1996年7月13日(土)《BN》
【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「なんか大阪がやばいみたいですね」
「人数が半端ないな」
本日話題の出来事について中尾 智史が口にし、それを聞いて前田 法重も感想を漏らした。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が訪れてそこかしこで楽しい笑い声が起こっている。前田と家臣団の面々もいつものように楽しい宴会を行なっている真っ最中である。先日より大阪府の堺市で学校給食を食べた大勢の子ども達などが集団食中毒を発症。患者数はこの時点で数百人にも上るということである。この食中毒の原因はサルモネラ菌か腸管出血性大腸菌O157辺りというものであり、ニュースではこの話題で持ちきりである。
「食中毒は気をつけないといけないですよね」
「夏はすぐに食べ物が悪くなるからな」
この時期に気をつけないといけないことを大塚 仁が口にし、それに原田 公司が返事を返す。暑い時期は食べ物の日持ちが悪くなるのは当然であり、特に一人暮らしの男性は、保存している食べ物が悪くなっていることに気づかずに食べてしまうことも普通にあり得えてしまう。このメンバーでは結婚しているのは中島 一州だけであり、ということは他の5人は食中毒の危険に晒されているということになる。
「まあ、俺はほとんど自炊しないから、ほぼ外食だしな」
「この中だと自炊してるのは中尾ぐらいかな」
自炊をしないことを前田が口にし、それに原田が思っていることを言葉にする。冒険者は結構な収入があるので、金銭的な理由で自炊をする必要は全くない。あるとすれば料理が好きだったり、栄養学的に食べるものを調整するぐらいである。中尾は戦士として健康と筋肉に気を遣っているので、タンパク質多めの食事を自分で作っているのである。
「本田も悪くなった味ロールは捨てんといかんぞ」
「さすがにもう味ロールは食べないって」
思い出したように口を開いた大塚の言葉に本田 仁は笑いながら突っ込みを入れた。味ロールとはリョーユーパンから販売されている複数入りのロールパンであり、本田がまだ冒険者になる前でお金がなかった時によく食べていたパンのことである。その頃は美味しいと言い張って食べていたが、流石に今となっては食べる選択肢として味ロールは入ってこないのである。
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