昔の自分と解釈違いを起こしている。

自分はどうにもマイナー気質らしい。
小学生の頃見ていた少女漫画も、ヒロインを取り合う男の子二人のうち、ヒロインとくっつかない方、もしくは三人目の男の子が絶対に恋愛レースでは勝てないような幼馴染の男の子、みたいなキャラクターが好きだった。
いつも本筋の物語の中では選ばれない子が好きだった。
学生時代は男性向け萌えアニメが好きだった。
メインヒロインの他の女の子、所謂負けヒロインばかりを好きになった。いつだって私は王道から外れたキャラクターばかりを好きになるらしい。それは昔から変わらないみたいだ。

思い出せばあの時好きになったカップリングも、完全なサブキャラクター同士だった。
でも二人で一緒に頑張っているところやその二人の間にある絆が好きだった。物語の中でもあまり序盤はピックアップされず、容姿も少し地味で華やかなメインキャラクターとは立ち位置が違いますよ、と明確に線引きされていたように思う。それでも自分は好きだったし、時間がたつごとにグッズや本編での露出も増えていったように思う。今でも検索をかけると長い間好きであり続けている人が散見された。今はメインで追いかけてはいないが、大事な思い出だ。しかし世間とは逆の嗜好をしていたようで、その二人を見出した中でも所謂「メジャーの逆」が好きだった。少ない中の更に少数に回ってしまっていたわけだ。当時、こっちのカップリング、少ないなあ、と思っていた。その時は完全に消費者側であったので呑気なものであった。
「その二人の関係性が好きだから」と逆カップリングのものも読んだり、同人誌を買ったりしていた。年齢指定が入るようなものでなければその当時は読めた。本当は逆なんだけどな、という気持ちはいつも抱えていた。が、声に出すことはなくひっそり読んでいた。それらしい活動もしていなかったし。
でもまあ仕方ないかあ、で読んでいた。その二人が好きなことは事実だったし、読み専なんてそんなものだった。
その時に自分はスケッチブックに鉛筆で絵を描いて喜ぶくらいの、ライト層なオタクだった。

その次にハマったカップリング。
ここだ。ここでの出来事が今も尚自分を蝕み続けている。
老舗ジャンルの一応はメインどころのカップリングにハマった。
カップリングは表裏一体、好きなものとは逆のカップリングも存在する。
そこでは自分がここだ、と感じたカップリングの方がメジャーであった。
昔からの気質がまだ残っており逆のカップリングも苦手ではなく、絵が好みであったり作品が魅力的であると見てはいた。ただ、反応したりフォローをしてしまうと角が立つこともあるというのはなんとなく学んでいたので、描くのはこちらだし、と完全に静かに見るのみにとどめていた。
ただ、逆のカップリングの方が手堅い創作者の方が多く、しっかりとした解釈やキャラ崩壊を起こしているものが少なかった。
自分のカップリングの方は数が多い分、パロディなど注意書きが必要な創作物も多かった。数が多いところにはつきものであるが。
そしてとても活気があるジャンルであった。上記のジャンルも人気は当時あったが、こちらは老舗ジャンルで、新規のファンもいるが根強い古参ファンもいた。その関係でなんとなく描いたものでも意外と見てもらえるし、オタクたちも非常に、いろいろな方面で元気であった。
二次創作らしい二次創作をしたのもこのジャンルからだった。
オフ活動もこのジャンルからだ。
この時に楽しい経験、苦しい経験どちらもした。
おそらくここのジャンルで自分は大方の学びをしたと言っても過言ではない。

そして今に至る。
運命に出会った。
自分は腰が重い方で、人気のものだから視聴する、漫画を読む、等はしない。きっかけは数度勧められたから。じゃあ見るねと約束をした。
なんとなく見はじめたつもりが、もう、この二人しかありえない、と思うような二人に出会った。お互いがお互いを信頼していて必要としている描写がふんだんに盛り込まれていた。
しかし受け攻め、カップリング。昔からの気質でしっかり決められなかった。見るのを続けて、界隈の雰囲気を見つつ、自分はこっちだな、と思う方に決めた。この段階で、昔の自分だったら逆のカップリングを選び取っていたな、と思っていた。逆のカップリングの方が昔のジャンルに風土が似ていた。どちらかというと前のジャンルの逆の気質に似ている今のカップリングを選んだ。少し年齢を重ね落ち着いて、堅実なカップリング創作をする現行カップリングに魅力を感じていたし、物語を見続けてやっぱりこうだな、と納得した方を選んだのだ。

結果として、逆カップリングの方が多数派だった。
昔の自分ならそれでもよかったが、今回自分は逆のカップリングが苦手になっていた。あまりに自分の中にあるAB像と違う創作物が横行しているのだ。
パロディ、年齢指定もの、全てがキャラクター性を著しく損ねているように感じ苛立った。そもそも逆カップリングなんて別物、というのはよくわかる。しかしこんなに拒否反応を起こすものか?と思った。
そして、前のジャンルで自分が立っていた立ち位置もこの立場なのではないか?と思い始めた。今の逆カップリングの雰囲気は前のジャンルの自分のカップリングと似ていた。じゃあ当時の逆カップリングの人から見たらこんな感じだったの?と思ったら、途端に過去の自分の創作も許せなくなってきた。そして何より、過去の自分なら今のカップリングの逆カップリングを選び、きっと疑問なく界隈の一員としてその空気に混ざっていたと思ったら色々と許せなくなってきた。その気持ちを抱えて今も自縄自縛に陥っている。そして何より、昔みたいに逆カップリングを選んでいたら母数も多いしもっと楽しく絵を描けたのかな、とふとよぎることがあり、余計に罪悪感に苛まれる。
この堂々巡りから抜け出せる日はくるのだろうか。と思いながら、今大好きなこのカップリングを終えるときにしかそんな日はこないんだろうな、とうっすら考えほんの少し憂鬱になるのだった。


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