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1996年9月20日(金)《BN》

【煉瓦亭:島田 笠音・前島 瑠衣・道長 寧々】

「パフェおかわりしようかな」
「相変わらずパフェ好きだねー」
 フルーツパフェを平らげた島田 笠音が漏らした言葉を聞いて前島 瑠衣が笑いながら突っ込みを入れた。ここは喫茶店『煉瓦亭』。13時を少し過ぎた時間であり、店内はだいぶん落ち着いた雰囲気になっている。午前中の鍛錬の後で合流した島田と前島、道長 寧々は定期的に行うパフェ会を本日行っているのである。いつものようにまずはランチセットを食し、その後で島田と前島はフルーツパフェ、道長はチョコパフェを注文する。ランチセット自体に結構な量があるのだが、そこはもちろん甘い物は別腹なので、追加でパフェを食べるのは普通のことなのである。ただ、ランチとパフェを食べると流石にお腹にくるのであるが、島田はいつも追加でパフェを食べるのである。
「すいません。チョコレートパフェを追加で」
 ほとんど悩むことなく島田は追加で注文する。いつものこととはいえ、結構な満腹感でまだパフェを食べている前島と道長は多少呆れた表情を浮かべた。それに気づいた島田は少し恥ずかしそうな表情を浮かべながら、いつもの言い訳をする。
「私は戦士だからね」
 こう話した後、少し変な空気になったのでお冷を口に運ぶ。確かに戦士は他の職業と比べて体力勝負なところがあるので、たくさん食べるのは当然のことである。対して前島は罠解除士、道長は僧侶なので、職業的な食べる量の違いがあってもおかしくはない。
「別に変だと思ってるわけじゃないからね」
「食べれて羨ましいのもあるかも」
 変な空気を解消するために前島が言葉を発して、それに道長も思っていることを口にする。美味しいものを食べるのは人間の欲求であり、お腹がたまるという現象がなければ、美味しいものを食べ続けることができる。食べれる量は人によるので、美味しいものをたくさん食べたい人にとっては大食漢が羨ましく感じるのだ。
「チョコレートパフェお待たせしました」
 マスターがチョコレートパフェをテーブルに置き、代わりにフルーツパフェの空き容器をトレンチに乗せる。そしてマスターが席を離れる気配を感じながら、島田は満面の笑顔を浮かべてチョコレートパフェを食べ始めたのであった。

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