、ざっくりまとめますと、友人の出産費用を捻出するためとある悪徳銀行を襲ったのです。その計画立案のためこんなに更新が遅れてしまったわけです。いやぁ、穴掘りってほんと疲れますね。
ところが、思わぬ事態が出来してしまいました。愛車のGT400に乗って逃走を図っている途中でサボテンの毒針に刺されてしまったのです。現在体中に毒が巡っていますが、そこは私も漢。今週の一首を書き上げるまでは死ねないと、砂漠のど真ん中で這いつくばりながら筆を取った次第でございます。途中で死んでしまったらごめんなさい。
くらやみに私を置いてバスは去る赤い目をして笑ったままで / 風吹く
十一月二十二日、お題「笑」に投稿された一首。くらやみの中にぽつんと取り残された不安感が妖しさとともに迫ってくる一首です。
この歌の面白い所はバスを擬人化し、テールランプを目に見立てた所でしょう。赤い目をして笑ったままで立ち去るバス。妖しい。妖しすぎる。擬人化は短歌において頻繁に使われる手法ですが、それだけに擬人化することで立ち上がる面白さ・詩情のようなものがなければ凡庸な一首になってしまいます。この歌の場合はバスを擬人化したことにより、赤いテールランプの悪意の象徴のような妖しさを醸し出すことに成功していると思います。ひとりだけぽつんと置いて行かれてしまう主体。不安なことこの上ない状況です。ただ、ここで一点疑問が浮かびます。バスは自分から停車ボタンを押して降りるものです。そこが目的地であるのだから馴染みのない土地でない限り不安になることはないのでは、、、?もしかしたらこの歌には文字で直接的に表現された意味以外に、何か別の意味が隠されているのかもしれません。村上春樹の小説のように。
そして結句を「ままで」と終わらせている所も見逃せません。これがあることにより、主体が不安な状況に放り出された感がより一層出るからです。意志に反して闇の中に取り残されてしまった主体の不安感を表現するのにこれ以上のやり方はないのではないでしょうか。
また、くらやみとひらがなにひらかれている所も何か意味がありそうです。確かにひらかれることによって闇の持つ原初性、プリミティブさが強調され、妖しさや怖さがより醸し出されている気がします。たとえば「怖い・恐い・こわい・コワイ」と、こわいというだけでもこれだけの文字表現があります。それぞれに味わいが全然違いますね。たった三十一文字で表現しなければいけない短歌においては文字の表現にも気を配ることが大切なのがよくわかるかと思います。
ようやくここまで書き上げることができました。これもひとえに皆様のおかげです。いつも本当にありがとうございます。あぁ、いよいよ毒が回りきりそうです。しかし、私もいっぱしの短歌好き、そう簡単には死にません。どうにか解毒して来週も元気に更新しt