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017 二か所以上で働く労働者の労災保険給付

労災保険は、労働者が業務上や通勤途上のケガ等を負った場合に、その被災労働者の生活を補償すべく様々な給付を準備しています。
その中で一番身近なのは「療養補償給付」です。これは、その他の給付との区分で「現物給付」と呼ばれています。
それで、その他給付というのは「現金給付」です。現金給付とは、その名の通り「現金」を給付するものです。
例えば、休業補償給付というのがありますが、この給付は、労働者が4日間以上休業する場合に、給与のおよそ8割を補償してくれる制度です。現金給付といっても当然被災者本人の預金口座に振込まれることで給付が行われます。
給与が20万円だったら給付額は16万円、30万円だったら24万円、といった感じです。
請求自体は事後になるので、例えば8月分を請求しようと思えば、8月末日以降に病院で労務不能の証明を労災専用の様式に記入してもらい、それを労働基準監督署へ届け出して行います。振り込まれるまで1か月程度かかります。つまり、給与もらうタイミングより1か月程度遅れるので、1~2か月程度の生活費は貯めておいたほうがいいでしょう。

ところで、副業で二か所以上で勤務する方は以前からいたと思いますが、もし、仕事中にケガをした場合の休業補償給付は、以前なら1か所の給与しか休業給付の対象とはなりませんでした。
例えば、毎月の給与がA商店で20万円、B商店で5万円、合計25万円の給与を得ている労働者がいたとします。この労働者がB商店で働いている時にケガをして休業した場合の休業補償給付は5万円の8割で4万円しかなかったのです。
それが、法改正により複数事業場で働く労働者については、複数事業場での給与を合算して休業補償給付を支給することに変わったのです。つまり、先の例で言うと、A商店とB商店の給与合計額25万円を基礎にして給付を決定することになったのです。
これは、労働者の生活補償を考えると当然の改正だと思います。なんで、今までなかったのかが不思議です。
しかしながら法律はだいたいそんなもので、誰かが声を上げないと変わることもありません。そもそも法律が無い時に声を上げるのは「変わり者」と思われている人が多い気がします。要は、少し先の時代を生きているのです。
ほとんどの人は伝統や慣習から外れた考えをすることができません。ちょっとおかしいと思っていても「しょうがない」で終わっていませんか?
おかしいと思ったことは、意外にほとんどの人が気が付いていないだけかもしれません。
声を上げる勇気を持ってみませんか?社会が変わるかもしれません。




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