1999年11月8日(月)
【道:前野 諭子・雨宮 英利香・高宮 太輔・長内 泰大・金尾 秀文・鬼塚 茉莉花】
「それでは第1迷宮制覇を祝してカンパーイ」
「カンパーイ」
乾杯の挨拶を任された高宮 太輔の元気な発声に続けて、参加メンバーたちも大きな声で乾杯と叫んだ。ここは居酒屋『道』。月曜日ということもあり、店内は落ち着いた雰囲気である。本日午前中に第1迷宮地下10階を探索した人類補完計画部隊であるが、ついにボスであるワードナと遭遇し、倒すことに成功したのである。第1迷宮は地下10階だけ特殊な作りとなっており、1階から9階までのようにボスの部屋というのが存在しない。フロアはいわゆるワンフロアの作りであり、彷徨いている亜獣と戦い続けるという仕組みになっている。なので、ワードナに遭遇できるかどうかは運次第であり、遭遇したタイミングで倒せない場合は再度遭遇するまで時間がかかる可能性が大きいのである。ちなみに現在はワンフロアの地下10階であるが、もともとは他の階と同じような作りだったのである。それが第2迷宮発見時の大爆発により今のような作りになったと言われている。
「でも勝てて良かったよね」
「結構ギリギリだった気がする」
ビールを一口飲んだ後で雨宮 英利香が発した言葉を聞いて長内 泰大が感想を口にする。ワードナは仲間として5体の亜獣を引き連れて出現する。その5体も結構強力なので、ワードナの強さも合わさってクリアするのは非常に大変なのだ。だがそれでも今まで長く探索を行ってきた経験と実力はそれをも凌駕することができ、何とかではあるがワードナを消滅させたのである。これで第1迷宮はクリアということになったので、次回から第2迷宮の探索へと入ることになる。
「そういえば第2迷宮って装備初めからなんだよね」
「でも中古が結構あるらしいから何とかなるってよ」
第2迷宮探索の件について前野が言葉を漏らし、それに鬼塚 茉莉花が返事を返す。第2迷宮の入り口には第1迷宮の装備を通さないバリアみたいな物が存在している。これのせいで第1迷宮でコレクションした強力な装備を継続して使用することができない。それで第2迷宮探索開始当初は、第1迷宮開始時の粗末な装備しか利用できず、特に戦士は非常に厳しい状況だったのである。だが、第2迷宮も探索を開始して長く経っているので、第2迷宮産の装備がかなり発見されており、それを普通に装備屋で購入することも出来るのである。この後も今後の第2迷宮探索の話題で盛り上がり、20時ぐらいを目処に飲み会を終了する。この後は一旦解散したが、特にこの後どこかに行くこともなく各自家路に着いたのであった。